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【蒼空のフロンティア秋祭】秋のSSシナリオ

リアクション公開中!

【蒼空のフロンティア秋祭】秋のSSシナリオ
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リアクション

―焼き芋が食べたかったから―

「よし、やるぞっ」
 可愛らしい声を公園に響かせながら、久世沙幸(くぜ・さゆき)はぐっと力をこめた。
 沙幸の目的は近所の公園の掃除もかねて、落ち葉で焼き芋を焼くことだ。
「何もわざわざ落ち葉焚きしなくとも、焼き芋ならレンジでもできますのよ?」
 そんな沙幸に茶々をいれるのは、藍玉美海(あいだま・みうみ)だ。
「ねーさま、そんなこといわないの。丁度いい機会だもん。一緒にやろうよー」
「そうねー」
 美海は空を見上げ、何かを考える。
 やがて夕方になるだろうかと思われる時間帯。
 公園で遊んでいる子供も居る。そんな中、掃除。
 でも、一緒にいるのは沙幸だ。答えなんていわなくても決まっていた。
「でも、こういったのも風情があってたまにはいいですわね。それじゃあはじめましょうか」
 ぎゅうっと沙幸を抱きしめながら、美海は言った。
 行き過ぎたスキンシップに見えなくも無いが、二人にとってはこれが日常的な行為である。
「ねーさま、苦しいよー……」
 そして、二人は掃除を始めた。
 ざっざっと竹箒が地面をなでる。
 もう秋だな、と思わせる落ち葉。
 茶色に染まった枯葉と、吹く風に含まれる冷気。
 そんなことが合わさって本当にもう秋なんだな、と沙幸は思う。
 公園周辺の落ち葉が大分集まって山になっている。
 種火用の紙切れに火をつけて、集めた落ち葉に火をつける。
 ちりちりと爆ぜる小さな音が響く。
「沙幸さん、水を汲んできますね」
 美海がそういって、席を立つ。
 手にはバケツを持っている。きっと小火騒ぎを起こさないためだろうが、沙幸には少しばかり嫌な予感がした。
 しかし、それは杞憂に終わる。
 大人しくバケツを手の届く範囲に置いた美海。
「アルミ箔につつんでっと」
 沙幸の隣に腰掛けると、美海も沙幸の真似をしてサツマイモにアルミ箔巻いていく。
「火事の心配はなさそうですわね……それにしても、焚き火の炎は暖かいですわ」
 茜色の夕暮れと炎の赤。空と地、二つの色合いの違う赤を見て美海はそうポツリと感想を漏らした。
「うん、そうだねー」
 しかし、落ち葉は燃え尽きる。まだ継ぎ足せば赤々と燃え上がるのだろうが、この状態からがまた長い。
 アルミ箔で包んだサツマイモを熾火に投入。
 いつの間にか公園で遊んでいた子供たちは帰ってしまっていた。
 あまり時間が経っていない気がしていた沙幸だが、辺りを見回してはじめて、掃除を始めてから大分時間が経って居ることに気がついた。
「ちょっと寒くなってきたね」
「ええ、そうですわね」
 美海は沙幸に同意して、体を寄せた。
 吐息自体がかかるような距離だ。
「沙幸さんのぬくもりと、残り火の暖かさが合わさって暖かいですわ」
 沙幸の肩にしなだれかかりながら美海は言った。
「もう、ねーさまったら!」
 わざとらしく沙幸は美海を突き放し、菜箸をサツマイモに突き刺す。
 もう焼けたかな? まだかな? などと思いながら、芯がなくなっていることを確かめた。
「もう食べれそう! ねーさま、熱いから気をつけてね」
 適当な布で包んだアルミ箔に巻かれた焼き芋を美海に手渡す。
「あつっ! やっぱり焼き立ては熱いですわね」
 美海は受け取った焼き芋を手の中で転がした。
「いただきまーす」
 沙幸は焼き芋を半分に割って、あむっと一口。
「うーん、おいしー! あまーい!」
 まだまだ、焼きたててホクホクの焼き芋を頬張りながら、沙幸は美味しそうに言った。
「沙幸さん」
「へーはま、はひー?」
 ふふっと美海は笑いながら、沙幸の頬を両手で包む。
 美海は沙幸の口の端についた焼き芋を啄ばむように口付けをした。
 ごっくん、と咀嚼していた焼き芋を飲み込み、沙幸は、
「ねーさま! 口の周りについてたらティッシュで拭えばいいだけなのに、いきなり、な、なにするんだもん!!」
「ふふ、可愛らしい沙幸さんを見ていたら、どうしても抑えられなくなりましたの。こういうのはお嫌いですか?」
「そうじゃ、なくって! こんなところ誰かに見られたら……」
 恥ずかしさから顔を真っ赤にして、手を振って否定する沙幸。
 パートナーたちから行き過ぎたスキンシップにはほとほと疲れ果てるが、それでもこうやって身近に人を感じることは不思議と嫌な気持ちにはならない。
 だから口では拒んでいても、本当に嫌がっては見せない。なされるがまま、というのも問題があるので口だけでも抵抗するのだ。
 くすくすと、美海は口元を押さえながら笑う。
「あらあら、お顔が真っ赤ですわ。ふむ、それならば人目につかなければよろしいですわね……」
 顎に手を当てて思案する、美海に危機感を覚えた沙幸は慌てて取り繕う。
「って、ちっがーう! べ、別に私はそんなことしたいわけじゃないんだもん!」
 しかし、沙幸の言葉はすでに美海の耳には届いていなかった。きっと、どこかで選択肢を間違えた。たぶん嫌がる言葉。
 美海はバケツに汲んでいた水をまだ燻っていた火種にかけると立ち上がる。
「さあ、沙幸さん、早速部屋に戻ってこの続きを楽しみましょう?」
 沙幸を立たせると、美海はどこかうっとりとした表情で腕を絡めて歩き出した。
 逃がす気はまったく持ってないようだ。

