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花屋の一念発起

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花屋の一念発起

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「……品種改良した花だ。まだ、一つ足りないが」
「出来たんだね。置く場所はしっかり出来てるよ」
 ダリルから受け取った二種類の花をルカルカは丁寧にコーナーに並べた。

「魔法薬を数滴与えたらあっという間に開花した」
 ダリルは種を植え、与える魔法薬の量に気を付けながら作業をした。魔法薬の効果の程は花救出で目にしているので。
「でしょう。エリザベートに頼んだ物だから威力抜群よ」
 ルカルカは、満足そうに品種改良を終えた花を見ていた。
 しばらくして、電話の男が現れ、ガヤックは謝罪し、恋人の好きな花を集めた花束をお詫びとして男に渡した。

「こんな綺麗な花は見たことないな。きっと喜ぶはずだ。ありがとうな」
 と男は満足して恋人の元に急ぎ、ガヤックは一安心した。

「誰か帰って来ますよぉ」
 明日香は、向かいからやって来る歌と巨大になった散歩する花を指さした。

「たくさん宣伝したよ」
 マーチングバンドで賑やかに宣伝した詩穂が戻って来た。
 到着と共に歌は終了し、花は売るにはあまり大きかったため除草剤で一気に枯らした。

「これで三種類、全て終わった」
 枯れた残骸から花粉を回収し、ダリルは最後の品種改良をした。今度は『ゴッドスピード』で成長速度を速めて開花させ、すぐにコーナーに置いた。

「これで全部揃ったね」
 ルカルカは特設コーナーを満足顔で見た。
 新商品は、正しい品種と交配した不満花、一般品種と交配した散歩する花と増殖する花。

「多少は可愛らしくなっているはずだ。これは能力は減退しているから鉢の中で揺れながら癒しの芳香を放ち、増殖する花は壁面繁殖で室温を下げたり、荒野の緑化に使えるはずだ」

 ダリルは品種改良の結果を話した。

ツンデレフラワーヒーリングフラワーグリーンマットフラワーに決定!」

 ルカルカが端から順に命名していく。
 ちょうど、宣伝活動に勤しんでいた賑やかな三人組が戻って来た。

「ただいま〜。楽しそうな花だね」
 イリアは帰ってくるなり、品種改良の花に目を向けた。

「面白かったぜ。宣伝もバッチリだ」
 ウォーレンは、楽しんだというように満足そうな顔をしていた。

「電話をした相手は来たかのう」
 ルファンはガヤックに電話で話した男のことを訊ねた。

「はい。対応をして頂いて本当に助かりました」
 ガヤックは申し訳なさそうに礼を言った。あの男の他にも多くの被害者の対応をしてくれたことも含めて。
 捕獲した花は、販売品として特設コーナーに並んだ。

 少しして最後の五人が戻って来た。

「散歩する花は捕獲したわよ」
「店の方も片付いたみたいだな」
 報告する朋美の横でウルスラーディは綺麗に片付いた店を見回していた。 

「お花、全部配りました」
「成功した種は全部売れてなかなかの評判だったよ」
 椿とリゼネリは宣伝活動の成果を報告し、ガヤックに売り上げを渡した。
「捕獲した花はどうしましょうか。宣伝活動に貢献したので出来れば、処分は避けて欲しいのですが」
 まだ凍り付いている花達を持った虎臣が訊ねた。

「皆さん、ありがとうございます。花は処分ではなく特設コーナーに持って行きます」
 ガヤックは、売り上げを受け取り、礼を言って虎臣から花達を受け取って特設コーナーに持って行った。

 ようやく、全ての迷惑植物の処理が終了した。