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蒼空ヒーロー大戦・魔法少女DX!!

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蒼空ヒーロー大戦・魔法少女DX!!
蒼空ヒーロー大戦・魔法少女DX!! 蒼空ヒーロー大戦・魔法少女DX!!

リアクション

 
〜 蒼空ヒーロー大戦 Siene 3 前篇その2 〜

 
 「そこまでよ!子ども達の心を乱す悪党ども!」

効果音とともに空の上から聞こえてくる声に、観客は空を見上げる
そこには観客席の真上を天高く凱旋するように天馬にまたがり一周するリネン・エルフト(りねん・えるふと)の姿があった

 「『シャーウッドの森』空賊団が一人!【天空騎士リネン・エルフト】ここに推参!」

高らかに響く声とともに天馬から飛び降り、光の翼を舞わせ舞台に着地をする
【ハイランダーズ・ブーツ】と【バーストダッシュ】を駆使した派手な効果
加えてタシガン空峡に知れ渡る義賊としての彼女の知名度が、会場の子ども達の反応をにぎわせる

 「元気な声に呼ばれてきちゃったわ。こんにちは!
  七海お姉さん、ここは任せて安全なところに!」
 「ありがとう!あとはよろしくねっ!」

舞台中央から袖の応援用エリアに移動する司会の鍵谷 七海(かぎや・ななみ)
それに合わせるタイミングで芦原 郁乃(あはら・いくの)達【黒うさ戦闘員】4人がリネンを囲む
その中心でスラリと抜き放った【カナンの剣】に照明の光を反射させ、清廉とした声とともにリネンが声を放つ

 「人の心を惑わす者は許さない!かかってきなさい!」

先ほどまでと変わり、約束された台詞を合図とし、序盤の大殺陣が繰り広げられる
何度も練習と研鑽を重ね、練りこまれた動きに子ども達は目を奪われる
ようやく本格的なヒーローアクションの開始であった

 「……あれ?わ、わたし?あれ?」

熱くたぎるテンションから、不意に元の状態に戻り、七海は戸惑いながら後ろを向く
そこには待機していたサポート司会のリーブラ・オルタナティヴ(りーぶら・おるたなてぃぶ)がいて
手には先程七海が頭に装着していた【熱狂のヘッドセット】が握られていた

 「ごめんなさい、トラブル予防……という音響からの指示なんです
  でも大丈夫、あれだけ七海さんも練習したんですから、これがなくてもちゃんとお仕事できますわ」

ニッコリほほ笑むと、リーブラは会場に向かって呼びかける

 「さぁ、リネンさんが皆のために戦ってます、数が多いですけど
  彼女を信じて、応援の声をかけてあげてくださいな。せーの、はいっ!」
 『がんばれぇぇぇぇぇ!』

彼女の呼びかけで一斉に応援をはじめる観客の子ども達
それを見て、七海にもニッコリと応援をうながすリーブラ
意を決して、自分の正直な気持ちで七海も子ども達に向かって声をはりあげる

 「よし!もっと大きな声で応援するよ!せ〜のっ!」
 『がんばれぇぇぇぇぇぇ!!』 

彼女の声で一層会場の応援が盛り上がっていく
空賊に相応しい銃剣二刀流を華麗に駆使し、時に女幹部の上空からの弓矢の射撃をも難なくかわし
【歴戦の武術】を巧みに使ったギリギリの攻防の後
舞台セットの上に華麗に飛び乗り、止めの態勢をとるリネン

 「これで……きめるっ!」

【バーストダッシュ】を発動させ、戦闘員4人の剣を足元に落ちるように巧みに弾きあげ
初戦にふさわしい殺陣が終了、会場がおおいに沸きあがる

 「さぁ!残るは貴方達だけよ!ここで立ち去ってあげるなら見逃してあげるけど?」
 「く……流石は天空騎士、これ程とは……!」

剣先を残された綾原 さゆみ(あやはら・さゆみ)アリッサ・ブランド(ありっさ・ぶらんど)扮する悪の幹部に向け
高らかに勝利を宣言する【天空騎士リネン】
その言葉にさゆみ扮する【魔法少女すーさいど☆さゆみん】が呻きながら口を開いた刹那

突如雷鳴と共にステージに大きな声が響き渡った



 『フフフフ……ハーッ八ハッハッハ!流石だな、リネン・エルフトよ!!』
 「その声……?何者だ!姿を現せ!!」

ステージを見渡し、会場を見渡すリネン。だが声の主は姿を見せず、変わらず高らかに響き渡る

 『我が名は【悪の秘密結社オリュンポス】が大幹部【ドクター・ハデス】』
 「ハデス様ぁ〜!」

悪の幹部役(といっても実際の自称もそのままなのだが)のドクター・ハデス(どくたー・はです)の声
それを聴き歓喜するアリッサ扮するもう一人の悪の幹部【マジカルアーマーダークアリッサちゃん】
【ドクター・ハデス】は変わらず姿を見せることなく、リネンに声のみが放たれる

 『我らが戦闘員を倒したのは見事と言っておこう!だが我等が組織の力はこんなものではない!
  今こそその力の真髄を身をもって味わって貰おうか……出でよ我が優秀な行動隊長!【虎鬼】よ!』

悪の大幹部の声と共に、ステージ雛壇のの一番上にスモークが巻き上がり
壮大な音楽と共に山下 孝虎(やました・たかとら)扮する【虎鬼】が姿を現す

 『我が頼もしき行動隊長よ!悪の大幹部の名において貴様に命を下す
  そこにいる我が同胞と共にこの会場を手に入れるべくその力を遺憾なく示すがいい!任せたぞ!!』
 「勿体無いお言葉……【ハデス様】の望み、必ずやかなえて見せましょう」

