校長室
種もみ学院~迷子は瑞兆?
リアクション公開中!
月夜の下で チョウコに率いられ、契約の泉に集まっていた者達と途中で董卓達を回収して、彼女達は種もみの塔へ移動した。 カンゾーのほうも落ち着いたらしい。 そして、お互いのところであったことを話し合っているうちに日が暮れ、月が昇り始めていた。 そこで屋上の教室で、天音の発案でお月見が開かれた。 ブルーズがお月見団子を盛り、ススキの代わりに稲穂を供える。 天音が鳴響の和琴を奏で、宴は始まった。 しっとり月を愛でるなどということはない種もみ生達は、すぐにドンチャン騒ぎになった。 英霊達も虹キリンもお酒を楽しんでいる。 虹キリンが実は迷子だったと聞いたブルーズは、なんだ、と気の抜けた声を出した。 「学院生になりたいとか、帰るのを嫌がって口をきかなかったとか、そういう理由ではなかいのか」 「種もみ生かぁ……悪くはないが、その前にミツエに報告だな。迷惑かけちまったしな」 虹キリンはかわいらしい見た目にそぐわず渋い声で言葉遣いも適当だった。 また、天音に和琴に耳を澄ましていた劉備は、塔の前で戦いが始まった時、彼を心配していたと言った。 「あの場であなただけを連れて行くと、あのパラ実生達を刺激すると思ってのことでしたが、結果的には変わりませんでした……。お怪我がなくて安心しました」 「こっちはジンベーが勝手に集めた人達だったからね」 「あの人数を撤退させてしまうとは、種もみ学院の戦力はなかなかですね」 「カンゾーが出てこなかったから、張り合いなくなったんじゃないかな。そんなふうに見えたよ」 「おかげでオレの舎弟が増えたぜ」 「種もみ生も増えたな」 塔の前での戦いで大活躍をしていた竜司と武尊が加わってきた。 武尊はついさっきカンゾーとチョウコも交えて話し合ったことを告げた。 「連れてきた地球人達の生活も落ち着いてきたみたいだし、契約者も少しずつ増えてきたし、ここらで学園祭をやろうってことになったんだ。若葉分校と合同でな」 「それは楽しそうですね」 「何をやるかは来てのお楽しみだ」 劉備がにこにこしながら聞いていると、頭上から信長の声が降ってきた。 「ミツエに伝えておけい。契約を結べばヒロイン枠で使ってやるとな。次第によっては主演女優もありだとな」 「それは学園祭のことですか?」 「わしらが撮ると決めた時だ」 「返事は保証できませんが、伝えておきましょう」 信長は言うべきことを言うと、マントを翻し鮪達のところへ戻っていった。 一曲終えた天音が、そよと吹いた風に気持ちよさそうに目を細くする。 「風がオアシスから運ぶ水の匂いがする」 「うーん……」 カンゾーは鼻をクンクンさせるが、何も感じなかった。 「君は、この辺りのオアシスの出身じゃないんだっけ?」 「ああ。今は近くに住んでるけど、前はもう少し離れたとこだ。そこはもう砂漠だろうけどな」 「災害か何かで?」 「……人災だ」 カンゾーの声に苦味が混じった。 天音は先をせっつくもなく、カンゾーが話すなら聞く姿勢で彼を見ていた。 「俺とジンベーは同じオアシスにいた。よその例にもれず貧しいオアシスでな、俺はそんな暮らしから脱出したかったんだ。そんな時、どこかのオアシスで自称小麦粉の原料の植物を育てて一儲けしたって話を聞いたんだ」 カンゾーはそれに飛びつき、オアシスの住人に話して賛同を得た後に苗を仕入れて栽培を始めた。 商売は順調だった。 オアシスの暮らしも向上していった。 しかし、同時にオアシスには中毒者が増えていった。 「気づいた時には手遅れだった。……ジンベーだけが苗の栽培に反対してたんだ。あのオアシスは、俺が潰したんだ」 深い後悔がカンゾーから覗えた。 「いや、つまんねー話をしたな。今日はもう、綺麗な満月眺めて騒いで最後に日ノ出を拝もうぜ!」 その言葉通り、種もみの塔の屋上は明け方まで学生達の騒ぎ声が賑やかだった。
▼担当マスター
冷泉みのり
▼マスターコメント
こんにちは、冷泉です。 リアクション公開が遅くなり、申し訳ありませんでした。 私信をくださった方、ありがとうございました。 お返事ができず、すみません。すべて読んでます。 シナリオにご参加してくださった皆様、ありがとうございました! 次回は若葉分校と合同で学園祭をやります。 川岸マスターとの合同シナリオです。 こちらもよろしくお願いいたします。 それでは、またお会いできたら嬉しいです。
▼マスター個別コメント