 ――ちょ、ちょっとまってよ、美海ねーさま! 
 ――さあ、いきましょう? 夜はこれからですわ!

 そう、美海の言うとおり、二人の夜はまだまだこれからだ。

担当マスターより

▼担当マスター

菊池五郎

▼マスターコメント

【灰島懐音】GM
 今回、自由形式のシナリオで10名の執筆を担当させていただきました、灰島懐音です。
 参加してくださった皆様には多大なる謝辞を。

 いやいやさすがフリーダムでしたね!
 いつものデートやまさかの夢落ち、コメディからしっとり、シリアスやら美麗やらいろいろ書けました。楽しかったです。フリーダム万歳。
 またこういった企画がありましたら是非参加したいところですね。
 それから、限られた文字数の中私信を下さってありがとうございます。毎度毎度、励みです。

 では、あまりマスターコメントが長くなってもアレなのでこれにて失礼いたします。


【菊池五郎】GM
 こんにちは、または初めまして、菊池五郎です。
 普段はシナリオディレクターをしており、なかなか皆さんと触れ合える機会が少ないですので、今回参加させて頂きました。

 アップリケ探しと古き良き秋葉原散策、そしてメイド喫茶の一幕は如何だったでしょうか?
 ちなみに、秋葉原散策で触れたマイコンにはモデルがあります。分かる人がいましたら、今度プライベなどでお知らせください。私も実機に触って遊んでいました。


【寺岡志乃】GM
 こんにちは、またははじめまして、寺岡です。
 今回、初のGM合同企画に参加させていただきました。
 ちょっとここ数回自分のシナリオで殺伐としたシナリオが続いていましたので、日常的な話が書きたいなぁと思って、あえてフリーではなくガイドを出したのですが、結果として、甘々なラブラブがあって、ちょっぴり深刻だったり、そのくせどこかせつなかったり……といった、シナリオとシナリオの合間に皆さんが送っている日常を垣間見たようなシチュが書けて、とても楽しかったです。
 またこういうシチュエーションシナリオを出せたらと思いました。
 そのときは、ぜひよろしくお願いいたします。


【識上蒼】GM
識上です。
今回はフリーシナリオでしたが、オラトリオ最終回の戦い後の、ある夏休みの一日の出来事として書きました。
楽しんで頂ければ幸いです。


【篠崎砂美】GM
 いやあ、楽しませてもらいました。
 うまい具合にほぼ全員が絡みましたし、おかげで結構ひどいことになっているキャラもちらほらいますが……。まあ、事故だと思って……。
 今回、サンプル的に、ちょっと多めにリンクを張っています。
 今回の乗りは、だいたい「学生たちの休日」シリーズまんまですので、似た雰囲気が好みの方は、次回の休日シナリオに参加してはっちゃけてくださいませ。
 ではではー。


【常葉ゆら】GM
おつき合い頂きありがとうございました、常葉です。
オフイベでは、楽しいひとときを有り難う御座いました。Sシナにご参加、またご応募頂いた皆様、ありがとうございました。
リクエストにはお応えできたでしょうか。
久々に日常系のシナリオということで、とても心安らかに執筆することができました。
ちょっと文章の端々にまだ、教導団が残っているような気もしますが(笑)
また次回シナリオでお目もじ出来れば幸いです。ありがとうございました。


