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インテリ空賊団を叩け!

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インテリ空賊団を叩け!
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〜 10th phase【突入】〜 


一方、グラキエス達から離れ敵大型母船に近づいていたフリューネ・ロスヴァイセ(ふりゅーね・ろすう゛ぁいせ)
そしてレン・オズワルド(れん・おずわるど)ノア・セイブレム(のあ・せいぶれむ)
そしてリネン・エルフト(りねん・えるふと)の4人は現状を確認するため
応戦していた【『シャーウッドの森』空賊団】の二人
長原 淳二(ながはら・じゅんじ)ミーナ・ナナティア(みーな・ななてぃあ)に声をかけた

 「淳二、母船側の状況は?」
 「フリューネか!みんな頑張っているみたいだ。空を飛んでいる敵の小型飛空艇も粗方片付いたしな
  こちらはもう護衛や迎撃というより捕物だ。あの母船を守る数隻以外はな」
 「ただ、母船側に帰還した連中もいるみたいです、こちらの増援も増やしたいのですが……」

淳二に続いてのミーナの言葉に、仲間のリネンが母船を一瞥する

 「大まかな突入口は抑えられたって事ね。魔法障壁が見える……同じ場所からは入れないわね……」
 「残るはあの弾幕が激しい砲撃デッキしかないという事か……」
 「私達も突入したいんだけど、さすがにあそこは大変だよっ」

レンの言葉に別方向からの声が答える
コハク・ソーロッド(こはく・そーろっど)と共に飛んできた小鳥遊 美羽(たかなし・みわ)だった
傍には小型飛空艇に乗ったルカルカ・ルー(るかるか・るー)もいる

 「あの弾幕を突破するのは流石に……って、どうしたの?加夜」

腕を組んで悩むルカルカだったが
ふと離れたところで弾幕を眺める火村 加夜(ひむら・かや)の姿を見つけ、声をかける
彼女は砲撃の一角を指差して問いに答えた

 「よく見てください、あの砲撃……派手な様ですが大味なんですよ」
 「ホントだ……ぱっと見派手に見えるけど、正面がガラ空きだよ
  まるでどうぞって言っているみたい……詩穂にもそう見えるよ」
 「そういや、あの砲撃武装もそうそう見ないよね……どう思うダリル?」

彼女の隣で騎沙良 詩穂(きさら・しほ)も同意する
話の流れで尋ねたルカルカの質問に
傍らのダリル・ガイザック(だりる・がいざっく)が話題の砲撃を分析する

 「対戦車ライフル型光条兵器……確かそんな武装を持つものが内偵班にいたな
  そうそうどこにでもある武装でもないはずだ」
 「となると、随分凝った誘導ってわけね……なら」

すべてを理解したリネンが仲間に通信をする
天城 一輝(あまぎ・いっき)ローザ・セントレス(ろーざ・せんとれす)の二人である

 「一輝、ローザ!今どこにいる?」
 『作戦通り、船底で目をかいくぐって援護中だ、死角は維持できているぞ』
 「ビンゴ!これからそっちを周回しつつ正面から突入をしようと思うんだけど」
 『了解ですわ、クィーン・ヴァンガードの名に懸けて援護させて頂きますわ』

一輝とローザの返答を受け、リネンが広域にチャンネルを変えた通信機をフリューネに渡す
受け取った彼女が空戦をしている仲間に向けて通信を行った

 「こちらフリューネ・ロスヴァイセ!
  これより数人で正面より突入を行います!機動力のある者は拡散して至近距離にて敵艦をかく乱!
  白兵戦が可能なものは乗船し、突入のサポートを頼む!いよいよ最後の大暴れよ!」


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 「洋様、敵側の飛行部隊の展開を確認。ここへの強硬突入が目的と思われます。以上」
(「……ようやくこちらの意図に気が付いてくれたか」)

空賊の母船、砲撃デッキにて船員にまぎれ、仲間とともにフリューネ達の様子を見ていた男がニヤリと笑う
空賊の新戦力として潜入していた相沢 洋(あいざわ・ひろし)
そしてその仲間のエリス・フレイムハート(えりす・ふれいむはーと)である

そのまま、周りに意図を悟られないように仲間に声をかける

 「さて、仕事だ。エリス、みと、支援火砲、砲撃用意!
  撃つぜ!向こうは小型飛空艇大勢で来るようだ。囲まれないようにしろよ」
 「目標確認しました。撃ちます!」


乃木坂 みと(のぎさか・みと)が言葉を受け、手にした機関銃を連射する
……もっとも、中身は空砲とペイント弾をランダムに混ぜたカモフラージュなのだが
向こうも意図を察して、偽りの弾幕を回避するかのように散りぢりに飛空艇を旋回させている
こちらこそ、それは囮なのはこちらも理解している、本命は……死角から攻めてくるはず!

