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第6章 平和を守る者達

 ヒルデガルドが襲ってきたコボルド集団のボスに機晶キャノンでとどめの一撃を放った。
「これ以上、動物を殺させません!」
 龍鱗化と風の鎧で防御を固めた姫星が機晶キャノンから放たれるエネルギー弾を受け止めた。
 姫星は上手く受け止め、上へとエネルギー弾を流すのに成功したものの、腕からは血が滲み出ていた。
「これでも食らうネ!」
 姫星の後ろからバシリスが幸祐を含めた自警団に轟雷閃を放った。
「大丈夫ですか、マスター」
 ヒルデガルドは幸祐の前に立つと轟雷閃を放ち、相殺した。
 しかし、多くの雷撃は自警団に当たり膝を着いていたりしていた。
「新手の魔物か!?」
「あなた達の村は、共存するいい村だと聞いています。そんな村がこんな事をするなんて」
「村長の名を騙った馬鹿にはオシオキが必要ネ!」
 自警団の声に姫星とバシリスが返した。
「やはり、おぬしは村長ではなかったのか」
「一人捕まえ尋問し、こ奴らの目的が吐き出させるのがよかろう」
 甚五郎が村長の息子に声をかけ、後ろでは羽純とブリジットが武器を構えていた。
「それは、あいつらの戯言だ! 混乱させて皆殺しにするつもりだ! 誰か、あの魔物達を殺してしまえ!」
 村長の息子は叫んだ。
「俺達には情報が少ない、依頼主の頼みを聞いてやれヒルデガルド」
「イエス、マイ、マスター」
 ヒルデガルドは再度、機晶キャノンを姫星とバシリスに向かって構えた。

「それまでであります」
 吹雪が自警団と姫星の間に氷の壁を作り攻撃を防いだ。
後ろから氷の壁を作った吹雪と獣人達が近づいてきた。
「お大事に……ですわ」
 腕に抱えていた狼の治療を歩きながらしていたイコナは狼を逃がした。
「事情は大方こちらでも把握している……村に戻りたいなら、態度で示すことをお勧めするが? 別に此方は、此処で行方不明になってもらっても一向に構わないがね」
 鉄心が魔銃ケルベロスを構えながら村長の息子に近づくと、
「くそっ! ここで捕まってたまるか!」
「うおぉ!」
 村長は瑛菜を捕まえようと動き、自警団の一人は鉄心に向かって走り出した。
「瑛菜を傷つけさせないわよ」
 とっさの事で対処できなかった瑛菜をローザマリアが姿を隠したまま村長の息子に気絶射撃を撃つ事で助けた。
「ありがとう」
 もう一人は、鉄心がポイントシフトを使って死角に移動し、銃を撃って気絶させた。
「もう一度言う、一歩でも動けば、安全は保証できない」
 鉄心はもう一度警告を発した。
「どうしますか? マスター」
「ここは、数的に不利だ、抵抗しないでおこう」
 ヒルデガルドの質問に幸祐が返した。

「……ここは」
「起きましたね。貴方に有利な嘘をついた場合、オルフェからお玉攻撃のプレゼントなのです。全てを見通せるので騙そうなんて考えないで欲しいのです」
 気絶から覚めた村長の息子の前には、光条兵器のお玉を持ったオルフェリアがいた。
「貴方は、村長ではないですね?」
「嫌……村長だ」
 オルフェリアは一応、嘘感知で嘘を確認したからお玉で頭をバシバシ叩いた。
「今度、貴方が嘘をついたら撃ちます。貴方方がオルフェリア様に攻撃を行ったら撃ちます。貴方方が我に攻撃を行ったら撃ちます。貴方方の誰かが逃げたら撃ちます。さぁ、逃げ場なんてありませんしさせませんよ?」
 ミリオンは最初の一言を村長の息子に次行こうの言葉を周りにいる自警団に向けて語りながらクスクスと笑っていた。
「にゃぁ〜……痛そうですの……」
 他の人の怪我を癒した後、村長の息子の腫れ上がった頭を痛そうに見ながらイコナ・ユア・クックブック(いこな・ゆあくっくぶっく)が治療をした。
「死にたくない、生きていたいと思うのは、みんな一緒ですわ。……この森には、みんなを生かしてくれた物が、たくさんあったのではありませんの?」
 治療を終えたイコナが村長に言って立ち上がり、
「あの……なるべく、怪我をさせないでくれませんか?」
「それは、この方次第ですね」
 オルフェリア達に頼むもミリオンにそう返された。

 オルフェリアの質問は、姫星と獣人が話した事とほとんど変わらなかった。
「この後をどうする? 暗殺者の話が気がかりだが、このまま進むか?」
 甚五郎が獣人や瑛菜達に質問した。
「護衛がついているし、今それを考えていても何も対処できないわ……それよりも確かに今後どうするかだわ」
 瑛菜達が考えていると、
「村長の息子も村のためだと信じたい、ドラゴンの元に連れて行ってくれないだろうか」
「冷静に話し合えば、いい案が思いつくかもしれないのです」
 獣人のお願いにオリフェリアが答え、全員が頷いた。
「よし、決まりね……あんたはどうする」
 瑛菜が幸祐達に質問すると、
「騙されていた事は少し腹ただしいですが、思慮深いドラゴンには興味がありますし、この人数差では反撃しようもありません」
「私も錬金素材が手に入ったし、ドラゴンに興味があるわ。それに迷惑料をもらえる約束してもらったしね」
「マスターの命令に従います」
 幸祐達が返した。
「よし、行くわよ」
 瑛菜が仕切ると、村長の息子を羽純とブリジットが注意しながら森の奥へと歩いて行った。