|
|
リアクション
★ ★ ★
「生体反応あり、また小さな目標がこちらへ超スピードで接近中!」
レーダーの履歴を見ながらコルセア・レキシントンが葛城吹雪に報告しました。目視では確認できませんが、レーダーのスケールを大きくして広範囲を索敵することで、高速移動している敵の動きが分かるようになります。ただ、分かるようになるだけで、レーダーの目盛りがより広範囲を示すので、正確な位置を把握することは難しくなります。
「威嚇射撃であります。何、まぐれ当たりでも、当たれば当たりであります。よしんば、流れ弾がどこかに飛んでいこうと、知ったこっちゃないであります。荷電粒子砲、最大出力で発射! 射線、適当であります!」
問答無用で、葛城吹雪が荷電粒子砲を発射しました。そのビームが、ジェットコースターを直撃します。
「ああ、しまったあ。わざとじゃないんでありますー」
なんだか凄い棒読みで葛城吹雪が言いました。
けれども、直後に、撃ったはずのビームが戻ってきて伊勢のイコンカタパルトをかすめました。左舷のイコンカタパルトが吹っ飛びます。
「やりやがったでありますな、リア充め。もっとどんどん攻撃するであります!」
「無理よ、いったんダメージコントロールしなさい。それから、オリュンポスへの請求書書いて!」
状況を把握しなさいと、コルセア・レキシントンが葛城吹雪にむかって怒鳴りました。
「派手だな。もっと壊れるがいい。そして、この世の全ての漁夫の利はこの我の物なのだ」
半壊する伊勢を見て、マネキ・ングが高笑いをあげました。
「ん、どうした、願仏路三六九よ」
なんだかもぞもぞしている願仏路三六九を見て、マネキ・ングが聞きました。
「なんだか、こそばゆいのだが。いや、気のせいでありましょう」
そう、願仏路三六九が答えました。実際、小ババ様からのもふもふビットの攻撃を受けていたのですが、はっきり言って、何が起こっているのか把握していないようでした。
ともあれ、願仏路三六九の意識が逸れたので、その間にペルセポネ・エレウシスはいったん安全圏へと退避したようです。
「ふふふふ、ボクの攻撃の前には、機動要塞だってただじゃすまないんだあ」
被弾した伊勢を見て、鳴神裁が勝ち誇りました。でも、合体しているアリス・セカンドカラーは違うと感じてはいました。とはいえ、今は意識が一体化しているので、なんとなく伊勢に近づくのは危険じゃないかと無意識下で感じさせるのが精一杯です。
『もっと、安全な戦いをしましょうよ』
『そうですよ、あっちなんかいいんじゃないですか』
主導権のないドール・ゴールドと黒子アヴァターラマーシャルアーツの声が、微かに鳴神裁の耳に届いてきました。
「じゃあ、あの動いていないイコンを狙うよ。撃針、一斉発射!」
『分かりました』
なぜか、動いていないダスティシンデレラver.2に、鳴神裁が狙いを定めました。黒子アヴァターラマーシャルアーツが制御して、全ての撃針の狙いをダスティシンデレラに合わせます。
「はあはあはあ……。も、もうダメ……」
「しっかりしてよ、メイちゃん!」
全身をもふられ続けて放心状態になったメイ・ディ・コスプレを、マイ・ディ・コスプレが必死に揺り動かしました。こんな棒立ち状態では、敵のいい的です。
そのとき、コックピット内に、盛大にアラーム音が鳴り響きました。
「ロックオンされてる!? だから、いわんこっちゃない……」
マイ・ディ・コスプレが言い終わらないうちに、ダスティシンデレラが吹っ飛ばされて地面に転がりました。
「また一機やられたようだね」
「ああ、ダスティシンデレラ、没と……」
お菊さんに言われて、ドクター・ハデスがイコンのリストにバッテンをつけました。