そして程なく、甲板下方から幾らかの銃撃と風を切り裂く音と共に数隻の小型飛空艇が上昇して
デッキ正面に乗り上げてきた

後を追いかけてきた空賊側の数隻は、後から飛んできた飛空艇2隻に程なく撃墜される
天城 一輝とローザ・セントレスの攻撃である
一輝の遠距離支援とローザのクロスレンジを駆使した動きに洋は感嘆の声を密かに漏らした

(「ほう、あの堅実な連携……クィーン・ヴァンガードの技をここで見られるとは………
  しかし、見たところあの船のシンボルは『シャーウッドの森』空賊団】のもの
  協戦として手を組んだのか?」)

そんな思考の間にも、下方から奇襲をかけた面々が着艦していく

 「いっちばあああああん!」

その中の一人朝野 未沙(あさの・みさ)が【ハルバード】を上段に構え飛び降りつつ着地と同時に振り下ろし
そのまま連続突きを放ち船員達を一掃していく
続いてルカルカとダリル、そして美羽とコハクが乗り込み奥の船内への階段を目指す

 「移乗白兵を確認しました。後退を推奨します。以上」
 「心得た!乗り込まれるぞ!後退だ!親分のところを守るぞ!」

洋に合図を送り、声とともに船員をと共に後退する洋とみとを見送ると
エリスは【ウォーハンマー】片手にダリルに接近する
振り下ろされたそれを回避し、かつ軌道から意図を悟って接近するダリルに彼女が小声でメッセージを送る

(「今の二人の後を追ってください。私たちは教導団の内偵組です
  我が主はボスのいる場所を強襲します。ご協力を……以上」)
(「協力に感謝する、あとは任せてくれ」)

その後は床に倒れ伏す振りをするエリスを後にダリルが先行して美羽とコハクが中に突入する
後を追おうとする船員を未沙が、そして乗り込んだ一輝とローザが妨害するべく応戦する

 「やっと来たか!協力する!薔薇の学舍の騎士は、なにものも恐れないんだ!」

先に乗り込み、甲板にて応戦していた鬼院 尋人(きいん・ひろと)もやって来たようだ
それを被害のない場所まで身を伏せながら移動し確認しながら、エリスは腹に手を当てる

 「あとは任せましょう……
  とはいえ、一番察しの良さそうな方を選んだつもりですが、念を入れてちゃんと一撃入れるとは……
  後が残らない様に手加減してるとはいえ、なんだかあの人に同じ血を感じます……以上」


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 「来た来た!じいちゃんたちはあっちだ!ついてきて!」
 「船内は把握済みだ、俺達が誘導する!早く!」

デッキの階段から船内に入ったところで、迷彩を解除した相沢 洋孝(あいざわ・ひろたか)が待っていた
その傍らにいる相田 なぶら(あいだ・なぶら)相田 美空(あいだ・みく)が進路を確認し
やって来たルカルカ達4人に声をかける
なにやら傍らにコタツが転がっている気もするが、この際気に留めずに先に進む事にする

 「残存兵力はどの位?」

ルカルカの問いになぶらが先行しながら答える

 「大物は中心に集まっているよ、周囲にもまだいるけど問題ない
  突入してきた派手な連中がほとんどのしちゃってるから、ほら」

指をさす方を見ると、船員の兵舎と思しき船室に屍の山があり
その傍で筋肉を鼓舞させながらルイ・フリード(るい・ふりーど)がこちらに親指を立てている
その足元でシュリュズベリィ著・セラエノ断章(しゅりゅずべりぃちょ・せらえのだんしょう)
何やら「しびれ粉」を含ませた湿ったタオルを恍惚とした表情とともに倒れた男たちの顔に被せ
鼻と口を抑えて……遊んでいた


かくて決戦は敵母船の中

各々が決意と目的を胸に事件の元凶の元に集うのであった
すべての決着は間もなくである