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【琥珀の眠り姫】水没する遺跡に挑め!

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【琥珀の眠り姫】水没する遺跡に挑め!

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第四章 辿り着いた先は

 その頃、先行隊の情報を受け取りながら、キロスは遺跡の中央部分に当たる中庭に辿り着いた。
「ゴーレムだらけだよ。気付かれないように、慎重に行こう」
 コハク・ソーロッド(こはく・そーろっど)が小声で告げる。
「これだけ厳重なら、そろそろ最深部でもいいのにね」
 小鳥遊 美羽(たかなし・みわ)も辺りを警戒しながら囁くように答える。
「一体一体を相手にするよりも、先に進んだ方が良さそうですね」
 杜守 柚(ともり・ゆず)も同意するように頷いて、
「時間との戦いだからね……」
 杜守 三月(ともり・みつき)も賛同する。
「しかも、いつどこにトラップがあるかわかったもんじゃねえからな」
 キロスが周囲を警戒しながら呟く。
「必要のない戦いはできるだけ避けて、慎重に進むってことだね」
 笹奈 紅鵡(ささな・こうむ)が周囲を見回しながら言う。
「……そういえば、キロスはどうして眠り姫を起こしたいの?」
 物陰に隠れながら進みつつ、美羽がキロスに訊ねる。
「やっぱり五千年前の美女をコレクションにしてみたいじゃねーか」
 軽く笑いながら、キロスは中庭の先にある扉の前に立った。
「この奥に、何かあるような気がします」
 感覚を研ぎすませた柚が答える。キロスはそっと扉を押し開けた。
「当たりだな」
 長く続く回廊の先、左右に配されたゴーレム二体と、一体の機晶姫が一際荘厳な扉を守るように配されていた。
「来るよ!」
 三月が叫ぶ。侵入者に気付いたゴーレムが、キロスたちに向かって動き出した。同時に、機晶姫も動き出す。
『……キーワードを答えよ……』
 レールガンの銃口とサーベルの切っ先を向け、機晶姫が問う。
「キーワード……」
 キロスは剣を抜きながら、小さく呟く。
「とりあえず、片っ端から倒していくしかないわね!」
 美羽は脚力強化シューズでパワーを上げたキックを、ゴーレムの腹めがけて放った。
 続け様にゴーレム一体の足を狙い、コハクが槍を放つ。
「いただき!」
 動きの鈍くなったゴーレムを紅鵡が狙い撃つと、ゴーレムは崩れ落ちるように倒れた。
「こっちも任せて!」
 三月がもう一体のゴーレムに雷を纏わせた剣で切り掛かる。キロスも反対から回り込むようにして、ゴーレムの背に一撃を叩き込む。
 撃沈したゴーレムの背後から、機晶姫の放つ電力を帯びた銃弾がキロスたちを狙った。
「危ない!」
 咄嗟に伏せた三月の腕を銃弾が擦った。柚がすかさずヒールを掛ける。
「こいつ、隙がないよ!」
 槍を構えたコハクが、思わず声を上げる。
「あいつだけは一筋縄じゃ行かないってか」
 キロスはひらりと身をかわしながら、機晶姫を見据える。
「こっちよ!」
 美羽が機晶姫の囮となるように、地を蹴って高く飛んだ。機晶姫の銃口が美羽を狙う。
「そっちだけじゃないよ?」
 バーストダッシュで美羽の反対へと駆けた紅鵡も、機晶姫が狙う。
 すかさず、コハクも間合いを詰める。キン、と機晶姫のサーベルがコハクの槍と組み合った。
 その隙に柚は情報錯乱で機晶姫の思考回路に干渉する。
『…………キーワードを答えよ』
「今です!」
 機晶姫の動きが鈍った瞬間、柚が合図をする。
「いくぜ!」
 キロスと三月が機晶姫に切り掛かる。美羽とコハクも、続けて攻撃を放つ。
「とどめだ!!」
 後衛から機晶姫を狙っていた紅鵡が、スナイプで狙い通りにコアを打ち抜いた。
「ナイスショット!」
 キロスは紅鵡と手をパンと合わせ、剣を収めた。
「この部屋の情報は送っておく。あとは鍵を探すだけだ」
 キロスは扉をゆっくりと開ける。美羽たちは一足早く機晶姫の守っていた部屋の中に入っていった。
「しかし、こんなキーワードまでは、ユーフォリアにも分からなかっただろうな……」
 そう呟いた瞬間、動かなくなったはずの機晶姫が僅かに作動したのを、キロスは見逃さなかった。
『……認証、しました……』
 キロスは完全に動かなくなった機晶姫を、少しの間何かを思案するように眺めていた。