First Previous |
9 |
10 |
11 |
12 |
13 |
14 |
15 |
16 |
17 |
18 |
19 |
Last
リアクション
後日談
漁火が戦部 小次郎によって撃たれたのとほぼ同じ頃、アンダーグラウンドドラゴンに乗ったアキラ・セイルーンは、フィンブルヴェトを遂に見つけた。
妖怪の山の最も深い、いわば中心と呼んでも良い部分にそれはあった。
人間の胴体ほどの円柱だった。血管のようなコードが周囲を覆い、脈打つように光っていた。――が、アキラが見つけたときには動作を停止し、半分ほどは壊れていた。どうやら、勢い余ったアンダーグラウンドドラゴンがぶつかってしまったらしい。
「やっべー……」
一瞬、見なかったことにして誤魔化すかと考えたが、すぐに無理だな、と思い直した。フィンブルヴェトの影響が完全に止まっていれば問題ないが、そうでないなら、オルカムイに頼んで――可能かどうかは分からないが――解析してもらわねばならない。
「……叱られたら、とぼけるかな」
アンダーグラウンドドラゴンのせいにして、とアキラは腹を括った。
* * *
真田佐保は、九十九雷火に聞いた店に向かった。
だが店の主人は、ミシャグジ事件の際に死亡しており、詳しい話は聞けなかった。
* * *
フィンブルヴェトの影響を受けた人々は、お咎めなしとなった。死人が出なかったのも幸いした――ただしこれは、契約者たちが飛び回り、怪我人の回復に努めたからである。
ドクター・ハデスは契約者だけに、果たして本当に影響下にあったかどうか、判断に悩む例であった。だがこれも結局、処分保留とされた。ただし、町を壊したことは間違いないので、復旧作業を手伝うように、と命令が下された。
そうでない者たちもいた。漁火に味方した東 朱鷺は、最後の戦いの後、行方が分からなくなった。誰もが死にかけた漁火に気を取られ、朱鷺たちに注意していなかったのだ。ハイナは彼女とその仲間を、フィンブルヴェトとは無関係であったと結論付けた。
そして九十九 雷火は、フィンブルヴェトの停止後も、主張を変えようとしなかった。ハイナ・ウィルソンはマホロバへ送り返し、葦原藩内で幽閉することを考えていた。雷火の行動は、あくまで葦原藩への反旗である――そう位置づけるのが望ましかった。
しかし漁火やオーソン関わっているとなれば、背後に真の王がいる可能性もある。葦原藩としては、そのような危険人物を――たとえ元は藩士だったとしても――引き取りたくないというのが、本音であった。
事件より二週間後、九十九 雷火の身柄はひっそりとシャンバラ刑務所へ移送された。
First Previous |
9 |
10 |
11 |
12 |
13 |
14 |
15 |
16 |
17 |
18 |
19 |
Last
担当マスターより
▼担当マスター
泉 楽
▼マスターコメント
お待たせしました。「争乱の葦原島(後編)」リアクションをお届けします。
今回は修羅場でした。主に体力的な問題とPCが。来年はクーラーを買おう、と固く決意しました。
ネタバレも含みますので、なるべく本編に目を通してから、こちらをお読みになることをお勧めします。
さて、今回で一応、漁火編は終了となります。彼女がどうなったのか、本当にもう出て来ないのか、という疑問もあろうかと思いますが、多分出てきません。
ただ、その後のベルナデットの話などもありますので、後日談的なことはどこかでやりたいなと思っています。
オルカムイの謎も残っていますし、オーソンはまだ生きていますし、シャムシエルも元気です。ミシャグジの復活は避けられましたが、何しろこの蛇はまだ生きていますから。彼らがどこでどう繋がるかは、また別の物語で語られるでしょう。……いや、だといいな。どうかな……。
ま、まあ、その際には漁火の裏設定等、本編で書けなかったこともどこかで書ければと考えています。
次回は「三千界のアバター」の予定です。あちらに参加されている方がいらっしゃいましたら、そちらもよろしくお願いします。
漁火編に長らくお付き合い下さり、ありがとうございました。