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第7章 触手だ!(YESエロ)

「はぁう……も、もう駄目……お願い、お願いぃっ!」
「駄目だ」
「お願い、掻かせてえぇえええっ!」
 海辺のバンガロー。
 妲己はベッドの上に手足を拘束されて寝かされていた。
 拘束したのは、幸祐。
 もちろん、変なプレイの為ではない。
 クラゲに噛まれた手足を掻きむしろうとする妲己を止める為の行為なのだ。
「症状と原因、更に治療法が分かりました。これは、パラミタラブクラゲの症状ですね」
 ヒルデガルドが幸祐に治療法を説明する。
「愛、ですか……」
 幸祐は、妲己の尻尾を取るとハート形の噛み跡にそっと口付けてみる。
「んっ」
 すうっと跡が消え、妲己の症状も幾何か楽になったようだ。
「なるほど……ヒルデガルド」
「はい」
 ちゅ。
「んっ」
 ちゅ。
「んんっ」
 ちゅ。
「あぁっ……」
 幸祐とヒルデガルドが、同じ方法で妲己の痣を消していく。
「これが、最後か」
 最後に残った際どい部分の痣。
「ヒルデガルド、頼む」
「だ、駄目ぇ……」
 ヒルデガルドに任せようとした幸祐の手が、捕まれた。
 妲己に。
「お願い、お願い……っ」
「……」
 望まれて、いる。
 妲己の懇願を受け入れた幸祐は、ゆっくり顔を近づける。

 最後の痣が消えた妲己の身体を、幸祐は優しく抱き締め、唇を合わせた。
「ん……」
 妲己の体の力が抜けるのが、分かった。


 さあ、えろい(一部、そうでもない)お時間の始まりです!

   ※※※

 ぱしゃぱしゃと、赤いビキニに包まれた健康的な肉体がビーチを駆けてゆく。
「きゃあっ、つめたーい!」
 遠野 歌菜(とおの・かな)は両手をぱしゃんと空に突き上げる。
 手の、指の間から海水がぱらぱらと落ちていく。
「羽純くんも、早く早くー!」
「歌奈、あまり飛ばしすぎるなよ」
 月崎 羽純(つきざき・はすみ)が苦笑しながら歌奈の後を追う。
 羽純が来てくれるという安心感からか、歌奈はどんどんと沖の方へ泳いで行く。
「はぁ……っと、ちょっとはしゃぎすぎちゃったかな?」
 見れば、浜ははるか遠く。
 羽純との距離もだいぶ離れてしまっている。
 寄せては返す波を見ていると、何故かふいに心細くなってくる。
「戻ろっか、な……」
 浜の方に体を向ける。
 ぬるり。
「え、何?」
 見ると、海の下にはピンク色の細長いモノがたくさんあった。
 クラゲだ。
 クラゲは、その触手を容赦なく歌奈の方に伸ばしてゆく。
「え、きゃ、やっ!」
 ぬるぬるした感触に、本能的に抵抗する歌奈。
 ちくり。
「きゃ……あ、あああああっ」
「歌奈っ!」
 羽純の真空波がクラゲを吹き飛ばす。
 歌菜の様子がおかしいのを見て取った羽純は、マッハのスピードで彼女の元へ泳ぎ着いたのだ。
「歌奈、歌奈っ、大丈夫か!?」
「羽純くん……あぁあ、か、痒い……た、助けて……」
 涙で潤んだ瞳を、羽純に向ける。
「歌奈っ。くそっ、俺がついていながら……」
 清浄化も、命のうねりも効かない。
 ただただ腕の中で悶える歌奈を、苦しそうに見つめる。
「歌奈。俺が、必ず助けるから」
「あ……」
 抱きしめた。
 その瞬間、歌奈の体のうねりが収まっていくのを感じた。
「歌奈?」
「羽純くん……ありがとう」
「もう、大丈夫なのか?」
 恐る恐る聞く羽純に、微笑んで頷く。
「迷惑かけて、ごめんね。……ありがとう」
「ったく、今度から勝手に先に行くなよ」
 ぴん。
「あた」
 歌奈の額を、指ではじいた。