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理不尽世界のキリングタイム ―デブリーフィング―

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理不尽世界のキリングタイム ―デブリーフィング―

リアクション

「あーあ、処刑できませんでしたねぇ……さて」
 残念そうになななは呟くと、その場にいる者を見回す。生き残った者達は『まだやんのかよ!?』と言葉こそ出さないが思う。
「……? 牡丹?」
 レナリィが横を見て、不思議そうに言った。隣にいた佐々布 牡丹(さそう・ぼたん)が立ち上がったのである。
 始まってから一言も話す事なく、ただ黙って事の成り行きを観察していた牡丹の行動に驚いたのは、レナリィだけでなくなななもである。
「おや、どうしましたか容疑者牡丹?」
「はい……一言、言いたいと思いまして」
 牡丹はゆっくりと立ち上がり、目を見開いた。

「皆さん……私は契約者です!」

 突然の牡丹の言葉に、皆どよめき始める。
 その中で最も驚いていたのはレナリィであろう。言葉も出ないのか、ただ牡丹を見ておろおろするだけである。
「ほう、それではパートナーのあの方も?」
 なななに言われてビクンとレナリィの身体が震えたが、牡丹は首を横に振った。
「レナは関係ありません。彼女とは別行動をしているので、この中にいる契約者はもう私一人と言ったところでしょうか……驚きましたか?」
「牡丹どうしたの!? いきなり何言ってるの!?」
 レナリィが戸惑ったように問う。それに対し、牡丹はふっと笑みを浮かべた。
「ゴメンなさいレナ……自分が助かる為に他者を陥れようとしている……誰かの気分次第で有無を言わさず殺される……そんな世界、生きていてもその先楽しめるだろうか? いや、楽しめる訳がありません。なら、私は早急にこの世界から退散する事にします」
「牡丹……」
 レナリィは何か言葉をかけようとするが、言葉が浮かばないのか黙ってしまう。
「ほう……ならば自害を望むという事でかまいませんね?」
 なななの言葉に牡丹は頷く。
「何か言い残す事は?」
 その言葉に、牡丹は笑顔を向ける。
「この誰かの掌の上で弄ばれる世界で過ごす人生、存分にご堪能あれ!」
 直後、牡丹は爆散する。その光景にレナリィは何も言えず、爆破跡をただ見てへたり込むだけであった。
「……自棄を起こしたのか、それとも自己犠牲か。彼女の犠牲を無駄にはできませんね」
 なななは何処か憂いを帯びた表情を浮かべると、口を開いた。

「よろしい、それでは契約者レナリィと契約者明志を処刑してデブリーフィングを終了します!」

「「ってちょっと待って!? 今の流れで何でそうなる!?」」
 処刑される宣言をされたレナリィと明志が大声を張り上げる。
「え? だってさっきのZAPの話だと、された側も契約者って事になるじゃないですか。それとも、私が間違っているとでも?」
 そう言ってななながレナリィと明志を見る。二人は目を逸らす様に横を見る。
「ふっ、計算外だったのだよ」
 そこにはてへぺろ状態の那由他が居た。

「「色々納得いかねぇー!」」

 その叫び声と共に、レナリィと明志が爆散する。復活する事は無く、残るのは爆破跡だけである。
「ふぅ……満足満足♪」
 その光景になななが超イイ笑顔を浮かべる。
「……さて、それでは宣言通りデブリーフィングを終了しよっか。生き残った皆さん、お疲れ様でしたー。それじゃおやすみなさーい」
 突如、なななの口調が変わった。呆気にとられている間になななは部屋から出ていく。
 一体なんだったのか、と生き残ったエリス、昌毅、那由他が首を傾げていたが、やがて意識が暗くなっていく。
 抵抗できず、その場に崩れ落ちる三人。

――次に、三人が目を覚ましたのは、寝床であった。