First |
1 |
2 |
3 |
4 |
5 |
6 |
7 |
8 |
9 |
10 |
11 |
Next Last
リアクション
グオオオォォォォ……!!
地鳴りのような声が、その部屋では鳴り響いていた。
ヘスティア・ウルカヌス(へすてぃあ・うるかぬす)は反対側の牢に寝転がっているシーニー・ポータートル(しーにー・ぽーたーとる)の顔を見ようと何度も角度を変えたが、うまく確認できなかった。
ヘスティアとパートナーの機晶戦闘機 アイトーン(きしょうせんとうき・あいとーん)、東 朱鷺子(あずま・ときこ)と第六式・シュネーシュツルム(まーくぜくす・しゅねーしゅつるむ)の四人は、先頃城下町で起きた暴動で、首謀者である九十九 雷火(つくも・らいか)に手を貸した咎で、捕えられていた。
協力することを避けるため、それぞれ個別の部屋をあてがわれているが、全て鉄格子であるため互いの姿を確認することは容易だ。
そしてヘスティアの記憶が確かなら、シーニーはつい今朝方まではいなかったはずだ。暴徒の中にいたかどうかは、定かではない。
雷火に確認しようと思ったが、彼はずっと、他の四人に背を向けている。そして四人も話し合うことはない。何か喋れば、それが不利な証拠として使われる、と思っていた。
――いや一人だけ、喋りまくっている者がいた。
「ヒャッハー! オレ様としたことが……捕まったネ? 無理も無いネ! オレ様、大人気! オレ様を捕まえておきたいという気持ち、オレ様にはヒジョーによく判るネ!」
という第六式の耳障りなお喋りにも雷火は全く動じなかった。シーニーも、鼾をかき続けている。
鉄の扉がズズッと音を立て開くと、真田 佐保(さなだ・さほ)が奉行所の役人を伴って入ってきた。
「待たせたでござる。奉行所との調整がついた故、全員、取り調べを行うでござるよ」
「オーケー、オーケー! オレ様は、ファンを大事にする!! 少しだけなら、話をする時間を作ってやるネ! ただし、三食昼寝付きで、カルシウムばっちりなおやつをよろしくネ!!」
佐保はにっこりと笑って見せた。
「左様でござるか。そなたの大ファンという者がいるでござるから、ぜひ話をしてやってほしいでござる」
「任せるネー!!」
第六式はケタケタ笑ったが、三人はさてどうしたものかと考えていた。この取り調べ如何では、自分たちどころかパートナーたちの処遇も変わってしまう。
三人は先頭に立つ九十九 雷火の背中を見つめた。彼はまだ、何も言わない。
シーニーは鼾をかいている。
First |
1 |
2 |
3 |
4 |
5 |
6 |
7 |
8 |
9 |
10 |
11 |
Next Last