【神明寺一総】GM
 皆さん、こん○○は。神明寺です。
 お待たせしました。『秋のSSシナリオ』お届けです。

 「どんなのが来るかな〜」とワクワクしながら蓋を開けて見ましたが、なんと、8人中5人が恋愛絡みという結果になりました。
 会場で「何書いたら分かりません〜」と言われた時、「何でもいいっスよ〜。例えば、MCとLCとの恋愛話とかどうです?」みたいなコトを口走ったのがいけなかったのか……?
 いや、別に嫌な訳じゃないんですけどね。

 今回は、頂いたアクションの一つ一つを、自分に対する課題だと思って、『どんな解答を用意すればよいか』と一生懸命取り組みました(いやまぁ、いつも一生懸命は一生懸命なんですが)。
 果たして、皆さんに満足頂けたかどうか不安ですが、好評・不評にかかわらず、感想を掲示板にカキコして頂けると嬉しいです♪
 またこのような機会がありましたら、是非参加したいと思いますので、その時には、仲良くしてやって下さい。

 神明寺でした。


【村上収束】GM
この度はシナリオへのご参加ありがとうございました。
また、完全フリーという変わったシナリオへのアクションの作成お疲れ様でした!
どのアクションも楽しく読ませていただきました。
結果的に4つのお話を描かせていただきましたが、どれも書いていてとても楽しかったです。
参加してくださった皆様、ありがとうございました!


【梅村象山】GM
マスターの梅村象山です。
本シナリオに参加して下さった皆さま、ありがとうございました。

SSシナリオと言う特殊な条件でマスタリングをさせて頂きよい経験になりました。
フリー形式になったことでアクションの掛け方が難しく感じた方もいらっしゃるかもしれません。
ただ、その分自由度は広がりましたので、思い思いPCなりシナリオを掘り下げる機会になったのであれば嬉しいです。

楽しんで頂けましたでしょうか??


【萩栄一】GM
萩栄一です。初めましての方もリピーターの方も、私のSSシナリオに参加して頂きありがとうございました。

参加者が確定した時点で「とんでもないことになりそうだな」と思っていたら、
その通りになりました。
参加してくださった5人の方のアクションに共通して「蒼フロの限界に挑む」と書いてあったのが面白かったです。
ただ、なぜ僕のところで挑もうと思ったのかという謎が未だに解けないのが心残りです。

言うまでもなく、執筆は楽しく書かせていただきました。
またこのようなショートショートを書く機会があれば、ぜひ挑戦させていただきたいと思います。
また次回のシナリオでお会いできることを楽しみにしております。


【飛弥新】GM
初めまして、もしくはお久しぶりです。飛弥新です。

長い間マスタリングをしていなかったにも関わらず私に応募して下さった方、ありがとうございます。
また、もし抽選漏れしたという方がいらっしゃいましたら、申し訳ございません。

今回、久しぶりにマスタリングをさせていただきました。
とても楽しい時間でした。このような機会に恵まれ、幸せに思います。

私のシナリオに参加してくださった方や、リアクションを読んでくださった方にもお楽しみいただければ、
これ以上嬉しいことはありません。

シナリオの性質上、かなり混乱しやすい内容になっていると思います。すみません。
私も混乱しました……

入れ替わり表を随時参照しつつ、今この人はこの人の外見なんだよな、と想像しながら読んでいただければと思います。

またこのような機会がありましたら、参加させていただきたいと思います。
その時はどうぞよろしくお願いします。

それでは、失礼いたします。


【密巴】GM
今回は、ご参加いただき誠にありがとうございました!
並びにご閲覧いただいた皆様、本当にありがとうございます。
様々な休日風景をかけたこと、ジャタの森に親しめたこと、本当に嬉しくてなりませんでした。
書いていて心が暖かくなると同時に、紅葉を見に行きたくなったり、お腹がとっても減ったりしてしまいました。
本当に素敵なアクションを頂けたことで、心が温まりました。
書かせていただけて幸せでなりません。
ご参加頂き、本当にありがとうございました!


【来宮悠里】GM
 秋のSSシナリオ、わたし、来宮悠里担当分にご参加いただいたプレイヤー様、ありがとうございます。

 きりっと、らぶっと、ゆるっと、いちゃっと。大別するとそんな感じのアクションでした。
 でも、一個いいですか!
 アクションかけるマスターさんの選択ミスってる方いらっしゃいません!?
 いや、ほんと、アクション受け取ったときに、「えっ……、これ、わたしでいいん? まじで?」
 とリアルに思いました。今でも思ってます。
 割と長いです。アホです。はい、アホなわたしです。

 何はともあれ、完成にこぎつけました。ご要望どおり仕上がっていれば幸いと思います。
 残りは個別コメントにて感想を書かせていただいてあります。

 ご参加と、わたし来宮悠里を選んでいただきありがとうございます。そして、お疲れ様でした。


■追記■
2011年10月26日:修正
個別コメントの表示と目次を修正しました。