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リアクション
第8章 無策で特攻は危ないのですよぉ!作戦会議 Story2
「新しいスキルや魔道具か…」
「エースも思いついたのかにゃ?」
お菓子をもぐもぐ食べながらクマラがエースに話しかける。
「魔道具に通常のスキルを適用できないってことは、使い魔にもってことだよな?」
「そのはずだよ?」
「発動させるための適応がないからじゃないのかい。属性などという意味ではなくってね」
「無理か…。じゃあ、術者の使い魔に限り、絆の力で能力があがるというのは?校長、魔法書などでそいうものはないかな」
「ん〜、調べてみますぅ」
エリザベートは資料として容易した本の中に書かれていないか、ぱらぱらとページを捲って調べる。
「すみません、ないみたいですねぇ」
「ないのか…」
「そうがっかりすることはないのじゃぞ、エース。検討用として書いておくのじゃ」
しょんぼりと肩を落とすエースをジュディが元気づける。
「クローリス使いの人が狙われていたけど。回復役や防御役を先に落とすのって、正直当たり前のことだよね。移動しながらでも使える守りのスキルって必要なんじゃないかな」
神籬は結界内の者の守る宝石だが、結界は敷いたところからは動かせない。
進入する時にも使えるものではないといけないのだ。
「僕からも提案さえてもらうね」
清泉 北都(いずみ・ほくと)はテーブルに敷かれた紙に、精霊と自分そして相手の位置を点として描く。
「術者を守ってくれる守護精霊がいるといいよね。存在しないなら、精神力で具現化させるとかでも」
「中にいるやつらを先発チームが引き着けて、それから突入するといっても、砂嵐は止まらないだろ?傷を治しながら進入に成功したとしても…だ。それまでの消耗が大きい」
パートナーが書いたところへ、茶色のペンで砂嵐の絵を描いてソーマ・アルジェント(そーま・あるじぇんと)が説明を付け加えた。
「石化みたいに動けなくなっちゃう魔法にかかると消えて、術者を守ってくれる感じのだね」
精霊がパッと消えた絵を北都が書き加える。
「アイデア術は成功させても人が集まらないと、能力もその当時のままってことで。エコーズリング使ってオリジナルの能力を引き出せたとしても、そこからさらに…ってのは無理なんだよな」
「元々の術者たちの修練に関係するからのぅ。コピーでも緊急の際はあったほうがよいと思うのじゃぞ」
「状況によるな。数人でできるものか、コンボ術があるといいんだが」
「魔道具をそれぞれ反応させて適応する際に、さらに消耗が激しくなりそうじゃな…。ううむ、コンボ術とな?1人では、元々の魔道具の力しか引き出せぬぞ」
「うん、授業のどこかで言ってた気がするよ。宝石同士だけじゃ、その元の能力しか使えないとかね」
「あー…それも無理なのか。ん〜…」
反応云々と教えられたソーマが唸る。
「ソーマさんのイメージとは違いますが。魔性の探知しながら、解呪できるようになったりは可能のようですわ」
「え、本当か、ミリィ」
「集中力のこともありますから。たくさん経験をつまなければ、どちらのみになってしまいますが」
ホーリーソウルは解呪のために、アークソウルは探知のためにそれぞれ集中力がいるものだからと告げる。
「なのでアークソウルだけ使う時よりも、探知範囲が狭くなってしまうんです」
「陣もできるのか?」
「んや、そういう使い方はしとらんからなぁ。オレがやるとたぶん、解呪まで遅くなると思うんやけど。ちなみに、探知と可視を同時にやっても、範囲が狭くなることはないみたいや」
「元々の能力をどう使うかだと思いますわ。それによって成長の違いもありますから。人によっては、精神力の軽減もありますわ」
「てことは、普段使っているやつの能力の、どの部分を引き出していくかにもよるってことか」
自分のイメージに近い使い方を目指すなら、スタイルに合わせて野力を高めていく必要がありそうだ。
「マスター。私ここ暫くの任務で樹さんやアウレウスさんが、精神力消耗で苦しそうなのが気になりまして。それでえぇと…皆様方は他の考案で手一杯ですし。私たちの方で精神力を少しでも緩和できそうなご提案出来れば良いのですが」
「本来は修練で慣れるしかな」
精神力の減少は使い魔の能力を上手く引き出せれば、可能なのだがと言う。
「呪いの力が強いせいもあるだろ。レジストするには相応の精神力を費やすわけだからな」
「そんなこと言わずに、マスター…」
「んー、そうだなぁ…。使い魔を実体化させ続ける以上、精神力の消耗は回避できない問題だが。神…かどうか解らねぇが外界の力を借りれば多少改善出来るかもしれねぇな。召喚術の応用となるが駄目元で考案してみるか」
