リアクション
「いくぞ」
「ああ」
真一郎と享。
二人が交わした言葉はそれだけだ。
後はただ互いの愛機――鍛竜と“シルト・ヴァヴァンドルン”を駆り、迫り来る銀色の“シルト”を迎え撃つのみ。
「……」
「……」
戦いが激しさを増そうとも、二人は黙して語らない。
ただ、操縦桿を倒し、ペダルを踏み込み、敵を倒し続け、前へと進み続けるのみだ。
幾度かの激しい打ち合いの後。
二機は腰を落とし、拳を握る。
漆黒の“シルト”は装甲を脱ぎ捨て、身軽な姿に。
そして、鍛竜は今まで溜め込んだすべての熱量を背部のブースターへと叩き込む。
そして二機は同時に地面を蹴った。
弾丸、もとい砲弾の如し勢いで敵機へと突っ込む二機。
「……!」
「……!」
二機が拳を繰り出したのはまったくの同時。
同時に繰り出されたの二つの拳は、やはり同時にグリューヴルムヒェンの胸板を強かに打ち据えたのだった。