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古代兵器の作り方

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古代兵器の作り方

リアクション

     ◆

 固唾を飲み、レン、静麻、武尊がモニタ越しに見守っているのは、主に二つのカメラだった。ラナロックたちが映っている画面と、ウォウルたちが映っている場面。どうやら逃げ遅れた人たちは粗方回収できたらしい。
「待てよ? いつの間にラナロックは負傷したんだ」
 レンが首を傾げると、隣から武尊「確か――」と記憶を辿りながら言葉を探す。
「先おどの闘いの折りに。暴れまわっていた彼が吹き飛ばした様な――」
「エヴァルトか――、確か彼も様子がおかしかったな。今どこにいるんだ?」
「D棟1階のエリア3、第42ブロック――。先程ラナロックなる彼の女性たちが交戦していた場所に 」
「やられた、か。事態が収集したら人を集めて回収だな。で、肝心のお姫様は今何処に?」
 再び画面を分割し、武尊が暫く探していると、彼女の姿を捉えたらしい。
「D棟1階のエリア2、第16ブロックだ。ん? これは?」
 そこで何やら見付けたらしく武尊が首をかしげる。
「どうした? 何か見付けたか?」
「逃げ遅れか、はたまた手伝いに来た何者か…………」
「機晶姫…………だよな」
 二人でその画面を食い入るように見る。画面には武装を固めた機晶姫の姿が映っている。
「なぁ、二人とも」
 まじまじとそれを見ていたレンと武尊に向けて静麻が声をかけた。耳と肩で携帯を挟み、片手には地図を、片手には赤ペンを持っている。
「ラナロックが何処にいるか、わかるか?」
「D棟1階のエリア2、第16ブロックを歩いてるぞ。海か?」
「おう、サンキューな。D棟1階の…………エリア2の、第16ブロックな……………おいおい、待て待て! レン、武尊。本当に今言ったことはあってんだろうな」
「このカメラが壊れてなきゃあな」
「不味いぞ、こいつぁ一大事だ…………海! 良いかよく聞け、今すぐに。良いか今すぐに、そこから全員で引き上げろ。敵も味方も関係ねぇ! 兎に角逃げろ!!」
 叫ぶ。
「何でだ、だって? 決まってんだろ……お姫様のお通りさ…………そう、懸命に俺たちが避けてきた、あのお姫様だよ」
電話の向こうに向かってそう言っている静麻の言葉に、謎の機晶姫を見ていた二人が慌てて振り返る。静麻が電話を切るのを待ってから、二人は口を揃えて声を荒げる。

「「退路を割り出せ!」」



 そこは既に、何が起こっているのか当事者たちもよくわかっていない状況だった。
負傷したウォウルを何とか搬送させようと準備していた一同の前、突然の様に現れた四人。その構図だけならば、敵か、或いは味方か、と言い二択で済む。が、その四人が戦闘を始めたら、どういう構造になっているのかの判断は難しい。
 寸前のところ、ハツネの剣撃を回避しながら唯斗が彼等の前に現れた事により、彼等の思考は停止していた。
ひとつ、完膚なきまでに不意を突かれた事。ふたつ、何故この四人――厳密には三人と一人が刃を交わしているのか。
その二つだけで、緊急事態に身を置く彼等を混乱させるには事足りる。そして誰が意図したわけでもない混乱は訪れる。
「いきなり何なんだ………奴等」
 怪訝そうな顔で第一声を放ったのはグラキエスだった。
「主、下がっていて下さい」
 アウレウスが彼の前に出てくるが、しかし彼に攻撃の意思はない。あくまでも彼の行動理念は『自身の主を無傷で守り抜くこと』に集約されているのだから。
「暴れてるのはラナロックだけじゃないの?」
 セラエノ断章がウォウルへと問いかけながら、彼を守るようにして立ちはだかる。
「いえ、そうだとは思いますけどねぇ…………」
「じゃあ、彼等はどなたです?」
 ルイが構えながらセラエノ断章に続いて質問をした。が、倒れていた人間にそれを尋ねても答えが帰ってくるはずないのを知っているのか、ルイはそれ以上何かを尋ねることはしなかった。
「まず、彼等が僕たちと関係ある戦いをしているのか、若しくは全くのとばっちりなのか。それを理解しなくてはいけませんよね」
 佑一が考えながら呟くと、ルカルカ何処からともなく武器をとりだし前に踏み込もうと動きを見せた。
「両方捕まえて聞き出せば良いじゃない!」
「駄目だよルカおねーさん! それじゃあウォウルさんにないかあったときに誰が処置するのさぁ!」
 慌てて彼女の手にぶら下がりながらミシェルが彼女を制止する。
「兎に角、今は北都たちの帰りを待って、脱出することに専念しなきゃ、そうでしょ?」
 リカインがそう言ったときである――

「そいつぁいただけないねぇ。皆々様よぉ」