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【第十一話】最終局面へのカウントダウン、【第十二話(最終話)】この蒼空に生きる命のために

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【第十一話】最終局面へのカウントダウン、【第十二話(最終話)】この蒼空に生きる命のために

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 一時間後 西シャンバラ上空
 
「艦長、これはマズいことになりましたよ……!」
 操舵席でルース・マキャフリー(るーす・まきゃふりー)が叫ぶ。
 発進してから一時間後、スミスとの交戦地点に向かう途中で迅竜はシルベルタイプの大部隊の襲撃を受けていた。
「くっ……! イコン部隊は出――」
 言いかけてルカルカは思いとどまる。
 ここでイコン部隊を損耗してしまうわけにはいかない。
 だが、このまま護衛機もなしに航行を続けるのは危険だ。
 唯一、夏侯 淵(かこう・えん)Arcemが護衛艦として随伴しているが、敵の戦力はそれ以上だ。
 現状、迅竜側でカルキノス・シュトロエンデ(かるきのす・しゅとろえんで)セリオス・ヒューレー(せりおす・ひゅーれー)が奮闘している状態だ。
 
 その上更に、接近警報がこだまする。
「こんな時に……! 艦長!」
 声を上げるルースにルカルカはすぐに振り返る。
「詳細を報告して!」
「敵の増援だ! ……識別完了、種別はなんてこった!」
 奥歯を噛みしめながら、ルースは表示されたデータを読み上げる。
「シュバルツ・フリーゲ、シュメッターリンク、シュメッターリンク?、くそっ、シュバルツ・フリーゲ?までいるときたもんです!」
 鏖殺寺院が戦力を片端から集めてきたようだ。
 しかも、それだけではない。
「ルカルカ、こちらからも敵襲だ」
 ダリル・ガイザック(だりる・がいざっく)も告げる。
「識別パターンはエリュシオン帝国。この機に乗じて攻めてきたらしい」
 固く拳を握り締めるルカルカ。
 直後、新たに現れた両軍は一斉に攻撃を開始した。
 
 そして、その攻撃は次々に銀色のグリューヴルムヒェンへと炸裂していく。
「え……?」
 ルカルカが驚いたのも一瞬、すぐにルースとダリルが彼女に告げる。
「鏖殺寺院の連中から入電です。この場において迅竜機甲師団と敵対の意思はなし、だそうで」
「同じくエリュシオン帝国軍からも入電だ。やはり同じく、俺達への敵対意図はないらしい」
 すぐさま両軍へと通信を繋ぐルカルカ。
 そして彼女はモニターの前で両軍へと最敬礼した。