フレンディスの頼みだから断ることもできず、行動を共にする仲間のためにも提案してやるかと考える。
「提案があれば聞くのじゃ♪」
「使い魔って、他の魔道具と比べたら消耗激しいと思う。そこでだ、対象の周りに結界を張って、精神力を軽減するのはどうだ」
「スキルかのぅ?」
「聖霊を召喚して複数の人数にかけられるが。結界は、一人一隅担う形な。そこから出ると結界の効果は当然受けられない」
「他にはあれば言ってほしいのじゃ。遠慮なく言うのがいいぞ」
「一定時間が経つか、魔性の攻撃を受ければまぁ消えちまうかな。術者のランク能力の上昇で、下位の魔性の攻撃に対する耐性があがってくとかな」
「ふむふむ、で…対象の限定はあるのかのぅ?」
ジュディはスキルの効果対象は限られているかベルク・ウェルナート(べるく・うぇるなーと)に聞く。
「使い魔のみっていうか、召喚できる者にってことだ」
「む…なぜに……。まぁよい、検討としてリストに入れておくのじゃ」
「おめでとうございます、マスター」
「まだ提案段階だからな。(…それにしても、よく食うよな)」
テーブルには会議用の大きな紙が敷かれているため、お菓子は棚のほうへ収納されていた。
見るたびに彼女は棚へ手を伸ばしている。
「誰か、もっと意見を言うのじゃ♪」
「じゃあ私が…。黒魔術を直接打ち消す術式ってないのかしら」
祓魔術と逆の力の流れである術なら、対抗策として効果を打ち消してしまえばよい。
そう考えたフレデリカは、直接作用して打ち消す術式を提案する。
「まずは祓魔術の知識で、対象となる術式を解析して、その中枢部分を割り出すの。このプロセスが長ければ成功率が上がり、短ければ下がるため、黒魔術の結界の破壊ってことね」
「ぬ…、書き終わったのじゃ。続きはあるのかのぅ?」
「えぇ、あるわ。解析結果に基づき、術式の中枢部分を破壊するのだけどね。祓魔術の使い手として、能力の高さが影響するわ。術式が対ほど、術者としての強さが要求されるわけね」
「かなりのディレイがありそうじゃが。1人で行うものではないのじゃろう?」
「性質上から何人かで解析しないと、それだけ打ち消すのが遅くなるわね」
「フリッカ、黒魔術に拘らなくたっていいんじゃないのかなぁ」
話している途中で横から口を挟むと怒られそうだから、黙っていたスクリプトが言う。
複数の人とやるならそこまで限定的にしなくたってよい気がすると思えた。
「もっと簡略化しようよ。アイデア術の倍長いと思うし。相手はそんなに待ってくれないって」
「うーん、そうよね…」
「スキルじゃなくって。アイデア術向きなんじゃないんですか、フリッカ」
ディレイのこともあるが、既存の魔道具で事足りるのではとルイーザ・レイシュタイン(るいーざ・れいしゅたいん)が言う。
「哀切の章やホーリーソウルなどの力を組み合わせれば、魔性との繋がりを弱められそうですが」
アイデア術なら強制憑依を解除できるそうだと考える。
「でもルイ姉。狂気に落とされているわだから、それもなんとかしなきゃだよ」
「正気に戻す必要もありますから、クローリスのハンドベルの力がいりそうですね」
ただ引き離したのでは狂気に落ちている魔性は、術の力によって相手に寄っていき、再び強制憑依してしまいそうだ。
「それじゃあ、スキルとしてやっぱり…」
「フリッカ、とても言いにくいですが。発動の長さを考えるとやはり難しいと思います」
「そんなぁ、ルイ姉…。何かよい方法ないの?」
「いえ、ちょっと…考えつきませんね」
「悲しまなくたって希望はあるよ、フリッカ!」
まだ終わりじゃない!とスクリプトがビッと親指を立てた。
「―…よい方法でもあるの?レスリー」
「アイデア術なら可能性がまだあるよ、また機会があったら誰かと組んでみよう!」
気落ちするフレデリカにスクリプトは、まだ希望がないわけじゃないといふうに言い、彼女の肩にぽんと手を置いた。
「な、何か…誰かに見られているような…」
じっと視線を向けられている気配に気づき、そっと振り返ると…。
穴があくんじゃないかと思うほど、アウレウスとウィオラがフレデリカたちを見ている。
ウィオラの能力を活用しきる精神力がないことを、口惜しく思っていた。
一人ではまだまだ未熟と思い知ったのだった。
なら、仲間と協力しては?とふと考えた。
「(これは、アイデア術に組み込んでほしいってこと?うぅ……ごめんなさいっ、今日はまだちょっと…!!)」
スキルとしてでなく発動スピードもアイデア術としてのほうがよいなら、もっとよい改善点もあるかもと思い、フレデリカはパッと顔を背けてしまった。
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