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ア・マ・エ・タ・イ

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「へへへ」
「ふふふ」
「この花見弁当、すっごく上手いぜ! あ、いやユリナの料理はいつも上手いんだけどな」
「ふふ。私も、竜斗さんがおいしそうに食べてくれて嬉しいです。まだまだあるから、もっと食べてくださいね」
 花の下、幸せそうに弁当を広げているのは黒崎 竜斗(くろさき・りゅうと)ユリナ・エメリー(ゆりな・えめりー)
 綺麗な桜、おいしい弁当。そして可愛い……
「? どうかしました?」
「いやー、ははは」
 首を傾げるユリナに、思わず顔を逸らし誤魔化し笑いをする竜斗。
 ユリナはそっと両手を伸ばす。
「お?」
 竜斗の頬を両手で包み込むと、自分の方を向かせる。
「私の方、見てくださいね」
「あ、あぁ」
 いつになく積極的なユリナにどうしても視線が泳いでしまう。
 そんな竜斗にもたれかかるように、背中をつけて座るユリナ。
 紫色の花びらが、二人の上に散る。
「りゅ、竜斗さん……」
「ああ」
 ユリナの顔は、赤い。
 瞳もいつもより潤んでいる。
 時折聞こえる息も荒く、どこかしら色気すら含んでいるような気がする。
(な、なんだろう今日のユリナ…… 嬉しいけど、ちょっと照れるなぁ)
 僅かに動揺している竜斗を余所に、ユリナの方は計算外の出来事に焦っていた。
 ユリナはこの日、あえてマスクはつけず、花粉を吸って竜斗にいっぱい甘えよう! という作戦を立てていた。
(そうです、私だって、たまにはこれくらい)
 花見会場で思い切り深呼吸。
 花粉を吸いこむと、たしかにぽわんと甘い気持ちになって、竜斗に甘えたくなってくる。
 しかし、花粉の効用はそれだけではなかったらしい。
(やだ……どうして、体中がもぞもぞするんでしょう)
(まるで、何かが服の下を這いまわっているような……)
「……んっ」
 たまらず漏れそうになった声を押し殺す。
 ユリナの側には、誰かが買ったピタサンドの空き袋があった。
 そこから青い不定形な物体が這い出て、彼女の服の下に侵入していることに。
 気づいても良さそうなものなのだが……