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空京古本まつり

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 綾瀬の返事に、3人は喜んだ。
「でももう1つ条件をつけましょうか。刀真さんでしたよね」
「ああ」
「それならこの場で3回まわって馬の鳴きまねでもしていただけるかしら。いきなり私のドレスをつかんだ代償には、安いくらいだと思いますけど」
 綾瀬は澄ました顔で条件を付け加えた。
「“とうま”は馬じゃねぇ!」とぶち切れるところだったが、白花や月夜を見て懸命に堪える。
「やれば……売ってくれるんだな」
 綾瀬がうなずくのを見て、3回まわった刀真は「ヒヒーン」と鳴きまねをした。
「結構ですわ」
 綾瀬は白花からお金を受け取って本を渡した。
「ちょっと意地悪だったかしら」
「戦闘に入ってもおかしくないくらいね」
「まぁ、いいわ。損もしませんでしたし、村木お婆ちゃんの駄菓子屋さんでクジでも引きましょう」
 刀真は2人の顔を見る。
「月夜、白花? そんな表情(かお)をするな……俺が困る。何ともないよ」
 服を引っ張ってしゃがませた刀真に、月夜と白花がなでなでした。スッと気分が落ち着いていく。
「よし! 本を届けるとするか」

 魔道書の発動は別な場所でも起きていた。先ほどと異なり、猛獣の姿が現れた。しかしこちらも回収班の面々が活躍する。
 特に腕を振るいたくてたまらない面々が。
「蒼い空からやって来て、仲間の未来を護る者! 変身!」
 風森 巽(かぜもり・たつみ)は仮面ツァンダーソークー1に姿を変えた。
「そろそろストレスが溜まってきてたのよねー」
 セレンフィリティ・シャーレット(せれんふぃりてぃ・しゃーれっと)はロングコートを翻らせる。
「それはわしも同感じゃな」
 ルファン・グルーガ(るふぁん・ぐるーが)は自慢の3節棍を取り出した。
 セレアナ・ミアキス(せれあな・みあきす)達は、一般客に被害が及ばないよう、ガードに専念する。
「思いっきり行っちゃって良いよね。元は本なんだし」
 セレンフィリティの銃を見て、風森巽が異を唱える。
「貴公、それは乱暴だぞ。本に穴を開けてはまずかろう」
「それもそうか。まぁ、良いや」
 銃を収めると、高く跳躍して猛獣に蹴りかかる。初撃はわざとかわざせて二撃で猛獣の即頭部を蹴り飛ばした。
「見事! では我も! ツアンダーキーック!」
 よろけた猛獣の腹部にヒットする。ふらついた猛獣は本に戻った。
「わしの出番は?」
「ごめん、なかったみたい」
「申し訳ない」
 頭をかいて謝罪する2人に、ルファンは不満そうな顔をする。と元に戻ったと見せかけた魔道書が、今度は翼に変化して飛び立とうとした。
「我の肩を!」
「おう! かたじけない!」
 シャレたかどうかは不明として、風森巽の肩を足場に跳躍したルファンは、飛んで逃げようとした魔道書を叩き落とす。セレアナが手持ちのロープでしっかり縛り上げた。
「わしも出番があったのう」
 遅れてたどり着いたルカルカ・ルー(るかるか・るー)カルキノス・シュトロエンデ(かるきのす・しゅとろえんで)は、騒動の後始末に入った。
「ルカ、これでほとんど回収できたのか?」
「うん、涼司からも良い連絡が入ってるよ。あとは涼司の好きそうな写真集でも買って帰ろうかなって」
「それが良い。俺も魔法関連の掘り出し物を探すとしよう」