蒼空学園へ

イルミンスール魔法学校

校長室

シャンバラ教導団へ

【蒼空のフロンティア秋祭】秋のSSシナリオ

リアクション公開中!

【蒼空のフロンティア秋祭】秋のSSシナリオ
【蒼空のフロンティア秋祭】秋のSSシナリオ 【蒼空のフロンティア秋祭】秋のSSシナリオ 【蒼空のフロンティア秋祭】秋のSSシナリオ 【蒼空のフロンティア秋祭】秋のSSシナリオ 【蒼空のフロンティア秋祭】秋のSSシナリオ 【蒼空のフロンティア秋祭】秋のSSシナリオ 【蒼空のフロンティア秋祭】秋のSSシナリオ 【蒼空のフロンティア秋祭】秋のSSシナリオ 【蒼空のフロンティア秋祭】秋のSSシナリオ 【蒼空のフロンティア秋祭】秋のSSシナリオ 【蒼空のフロンティア秋祭】秋のSSシナリオ 【蒼空のフロンティア秋祭】秋のSSシナリオ 【蒼空のフロンティア秋祭】秋のSSシナリオ

リアクション

 
 
    ★    ★    ★
 
「他に獲物は……」
 南鮪がさらなる被害者を捜して周囲を見回した。
 喫茶店はもうやばそうだし、街路は……なんだか正座して話し合ってるカップルがいる。いや、あれ、片方は寝ていないだろうか。完全に上をむいて大口開けてよだれをたらしているが……。そんなことにはお構いなしに、連れは熱く語っている。
「ふっ、俺様からはなんぴとたりとも逃げられないぜ」
 南鮪はホークアイを使って遠方までその魔手を広げていった。
 
    ★    ★    ★
 
 空京を一望できる観覧車に乗って、健闘勇刃と天鐘咲夜は二人っきりの空間をちょっとぎこちなく楽しんでいた。
 席の横には、さっき一緒に食べた(食べさせてもらった・あげた)ステーキ弁当の箱がおいてある。
「それにしても、咲夜もお弁当の腕を上げたよな」
「がんばったんですよー」
 喜んでもらってよかったと、天鐘咲夜がニッコリと可愛い笑顔を浮かべる。
「わあ、見晴らしがいいですねー」
 観覧車の窓から空京を見下ろして、天鐘咲夜がどことなく、ぎこちないような、わざとらしいような、そわそわした感じで言った。
「そ、そうだな……」
 どことなく、健闘勇刃も同じような雰囲気だ。
 ――チャンス!
 二人共心の中でそう叫んでいたのだが、その肝心のチャンスは、ちっちゃな女の子の姿をして二人の三十センチ前方で、「わたくしに何か御用?」という顔でちょこんと正座して待っている。
「あのな、咲夜……」
「あのね、健闘くん……」
 二人同時にチャンスをつかんで声をかけた。同時に握りしめられたチャンスが、「きゃっ」と消滅する。
「あっ、いや、何かあるのかい?」
「ええっと、あの、その……」
「言いたいことがあれば先に言っていいよ」
「は、はい!」
 なんとか助かったと、チャンスが天鐘咲夜の肩に乗っかって、ぐったりとたれていた。軍配は天鐘咲夜に上がったようだ。
健闘くんちょっといいですか? 言いたいことがあるんです。あたし健闘くんのことが、大好きです。簡単な言葉ですみませんが、これしか言えなくて……。これからもあたしのことを見ててくださいますか?
 ――うっ、先に告白された……!
 しまった、先手をとられたと、健闘勇刃が少し焦る。それを見て、天鐘咲夜がはらはらし始めた。
 あっ、これはまずい。躊躇しているととられたら大変だ。
「ありがとう。俺も、咲夜のことが好きだ」
 すかさず、健闘勇刃がはっきりと答えた。
 ぱっと、天鐘咲夜の顔が明るくなる。
 ――このくらいは先にしないとな。
 すかさず、そして、ごく自然を装って、健闘勇刃が天鐘咲夜にキスをした。
 お役目終了と、チャンスさんが健闘勇刃の額をペチペチしてからポンと消滅する。
 どれほど時間が経っただろうか。遥か長い時間だったかもしれないし、一瞬だったかもしれない。観覧車はゆっくりと下がり始めている。
 やっと、二人の唇が離れた。
「ステーキの味がしました……」
 ポソリと天鐘咲夜が照れながら言う。
 そのときだった、突然観覧車の窓を破ってロケットパンチが飛び込んできた。その手には、なぜかミネラルウォーターのペットボトルを握りしめている。
「な、なんだ!?」
 とっさに天鐘咲夜をガラスの破片からその身を挺してかばった健闘勇刃が、床に落ちたロケットパンチを拾いあげた。何やら、紙切れが挟み込まれている。
 『キスの前には、お口をすすぎましょう。ってえ、ことで、水だぁ。代わりに、てめえらの愛はもらっていく』
 紙にはそう書いてあった。
「えっ、まさか……」
「ずっと見られていた?」
「嫌ー!!」
 愕然とする健闘勇刃に、天鐘咲夜が顔を真っ赤にしてだきついた。
 
    ★    ★    ★
 
「クロセルめ、いったいどこに逃げたのだ」
 未だクロセル・ラインツァートを見つけられないでいるシャーミアン・ロウが、大通りを歩きながら周囲をキョロキョロと見回していた。
「さってと、そろそろ終わりかな」
 戦利品を身につけた南鮪が、ショールを風に翻して悦に入っていた。
「そうそう、これも着けねえとな……」
 そう言うと、クロセル・ラインツァートの仮面を着ける。
「貴様、そんな所にいたのか!!」
 その瞬間、突然敵が現れたかのように、シャーミアン・ロウがビシッと南鮪を指さして突っ込んできた。
「なんだなんだ!? ふっ、俺様も隅におけねえな。ちょっと着飾っただけで、すぐにスケが群がって来やがる」
 何やら盛大に勘違いした南鮪が大きく両手を広げた。
「覚悟……ぬ、むぅ!!」
 突っ込んでいったシャーミアン・ロウが、いきなりだきしめられて悲鳴をあげた。あまりのことにフリーズしてしまって動くことができない。
「すまねえな、もう俺様には何も残っちゃいねえんだ。だから、お前には、あふれるほどの俺様の愛をくれてやろう。ひゃっははははははは!!」
「ひーっ」
 そう大声で言いきると、南鮪はシャーミアン・ロウをだきかかえたままスパイクバイクで空京から走り去っていったのだった。