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【琥珀の眠り姫】水没する遺跡に挑め!

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【琥珀の眠り姫】水没する遺跡に挑め!

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第七章 戦いの果てに

 調査していたメンバーに追い立てられ、空賊たちは次々と追い払われていた。
 残るは、首領の乗る大型飛空艇ただ一艘となった。
「スティリア、ガディ。さあ、目一杯遊ぼう」
 グラキエス・エンドロア(ぐらきえす・えんどろあ)の声と共に、ドラゴンの咆哮が周囲一面に響き渡った。
 水雷龍ハイドロルクスブレードドラゴンのスティリアに騎乗したグラキエスは、飛空挺の上空へと一気に舞い上がる。
「ガディよ、主の御心に応える為全力で”遊ぶ”のだ!」
 アウレウス・アルゲンテウス(あうれうす・あるげんてうす)の声と共に、もう一つ咆哮が響く。
 聖邪龍ケイオスブレードドラゴンのガディも、スティリアに続いて天高く飛翔した。
 二体のドラゴンが、次々と飛空挺目掛けてブレスを吐くのを見ながら、ウルディカ・ウォークライ(うるでぃか・うぉーくらい)はグラキエスの様子を窺っていた。
 本来なら安静にしているべきほど衰弱しているグラキエスに、何かあってからでは遅いのだ。
 ウルディカは、グラキエスとアウレウスからも姿が見えないよう姿をカモフラージュして残党を狙っていた。
 その機晶スナイパーライフルの銃口は、的確に空賊を狙い撃っていく。
(頃合いか……)
 ウルディカはサイコキネシスで機晶爆弾を飛空挺目掛けて飛ばした。
 爆音と共に、飛空艇から煙が立ち昇る。
「風下に味方は……いないな」
 グラキエスは辺りを見回すと、風上から飛空艇目掛けて痺れ粉を巻いた。
 空賊の砲撃が鈍ったところに落とした雷が、飛空挺を捉える。
 地上と上空からの攻撃に、飛空艇の態勢が崩れた。
「お下がりください!!」
 アウレウスが叫ぶと、ガディごと飛空艇目掛けて突進した。
 機動力を完全に失った飛空艇はパラミタ内海に落ち、座礁した。


 そんな中、空賊の首領の飛空挺の奥にて。
「ふん、ここまで侵入してくるか」
 首領は、飛空挺の外から聞こえるドラゴンの咆哮を聞きながら、静かにカットラスを手にして立ち上がった。
「お前は他のやつらみたいに逃げ惑ったりしないな」
「当たり前だ。安心しろ、俺は逃げも裏切りもしねえよ」
 柊 恭也(ひいらぎ・きょうや)は、首領の言葉に笑い返す。
「さぁリーダー、命令をくれ。貰った金の分は、しっかりと働くぜ」
「……そうだな。なら……」
 首領は、何事かを恭也に耳打ちした。
 

「ここまでくれば、逃がすこともないと思うけど」
 船の上空を、源 鉄心(みなもと・てっしん)の乗ったスレイプニルが飛び回る。
 スレイプニルが落とす稲妻が、飛空艇のところどころを燃え上がらせている。
「サラダ頑張るのです! サラダ一番ですわ!」
 イコナ・ユア・クックブック(いこな・ゆあくっくぶっく)は、炎雷龍スパーキングブレードドラゴンのサラダに乗って、ブレスを吐くサラダをひたすらに応援していた。
「お宝を奪おうなんて考えるより、定職について働いたらいいと思うのです! ……うさ」
 ワイルドペガサス・グランツのレガートに乗ったティー・ティー(てぃー・てぃー)は、逃げ惑う空賊たちに説教を始めた。
 ティーは、沿岸に生えている蔦に魔力を与えて急成長させると、空賊たち目掛けて蔦を巻きつかせた。
「今ならニルヴァーナにも就職口はあるっぽいし、パラミタ存亡の危機って時にまで、お金お金言う物じゃないです……うさ!」
「首領以外、これでほぼ全員捕まえたのですわ!」
 イコナが嬉しそうに叫ぶ。と、そこにゆったりと首領が現れた。
「あれが空賊の首領で、間違いなさそうだ」
 鉄心は猛吹雪を起こして視界情報を撹乱させると、アクセルギアで加速して首領めがけて突っ込んだ。
 吹雪が止むと、魔銃ケルベロスをつきつけられた首領はニヤリと笑った。
「さて……何故琥珀の眠り姫を狙っていた? 何か知っていることがあるなら、話してもらおうか」
「ふん……決まってるだろう? 空賊なら、誰だって狙う宝だ。
 それ以上の理由も以下の理由もねえよ」
 首領がにやりと笑った瞬間、轟音と共に飛空艇が爆発した。
 鉄心たちは素早く上空に逃げ戻る。辺り一帯を覆う黒煙から逃れると、飛空艇が海の底へと沈んでいくのが見えた。
「結局真相は分からないまま、か」
 鉄心がぽつりと呟く。
「……あれ、そういえば、キロスは?」
 ティーがきょろきょろと辺りを見回すが、既に周囲からキロスの姿は消えていたのだった。


◆ ◆ ◆



 遺跡の調査から数日経った、いつもよりやや肌寒いある日のこと。
(あといくつかの鍵……か)
 キロスは、イルミンスールの森を歩いていた。
 だるそうに歩いているが、キロスはいつも以上に周囲を警戒している。
(そう簡単には、手に入らないだろうな……)
 次第にイルミンスールが近付いてくる中、キロスは残りの鍵と、琥珀の眠り姫に思いを馳せていた。
(……何も知らず、一人きりなんて可哀想じゃねえか)
 キロスは内心、決意を新たにする。ここまで来たら、やるしかない。やってみせるのだと。
 風が吹き、木々が揺れる。キロスは一歩一歩着実に、前へと向かって進んでいた。

担当マスターより

▼担当マスター

八子 棗

▼マスターコメント

 初めましての方は初めまして。そしてこんにちは、八子 棗です。
 1月ももう終わりますが、今年もよろしくお願い致します。

 今回は、琥珀の眠り姫を目覚めさせる鍵の一つを手に入れましたが、いかがでしたでしょうか。
 この先、数回のシナリオで残りの鍵を手に入れていくことになります。
 また皆様のお力を借りられたらと思っておりますので、よろしければ今後のシナリオにもお付き合い下さいませ。

 それでは、また次のシナリオや他のシナリオでお会いする機会を楽しみにしております。