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 Episode4.恋人達の危険な遊び
 
 
 夏といえば、水着である。
 たわわに実る乳を惜しげもなく晒して、クリームヒルト・オッフェンバッハ(くりーむひると・おっふぇんばっは)は、婚約者である神月 摩耶(こうづき・まや)と、パートナーのアンネリース・オッフェンバッハ(あんねりーす・おっふぇんばっは)、摩耶のパートナー、ミム・キューブ(みむ・きゅーぶ)と共にザンスカール・ウォーターパークを訪れていた。
「クリムちゃんっ、おニューの水着、可愛いでしょ♪」
 フリルをふんだんに使ったピンクのビキニで、摩耶はくるりと回って見せる。
「そうね、食べちゃいたいくらいだわ」
 ふふっと笑うクリームヒルトの水着は、大胆に肌を露出した、極端に布の少ない赤のビキニだ。
「やだもう、クリムちゃん洒落にならないよう」
「ふふ、さて、まずは何処で遊びましょうか?」
「じゃあ、流れるプールで!」

 のんびりと流れる摩耶の捕まる浮き輪を、クリームヒルトが支えて押す。
 緩急が付いてはしゃぐ摩耶に、クリームヒルトも楽しんだ。
「こうして、まったりとするのも良いわよね〜♪」
 そして、満喫した後で気付く。
「……そういえば、アンネやミムは何処に行ったのかしら?」
「あっ、そういえば随分前からいないね?」
 自分達が楽しくて、すっかり二人のことを忘れていた。
 流れながら、あちこち見渡すと、ウォータースライダーを滑り降りている二人の姿を目撃する。
「あっ、いた!」
「……というか、何か、凄い格好じゃなかった?」
 あっという間に滑り下りて行ったので、気をつけて見ていた二人にしか解らなかっただろうけれど。


 その胸、その水着じゃ無理だろ。
 と突っ込みたくなるような過激な緑色のビキニに、無理矢理豊満な体を押し込んで、アンネリースは、旧タイプのスクール水着(名札付き)姿のミムに、ウォータースライダーに誘われた。
「アンネちゃんと一緒にウォータースライダーで遊ぶのー♪」
 無邪気な笑顔で言われたら、断れるはずもなく。
 少し水着が気になったけれど、にこやかに頷く。
「素敵ですわね。楽しそうですわ」
「あれがいいな! ミムちゃんちっちゃいから、アンネちゃんと一緒に乗るよー♪」
 多きめの浮き輪に、二人で一緒に乗って滑る。
「ミム様。落ちないよう、確りと掴まってくださいまし」
「はーいっ」
 ぎゅ、とミムは背中からアンネリースにしがみつく。
 一人は子供とはいえ、二人が乗った浮き輪は勢い良く滑った。
「きゃー♪ きゃー♪ わきゃーっ!!」
 歓声を上げながら、ゴール地点でバランスを崩す。ミムがしがみついたまま、二人はプールにダイブした。
(……っ!?)
 水面に向かおうとして、アンネリースは違和感に気付く。
 水着が外れている。慌てて周囲を見てみるも、見当たらない。
 いつまでも沈んでいるわけにも行かず、背中に張り付いているミムと共に、とりあえず頭だけ出した。
「ぷは、アンネちゃん大丈夫……って、あれっアンネちゃん水着脱げちゃってるの!?」
「ミ、ミム様、声を落としてくださいませ……」
 がし、とミムは背後からアンネの胸を両手で鷲掴む。
「ミムが隠してあげる! 早く探そう!」
「あ、ありがとうございます、でもあの……」
 幼いながらに大きなミムの胸が、背中に密着する。
 小さな手で必死にアンネリースの巨乳を隠そうとしてか、水に濡れた手が胸を滑ってしまい、アンネリースは
「あんっ」
と声を漏らした。
「あっ、あぁ、ミム様、そんなに強く、掴まれては……」
「アンネちゃん? アンネちゃん、大丈夫っ!?」
 身悶えるアンネリースを助けようと、ミムはぎゅぎゅっと抱きつく。
 耳元に息が吹きかけられ、ミムはぶるっと震えた。
「ぁは……ああっ、もう、わたくしぃっ♪」


「あらー、何か大変なことになって……っひゃあん!?」
 流れるプールにいる摩耶達の視界から、アンネリース達の姿が遠ざかって行く。
 突然お尻を触られて、うっかり変な声が出てしまい、摩耶は後ろを振り返った。
「ちょ、クリムちゃんてばぁ♪ こんなトコで、ダメだよぉぉ」
「声が嫌がってないわよ♪」
 二人のじゃれ合う姿を愉しそうに思ったクリームヒルトが、水の中で見えないのをいいことに、摩耶にいたずらを始める。
「クリムちゃ、ぁんっ、ダメ、人が……そばにいるのにぃぃ、ぁふうんっ」
 摩耶は、必死に周囲の人に気取られないように頑張るが、くすぐったくて、もじもじしてしまう。
 ああ、もう何も考えたくない、でもダメ……!
「あら、如何したの、摩耶? 顔が真っ赤よ。具合でも悪い?」
 ぴと、と背後にくっついて、心配そうに、意地悪く言いながら、水の下では、直に肌を撫でる。
「も、もういい加減にぃ……って、やぁん!」
「って、摩耶、いきなり……あふぅんっ!」
 摩耶は意を決して勢い良く振り返り、反撃に転じたところでバランスを崩し、浮き輪を水面に残して、二人で水中に落下した。
(まったく、クリムちゃんたらぁ!)
 あんなところで悪戯するなんて酷いよぉ! お返し!
 沈んで行きながら、摩耶はクリームヒルトに抱きついて、足を絡ませ、下半身を押し付けながら、お尻や太腿を撫でる。
(摩耶……ぁ、ああっ)
 突然の刺激に、クリームヒルトは為すがまま。
 二人は、お互いの弱い場所をくすぐりあいながら、水面に向かう。
 微かに残っている理性で、あまり長いこと沈んだままでは、溺れたと思われてしまう……と、そう考える余裕はあったのだ。

 水面に顔を出してみれば、浮き輪だけが随分遠くに流れている。
 追って泳ぎながら、摩耶が恨みがましく呟いた。
「……もう、ずるいんだからぁ……早く、行こ?」
 二人っきりになれる場所に。
 囁く摩耶に、クリームヒルトは指先ですっ、と背筋をなぞった。
 あんっ、と震える摩耶を見て、微笑う。
「覚悟しなさいよ♪」