蒼空学園へ

イルミンスール魔法学校

校長室

シャンバラ教導団へ

調薬探求会との取引

リアクション公開中!

調薬探求会との取引

リアクション

 宿に向かう道々。
「上映会で手紙を見て変わった様子が気になるね」
「あぁ。映像の中にも手紙が出て来たよな。二つとも同じ内容かもしれねぇな」
 清泉 北都(いずみ・ほくと)と白銀 アキラ(しろがね・あきら)はあれこれと話していた。
「恐らくその可能性が高いよ。それだけじゃなくてこちらでは一通だけだけど向こうではそれぞれの世界や学校に送っているのかもしれない」
「手紙を見た後、他の学校にも伝える必要があるとか慌ててたからな。となると大事になるという事か」
 北都と白銀は手紙を見て慌てるエリザベートの様子を思い出した。
「それが洩らした同化と平行世界という言葉と関係があるのだと思う。多分、手紙の内容の一部だろうね」
 北都は手紙を見て思わず洩らしたエリザベートの言葉を口にした。
「同化すれば、向こうにある手記が手に入るけど、校長が生徒達に何も言わないのは、言えない何かがあるのかもしれない……交わらない筈の世界が交わると何か影響を及ぼすという事で話せないとか」
 北都は現在の状況からある程度推理していく。どう推理しても愉快ではなく不愉快な事になるのは決定的。
「かもしれねぇな。とにかく本人達に聞いてみるぞ。そもそも手紙と手記を発見した者として何も知らないっつーのはどうかと思うしな。何より正体が気になる」
 白銀は思考するのをここで切った。資料が足りない状態で話しても仕方が無いので。エリザベート達に会えば推測ではなく事実を知る事が出来る。
「とはいえ、僕達はイルミン生徒ではないし、フレンドリーに接したりもしていないから答えてくれるか怪しい」
 北都は考え込む。騒ぎを起こす悪戯好きのイルミンスール生徒とはよく関わるが、校長となると別の話。
「絶好のタイミングを見計らって聞いてみるしかねぇな。そもそも知りたがっているのはオレ達だけじゃないから何とかなるんじゃねぇか?」
 白銀はこれまでの騒ぎを振り返った。調査をしていたのは必ず自分達だけではなかったから。
「絶好のタイミングか……餌で釣るような事をするつもりはないけど何か好きそうな物でも御馳走して楽しい空気になった所で聞き出そうか。重い口を開かせるには有効だろうし」
 と北都。この案のため二人は再び仲居として宿を手伝いつつ絶好のタイミングに話を切り出す事にした。

 宿前。

「やっほー、また来たよ〜。景気はどう?」
 アキラ・セイルーン(あきら・せいるーん)は出迎えてくれたのっぺらぼう夫妻に陽気に挨拶をした。
「……(何とか頑張っています)」
 女将が手振りで答えた。
「それはよかった」
 とアキラは笑顔。しかし、内心ではつるりんとした顔に触りたくなる衝動を必死に我慢していたり。
 何せ背後に
「……」
 お目付役のルシェイメア・フローズン(るしぇいめあ・ふろーずん)が待機し、にらんでいたから。
「ルーシェ、そんなにらまなくてももうしないって」
 アキラはルシェイメアに口を尖らせた。
「当然じゃ」
 ルシェイメアは腕を組み厳しく言い放った。ここをクリアしたからといってルシェイメアの監視が終わるわけではないが。
「今日はみんなもいるけど宿泊は大丈夫かな?」
 アキラは同伴のミャンルー隊を紹介しつつ妖怪も宿泊出来るなら大丈夫と思いながらも一応確認を入れる。
「…………(大丈夫ですよ。広い部屋に案内しましょう)」
 旦那が身振りで答えた。
「よーし、それじゃ行くぞー。みんなでお風呂を楽しんでお鍋を食べてお土産を買うぞー」
 了解が出るなりアキラはミャンルー達とはしゃぎ始めた。
「……現金な奴じゃ。また面倒を掛ける事になるがよろしく頼む」
 はしゃぐ様に溜息を洩らした後、ルシェイメアは代表してのっぺらぼう夫妻に改めて挨拶をした。
「まずはここで会合してる校長達に会いに行くぞー」
 はしゃぎ終えたアキラはミャンルー達を連れて会合の現場へ突撃。宿を楽しむ前にここに来た一番の目的を果たす必要があるので。
「……他意を感じるのぅ。それより今日は手が掛かる日になりそうじゃ」
 挨拶を終えたルシェイメアはアキラの背中に嫌な予感を賑やかなミャンルー達に多忙な予感を感じていた。
 とにもかくにもアキラ達はエリザベート達が会合をする部屋へ急いだ。
 そして、何とか会合に加わる事に成功した。