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【後編】『大開拓祭』 ~開催期間~

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【後編】『大開拓祭』 ~開催期間~

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 賑やかさならばどこよりも負けはしない。現在無料の『ニルヴァーサル・スタジオ』は満員御礼間近の大繁盛だ。
「いやー視察だからね! 視察だからいろいろ施設をみて回らないとね!」
 視察なら仕方ない、というテイストでニルスタを回っている橘 カオル(たちばな・かおる)と呆れ半分でそれを見る李 梅琳(り・めいりん)
「まったく。今日は団長も来ているというのに、呆れたうかれっぷりね」
「い、いやいやもちろん視察もしてるよ! 団長が回れない分はしっかりみておかなきゃ」
「物はいいようね。でもこれだけの喧騒なら仕方ないのかも」
 カオルたちの周りには人、人、人。人の壁? 波?
 そんな多くの人々がみな非日常に浮かれているのだ。不思議な気分や浮かれた気分になるのも無理はない。
「私たちはこの笑顔を守れるかしら」
「守れるよ。こんなに可愛い子供たちや親御さんたちの笑顔、絶対守れるって!」
「相変わらずの楽天家。まあ、嫌いじゃないけどね」
「そうだ。子供ついでで聞きたいんだけど、梅琳は何人くらい……」
「あ、あそこにいる子。迷子じゃないかしら?」
 うまい具合にはぐらかされたようだ。パパ頑張っちゃうぞータイムはもう少し先なのかもしれない。
 二人は迷子に駆け寄る。迷子、になっていることすらわかっていなさそうだ。
「そこの君! もしかしてお父さんやお母さんとはぐれたのかな?」
 明るく笑顔で子供に接するカオル。そんなカオルに子供が投げかけた言葉は予想外のものだった。
「パパ!」
「……ん?」
「パパ!」
 なんということでしょう。カオルに抱きついて離れようとしなくなったではありませんか。
 さて、ここから何が始まるか。
 
 修☆羅☆場ターイム!

「……あら、もう子供がいたの。へぇ」
「いや、いやいやいや!? ちょっとちょっと!? 何言い出してるの!?」
「よく見なくても目つきや面影も似てるし、そう。それで駆け寄ったのね?」
 トゲトゲしい梅琳。そんな穏やかではない空気を察した周りの人たちもカオルに冷ややかな視線を……! おっと! でました。

ママ〜あれなに〜?
見ちゃいけません

「(見ちゃいけなくないよ!) こ、子供なんていないってば! それはこれから頑張るのであって、この子は違うって」
「パパ〜!」
「あ、でもパパって響き、いい」
「……」
「い、いまのなし! ノーカン! ノーカウント!」
「こらこらあなたたち? 先に迷子を届けないとだめじゃない?」
「る、ルカルカさん!?」
「梅琳。久しいな」
「金団長。お久しぶりです」

 現れたのは『中継基地』を視察しにきた、その名も【国軍視察団】。
 金 鋭峰(じん・るいふぉん)を始めに、ルカルカ・ルー(るかるか・るー)ダリル・ガイザック(だりる・がいざっく)夏侯 淵(かこう・えん)
 更に後方、鷹村 真一郎(たかむら・しんいちろう)ウォーレン・アルベルタ(うぉーれん・あるべるた)
 これだけの人数が、何故か私服で、しかも団長まで私服で、何故かニルスタにいる。
 不思議な光景の何者でもないだろう。
「とりあえず『みんなのいえ』にいったら? 迷子ならそこで預かってくれるから」
「そ、そうですね! それじゃルカルカさんに金団長。失礼します」
「迷子になるなよ?」
「な、なりませんって!」
「そうか。梅琳、また機会があれば会おう」
「恐悦至極。それでは失礼します」
 そう言ってカオルたちは『みんなのいえ』と向っていった。
「英照たちはいつ合流するのだ」
「英照参謀長は董蓮華と共に別の場所を視察中。この後のシュミレーター視察後に合流する予定です」
 間髪いれずにダリルが補佐をする。
「ですので、これからバトルシュミレーターに向います」
「ふん、シュミレーターで得られる経験など。『百聞は一見にしかず』ではないか」
「そういいますが金団長? お嫌いではないですよね?」
「どうだろうな」
 丁寧ながらも軽快なやりとりをしながら移動。
 あっという間にバトルシュミレーターへ到着。着いた直後、淵がダリルの前に立つ。
「金殿。失礼かもしれぬが、少々よいだろうか」
「ああ」

「……ダリル! このシュミレーターで俺と勝負だ!」
「それは、ハイスコア勝負ということか?」
「その通りだ。よもや断るとは言うまいな?」
「……団長」
 金は何も言わずに首を縦に振る。
「いいだろう。市街戦で勝負だ」
「どこだろうと負けはせん!」
 ダリルさん、淵さんがガチモードに入った。
 周りの空気が微粒子レベルでピリピリし始める。
「……さーてさて?」
「ウォーレンさん、何やら楽しそうですね?」
「そんなことないですよ鷹村の旦那」
 今まで忍ぶようについてきたウォーレンが生き生きとしている。
 そんなこととは露知らず二人のバトルがスタート。
 序盤からありえないスコアの稼ぎ方(相手が重なった瞬間を的確に狙い効率化など)で猛戦する。
 だがダリルの方が一枚上手のようで、徐々にスコアに差が出始める。
 そこへ現れる一人の盛り上げ役。
「……よっしゃ! 淵将軍! 助太刀すんぜ!」
「ほう?」
「いや、だがこれは……違うな。共に戦った仲間とならば負けても文句はあるまい!」
「もちろんだ!」
 悪戯心マックスで参戦したウォーレンだったがその援護の腕前は悪魔のごとし。
 射撃による援護・攪乱。常に彼らを後方援護する彼ならではだ。
 スコアも巻き返す形になり、タイムアップまであと数秒。

パーン! タイームアップ!

「どうだ!?」
「悪戯心はどうでるかね?」
「……」

ダリル WIN!

「ま、負けたか……」
「こちらにも援護があったからな。最後の援護、あれがあったからこそ勝てました。感謝します、団長」
「なに。興味はあったからな。それに、2vs1が2vs2になっても文句はあるまい」
「さすが団長。私服だろうとムードは圧巻ですね?」
「ふん」
 団長の助けがダリル側に入り、ダリルの勝利で終わった。