アッハッハッハッハ……と、再び雷鳴と共にフェードアウトしていく【ドクター・ハデス】の声
静寂の後、不穏に流れるBGMと共に【虎鬼】が振り返り、舞台に佇むリネンを見下ろした

 「……というわけで、これよりこの俺が貴様に引導を下す、覚悟するんだな【リネン・エルフト】」
 「相手が誰だろうと、私はこの剣にかけて倒すのみ!降りてこい【虎鬼】」

高みから見下ろす邪悪な眼差しにおくさず、鋭い眼光を向ける天空騎士
だが、それすら意に介さず悪の行動隊長の嘲笑は続く

 「つけあがるなよ、何も俺が手を振るわなくとも引導などはいくらでも渡せるのだ
  それ程までに戦う事を望むのなら、貴様に相応しい相手を用意しようではないか……出でよ【暗黒騎士ルカ】!」
 「な!?………あなたは!!

【虎鬼】の声と共に、彼の下にある岩のセットが左右に開き、スモークと共に一人の戦士が姿を見せる
寺院服を禍々しい装飾で改造した姿で現れるその姿と顔は、序盤に姿を見せていた一人の女戦士
つまりルカルカ・ルー(るかるか・るー)扮する魔砲少女のそれであった
黒く加工されたスモークで暗黒の瘴気を演出され、ゆっくりと歩みを進める彼女を満足げに見下ろし
【虎鬼】は再び眼下の天空騎士に言葉を投げかける

 「驚くのも無理は無い、彼女は数年前に我らに愚かにも刃を向けた騎士の連れ、伝説の魔砲少女なのだからな
  哀れにも我等にひれ伏し、俺の暗黒の誘惑に取り込まれ、強力な配下となったのだ!
  さぁ暗黒騎士よ、己の中に渦巻く正義への無念、存分に晴らすがいい!」
 「御意……悪の花を咲かせて見せましょう」

悪の行動隊長の言葉を皮切りに、従順な言葉と共に眼下のリネンに躍り出る【暗黒騎士ルカ】
空中からのすれ違いと共に繰り出される光条剣の一撃をかろうじて受け流すリネン

 「くっ!……光条剣に【破滅の刃】と【煉殺闇黒波】を乗せるとは!まぎれもない闇の力!
  ルカ!あなたは本当に闇に落ちてしまったのですか!」
 「希望を摘み、白い花を枯れさせて、悪の華は咲く……悪の花の美しさ、見せてあげるわ」

先程の攻撃がただの児戯であったかのごとく、容赦の無い剣戟がリネンを襲う
空峡に名のとどろく天空騎士といえど、動揺を引きずる剣は相手にならず、数激の刃あわせの後
剣を受けた【空賊王の魔銃】が力のままに弾かれ、宙に待った

 「く、強い…!」 
 「力なき正義など無力、それで私に敵うつもり?はぁっ!」
 「うあああああああああっ!」

眼前に剣を突きつけられ、身動きの取れないリネン
その体に闇の衝撃(と言っても演出だが)を喰らい、舞台奥に吹っ飛ばされる

 「弱すぎて相手にもならないわね、やはり悪の花こそ美しい……」

役目を終えたといわんばかりに一瞥もせずに立ち去る【暗黒騎士ルカ】
ダメージを引きずりつつも果敢に立ち上がるリネン

 「ま、待て……私はまだ戦える……!」
 「残念だが手負いの子犬に構う程、俺達も安くは無いのだよ天空騎士」
 「その通りです虎鬼様!後はアリッサちゃん達にお任せを〜!」
 「夢は悪夢に代わり、明日は脆く、希望は儚く砕かれ、笑い声は泣き声に変わる……この世で一番美しい光景よね
  さぁ戦闘員!先ほどの礼を存分にして子どもの達の希望をつぶしてやるがいいわ!やれ!」

【虎鬼】の前に進み出る悪の魔法少女、もとい女幹部【ダークアリッサちゃん】
続いての【魔法少女☆さゆみん】の命令で、リネンを囲んでいた【黒うさ戦闘員】がリンチが如き攻撃を開始する
ダメージの影響で先ほどとはうって変わって苦戦する【天空騎士リネン】

一転してのピンチを受け、司会のリーブラ、そして七海が子ども達に応援を呼びかける

 「大変ですわ、このままだとリネンさんが負けてしまいます!ここはみんなの力が必要ですわ」
 「さっきの様に応援してみんなの力を分けてあげるよ。せーの!」
 『がんばれぇぇぇぇぇ!』

会場に響き渡る必死の子ども達の応援の声
しかし、戦況は変らず苦戦しているリネンに容赦の無い攻撃が続き
芦原 郁乃(あはら・いくの)蒼天の書 マビノギオン(そうてんのしょ・まびのぎおん)扮する戦闘員の剣を受け止め続けていた
リネンがついに膝を付いてしまう

 「く、今のダメージでこの数じゃ…きゃっ!?」
 「「ウサウサ〜!」」

アンタル・アタテュルク(あんたる・あたてゅるく)そして鬼久保 偲(おにくぼ・しのぶ)の攻撃で遂に動けなくなる彼女に
容赦なく止めを刺さんと【魔法少女☆さゆみん】が近づいていく

 「これで終わりです、天空騎士。私の歌でお逝きなさい!!【ゆーふぉにあ☆です】!!」


 『『ちょ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜とまったぁ!』』

彼女の口から今まさに、止めの死の歌が紡がれんとした時
そのピンチの空気を拭うが如く、元気な声が二人分、響き渡った