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ア・マ・エ・タ・イ

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ア・マ・エ・タ・イ

リアクション

「タラコに筋子に肉味噌、梅干し、おかか、ツナマヨ、キムチ、唐揚げ」
「……かっぱー」
「サンドイッチはタマゴ、レタスとハム、チーズ、カツ、ポテトサラダに蜂蜜。もちろん、おかずも一杯。がーちゃんと一緒にお花見しようと思って、頑張って作ったんだぁ」
「……かっぱっぱー」
 にこにことバスケットの中身を説明するネーブル・スノーレイン(ねーぶる・すのーれいん)に、カッパの着ぐるみ型ゆる族の鬼龍院 画太郎(きりゅういん・がたろう)は茫然としつつ、筆と巻物を取り出す。
 さらさらさら。
 筆を走らせた後、ネーブルに巻物を見せる画太郎。
 それを見たネーブルの表情が曇る。
「かっぱー(いくらなんでも、このお弁当の量は二人で食べるにしては多すぎませんか?)」
「……いいんだよ。これは、あの人の分だから……」
「かっぱっぱー(……失言を訂正させて下さい。それにしても3人分でも量は多いと思いますのでどなたか他の方に食べて貰えればいいのですが)」
「作りすぎ、かなぁ?」
「かっぱかぱー!(おぉ、この匂いは……きゅうり! やはりきゅうりは至高の食べ物ですよね)」
 首を傾げるネーブル。
 しかし、パートナーの興味が弁当に移ったのを見てとり、そっと紫桜の方に歩みを進める。
(お守りに、紫桜の花びらを持って行きたいな……)
「……ん?」
 落ちた花を手に取ろうとしていたネーブルは、自分の体に起きた感覚にふるりと身を震わせる。
(なんか……なんだろう)
 体が、うずうずする。
(ど、どうしたらいいんだろう)
 周囲を見回す。
 カッパしかいない。
「あぅううううう……」
 おろおろとその場を彷徨い始めたネーブルは、どん、と誰かにぶつかった。
「ご……ごめんなさい。あっ」
「いや、すまない。こっちも悪かった」
 ネーブルは、ぶつかった青年に心当たりがあった。
 たしか、このお花見の主催者の兄弟だったか。
 ぶつかった青年……クラウドは申し訳なさそうにネーブルに手を伸ばす。
「怪我とかしてないか? ……大丈夫みたいだな。どうだ、花見、楽しんでるか?」
 ぼんやりその手を見ていたネーブルは、考えた。
(主催者さんの身内……主催者さんなら、花見客の私が、甘えても……おかしくないよね)
 手を取り、そっとクラウドの胸に縋る。
「ぅお!?」
「あの……あの。あの人と一緒にお花見がしたかったんです……」
「……?」
「だけど、できなくて。でも、もう一度あの人に会うまでは、こうやってがーちゃんと二人で笑顔でお花見を楽しみたいって思ってて……」
「……あー、無理する事ぁないんじゃないの?」
 頭に手が当てられるのを感じる。
 そこで、ネーブルははっと自分のした事に気が付く。
 真っ赤になって飛び退る。
「きゃ!? わ、私ったら何て事……」
「いや、気にしなくていいから。むしろラッキー?」
 頭を掻きながら、ネーブルを宥めるクラウド。
「それよりさ、二人でそれだけの弁当を食べるの、キツくないか? 俺達もあっちで花見やってるから、良かったら合流しないか?」