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寝苦しい夏の快眠法

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寝苦しい夏の快眠法
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リアクション


■賑やかで幸せな夢々


「ほら、夢札を貰って来たよ。またお正月の時みたく、見たい夢見れるって、だからみんなで見たい夢を見よう!」
 双子から夢札を貰った川村 詩亜(かわむら・しあ)は妹達と共に夢札を使いぐっすりと眠りに入ると共に夢の中へ。

 ■■■

 何かの建物の中。

「ここ、一体どこかしら? 今回は深く考えなかったけど寝たのは間違い無いから夢……だと思うんだけど……まるで……」
 詩亜は豪華絢爛な装飾に溢れる建物内をくるりと見回して何かに似ていると思った時、
「ここどこ?」
 きょろきょろしながらアリス川村 玲亜(かわむら・れあ)
「うわぁ、夢の世界ってこんなところなんだね〜」
 好奇心に目を輝かせる奈落人川村 玲亜(かわむら・れあ)が現れた。
「みんな同じ夢を見てるんだね!」
 奈落人玲亜は三人が同じ夢を見ている事に嬉しそうな笑顔。奈良人なので現実ではアリス玲亜に憑依している状態で存在しているが、ここは夢の中のため個別の存在として実体を持っていられるらしい。
「目が覚めるまでたくさん、遊ぼうね」
 アリス玲亜は好奇心いっぱいに言った。
「遊ぼう。ここはお城みたいだからお城探検しよう!」
 詩亜は妹達に笑いかけた。
「しよう!」
 二人の玲亜は即賛成し、大好きなお姉ちゃんの手を握った。
 そして、仲良く手を繋いだ三人の最初の探検は
「出発!」
 この部屋の扉を開ける事だった。
 三人は
「いっせーのーでー」
 力を合わせて扉を開けて一歩部屋を出ようとした瞬間、
「ふわぁぁぁ!?」
 三人は同時に叫び声を上げた。それは恐怖の叫びではなく歓喜の叫び。
 なぜなら
「もふもふがいっぱい♪」
「かわいいね♪」
「わぁ、かわいい♪」
 詩亜と奈落人玲亜とアリス玲亜の周りには犬猫うさぎと沢山のもふもふが溢れて三人を取り囲んだのだ。ここは夢の中、おかしな事が起きても何も変ではない。
「一緒に冒険しようね♪」
 詩亜は手近のもふもふを一匹冒険のお供に抱え上げ、優しく撫で撫で。
「もふもふさん達がいっぱいで探検し甲斐がありそうだね〜」
 奈落人玲亜も可愛いもふもふを抱き上げて撫で撫でする。
 そして
「それじゃ、冒険に行こう!」
 お供を得た所で詩亜は二人の玲亜に声をかけた。
「行こう、お姉ちゃん、玲亜ちゃん」
 奈落人玲亜が楽しそうに答え、アリス玲亜も同じく可愛いもふもふを見付けただろうと声をかけた。
 しかし、
「?」
 返事は返って来ず、二人は周囲を見回すもこの空間に存在するのは
「いつの間にかいなくなってるよ」
「どこに行ったのかな」
 詩亜と奈落人玲亜だけだった。沢山のもふもふの登場で繋いでいた手を離したせいでばらばらになってしまった上にすぐに気付く事が出来なかったようだ。それだけでなくアリス玲亜の重度の方向音痴が大いに影響している事は明らか。
 しかし、
「どうせここは夢だから大丈夫だよ」
「そうだね。気にせず冒険に行こう、お姉ちゃん!」
 詩亜と奈落人玲亜はここが夢の中であるためそれほど気にせず、二人は手を繋いで好奇心の赴くままもふもふ動物と共に城内冒険に出掛ける事に。

 あちこち歩き回り城内探索を存分に楽しんでいた時、
「お姉ちゃん、色んな部屋があって楽しいね」
 奈落人玲亜はにこにこと今まで探検した部屋を振り返りながら手を繋いでいる詩亜に話しかけた。
「そうね。次はあの部屋を探検しよう!」
 詩亜も楽しそうに言うなり少し離れた場所の扉を指し示しながら言った。
 そして二人は少し重そうな扉の前に立ち
「一緒に開けよう?」
「開けよう、お姉ちゃん」
 二人は一緒に扉を開けた。
 途端
「うわぁっ!?」
 開けた扉の奥から沢山の星があふれ出し、二人を包み込み、星々は二人の服やもふもふ動物にくっついた。
「わぁ、お星様たくさん! きれいだねぇ」
「くっついて光ってるよ。きれぇ」
 奈落人玲亜と詩亜は服にくっついて輝く沢山の星を不思議そうに見たりくるりとその場で一回転してみる。
 突然、
「!?」
 星は一層輝きを増して二人の目を眩ました。
 眩しさが落ち着くと
「!?」
 二人の服は可愛らしいお姫様のようなドレス、動物達もお洒落な姿に早変わり。
「わぁ、見て、見て、お姉ちゃん」
 奈落人玲亜は自分ともふもふ動物の変身した姿を詩亜に見せようとくるりと回った。
「とってもかわいいよ」
 詩亜は手を叩いて褒めるなりそっと自分の頭に乗ったティアラに触れて
「まるでお姫様! お星様からのプレゼントだね」
 詩亜は嬉しそうに言った。
「お姉ちゃん、お姉ちゃん、次はあそこのお部屋に行こう!」
「うん、行こう!」
 奈落人玲亜と詩亜はまた手を繋いでお城探検を続けた。
 その探検は目が覚めるまで続いた。

