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パラミタ・イヤー・ゼロ ~愛音羽編~ 

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パラミタ・イヤー・ゼロ ~愛音羽編~ 
パラミタ・イヤー・ゼロ ~愛音羽編~  パラミタ・イヤー・ゼロ ~愛音羽編~ 

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  エピローグ


 一階・蛇(おろち)の間

「……うむ! どうやら、儀式を食い止めることができたようだな!」
 だるま天使からの魔力供給がなくなったのを確認し、コア・ハーティオン(こあ・はーてぃおん)が勝利のポーズを取った。
「ふう……。あいつら、ほんとにキモかったわ……」
 ラブ・リトル(らぶ・りとる)が、ぺたりとその場にしゃがみこんだ。
「でも、悪い人たちを止められてよかったよ!」
 朗らかに笑う夢宮 未来(ゆめみや・みらい)の頭の上では、
「皆ノ衆……ヨクヤッタゾ……」
 と、あたかも大仕事をやってのけたとばかりに、魔法攻撃力51の夢宮 ベアード(ゆめみや・べあーど)が汗をぬぐうしぐさをしていた。


 四階・足玉(たるたま)の間

 時を賭ける少女と、紙の土俵をはさんで向き合う酒杜 陽一(さかもり・よういち)
 紙の力士が、同時に倒れた。
「……引き分けなのだよ」
 いつの間にか行司の役を請け負ったフリーレ・ヴァイスリート(ふりーれ・ばいすりーと)が呟く。
 紙相撲で勝負をしているうちに、どうやら八紘零は死んだようだ。
「どうやら貴様には、パートナーロストの影響はないようだな」
 と問いかけるフリーレに、時を賭ける少女は答える。
「私は零に拾われただけで、契約してるわけじゃないから……。ってか、あんた急にキャラ変わりすぎよ」
 フリーレの演技に騙されていたと悟った少女は、ぐったりしたように肩を落とした。
 陽一はすかさず、彼女の腕を掴む。
「時を賭ける少女さんは、いろいろ知っているみたいだからね。俺といっしょに来てもらうよ」
「きゅ、急になんてこと言うのよっ! 私たち、会ったばかりなのに……」
「なにを勘違いしてるんだ。俺はただ、八紘零について訊きたいことがあるだけだ」
「……わ、わかってるわよ! あんたこそ勘違いしないでよねっ」
 ひとりで勝手に赤面する少女を、陽一はとりあえず生け捕りにした。


 五階・生玉(いくたま)の間

 及川 猛(おいかわ・たける)、そしてケイン・マルバス(けいん・まるばす)の豊富な知識により、レイゲノムの結界は破られた。
 パートナーを失った魔道書は、ただの記号の配列となり部屋中に散らばっていった。
 ロザルバ・フランカルディ(ろざるば・ふらんかるでぃ)が、すぐにバラバラになった記号を拾い集めていく。その姿は、暗殺されたケネディ大統領の飛び散った脳漿をかき集めたという、ジャクリーヌ夫人を彷彿とさせた。

「この情報、無駄にはできん。レイゲノムを殺しても、真相が不明なら、それはある意味ワシらの負けや」
 及川の執念は、最後まで褪(あ)せることはなかった。
 これまで蓄積してきた豊富な知識。さらには、最上階にて零の動向がネット中継されていたことも、研究を有利に進める材料となった。
 そして後日、及川の調査によって明かされたことある――。

 八紘零が企んでいた赫空の儀式。それは【ZERO細胞】を用いて、パラミタ中の契約者たちの間に、むりやり零の遺伝子を組み込んだ子供を産み落とすことであるのが判明したのだ。
 さらに、零が口走った【ジェネシスの終焉】なる計画についてもリサーチをつづけた及川。
 その先で彼は、驚くべき情報を入手した。
 八紘零はすでに、時空を超えて根づく世界樹とのアクセスを試みていたらしいのだ。
 ジェネシスの終焉について、詳細のすべてが明らかになったわけでない。だが、彼が社長をつとめる『パラミタデータバンク』に、重要な情報がひとつ書き加えられた。

「――パラミタ大陸には、まだ八紘零の遺伝子が残っとる」