 一方。
「……あれっ、ここ、どこ……?」
 迷子になったアリス玲亜はどこかの洞窟という見知らぬ風景に戸惑っていた。
「さっきまでみんなと一緒でもふもふがいっぱいいたのに……」
 みんなと冒険だと意気込んだもののもふもふが大量に登場した瞬間にそのもふもふに気を取られて迷子になってしまったのだ。
「お姉ちゃ〜ん、玲亜ちゃ〜ん、どこ行ったの〜?」
 アリス玲亜は思いっきり声を張り上げて二人を呼ぶが、当然返事は聞こえず自分の声が反響するばかり。
 そこで
「まさか……夢の中なのにまた迷子〜!? 前も迷子になって今回も迷子になるなんて」
 アリス玲亜は気付いた。自分が以前夢札を使った時と同じく迷子になってしまった事を。
「夢だし、大丈夫……ここ洞窟みたいだけど、何があるのかな」
 夢であるためすぐに元気を取り戻しそれほど深くは考えずアリス玲亜は眼前に広がる洞窟な風景に興味を向けた。どこをどう迷子すれば洞窟に辿り着くのか不明だが、夢のため気にする必要は無い。
「洞窟探検に出発だよ♪」
 アリス玲亜は元気に洞窟探検に乗り出した。

 あちこち歩き回り寒い所、もふもふ動物がいる所など様々な場所に立ち寄った結果。
「あれぇ、真っ暗。何があるのかなぁ?」
 アリス玲亜は真っ暗な道に入り込んでいた。言うまでもなく迷子が悪化の一途を辿っているのは明白。
「……ここは夢、面白い事があるかも……よーーし」
 怖がるかと思いきや沢山の好奇心を発揮して一歩を踏み出した。
 途端。
「ふわぁぁ!?」
 繰り出した足を受け止めるはずの地面はどこにもなくアリス玲亜の体は下へと落下する事に。
「落ちてる、落ちてるよぉ……傘?」
 ふんわりふわりと緩やかに落下するアリス玲亜は最初びっくりするもいつの間にか手に日傘がある事に気付いて広げて
「かわいい傘♪」
 アリス玲亜は可愛らしい傘に笑顔になる。
「あれぇ、いろんな物が落ちて来てる……本棚にお花に綺麗なドレスに……すごぉい」
 アリス玲亜はしっかりと日傘を握り締めて日用品などが同じようにゆるりと落下する様を見て楽しんでいた。とんでもない洞窟に入り込んだにも関わらずすっかり満喫している。
 そんな時、
「そこの可愛いお嬢さん」
「美味しい紅茶は如何かな?」
 椅子に座りテーブル上の紅茶を楽しむ紳士服を着込んだもふもふ動物がアリス玲亜に声をかけた。
「飲む!」
 アリス玲亜はふんわりと近付き、日傘を畳んで着席した。
 そして
「美味しいよ。うわぁ、きれいな蝶々さん」
 美味しい紅茶と飛び交う美しい蝶を眺めて楽しむ。まるで不思議の国の何とやら。
「……不思議な洞窟……ねぇ、どこまで落ちるの?」
 アリス玲亜は不思議な空間を楽しみながら同席する動物に訊ねた。
「さぁ」
「それより可愛いお嬢さん、美味しいお菓子もどうぞ」
 動物達は意に介さずお菓子を勧める。
「ありがとう」
 アリス玲亜は礼を言ってお菓子を頬張りながら落下する様を楽しんだ。

 ■■■

 覚醒後。
「……面白かったね♪」
 現実に戻った詩亜はにこにことアリス玲亜に声をかけた。
「そうだね、お姉ちゃん。玲亜ちゃんも面白かったって」
 アリス玲亜は憑依している奈落人玲亜と意思疎通して二人分の感想を伝えた。
 この後、改めてどんな夢を見たのか盛り上がった。