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東西統一記念ロイヤルガード合コン

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東西統一記念ロイヤルガード合コン
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■□■7■□■ 想い人は、遠く

ラルク・クローディス(らるく・くろーでぃす)は、
婚約者の砕音・アントゥルース(さいおん・あんとぅるーす)のことが気がかりだったが、
命令だからとしかたなく参加していた。
「ったく、結婚間近なのに合コンなんて砕音に泣かれたら俺どうすりゃあいいんだよ」
そうぼやきつつも、
人前では不機嫌そうな様子は見せずに、
東西交流のため、いつもどおり陽気にふるまう。
そうしていると、ミネッティ・パーウェイス(みねってぃ・ぱーうぇいす)が近寄ってくる。
「いい男はっけーん!」
ミネッティはラルクのことは全く知らなかったが、
外見に惹かれて接近したのであった。
互いに自己紹介したのち、ミネッティはラルクにいろいろと質問をする。
「ラルクさんすごくでかいですけど身長いくつなんですかー?」
「204センチだ」
「すっごーい!
あたしと50センチ近く違いますね!
体すごいですけどいつも鍛えてるんですかー?」
「ああ、鍛練を欠かしたことはないぜ」
「すっごーい!
しかも、ラルクさん、空大生なんですよね?
強いうえにお勉強もできるんですね!
何を勉強しているんですか?」
「ああ、医学部にいるんだ。医者を目指しててな」
「すごーい!」
ミネッティはラルクをほめたたえた。
さらに、少しでも優等生的に見えるように、
自分のことを話す。
「あたしはヴァイシャリーに住んでるんですよ〜。
それで、百合園では、白百合団に入ってて、いつも大変なんですよ〜」
実際には居候だったり、あまり実績を残したりしているわけではなかったが。
ミネッティはラルクとしばらく話したのち、周りに聞こえないよう手を取り、言う。
「あたし、ラルクさんの事気に入っちゃったんですけど、ダメですか?」
ラルクは苦笑すると、だが、きっぱりと告げる。
「俺、結婚間近の恋人がいるんだ。
だからこの船をおりれねぇんだ。すまねぇな、話楽しかったぜ!
またできるといいな」
「な、な、な……!?」
その話を聞いた瞬間、ミネッティはマジ切れする。
「ひっどーい! あたしとのことは遊びだったの!?」
「ちょ、人聞きの悪いこと言うなよ!?
何もしてねーだろ!?」
「そんなことないもん! ラルクさんは乙女の純情をもてあそんだのよ!」
ミネッティは、大声で騒ぎ始める。
そこに、早川 呼雪(はやかわ・こゆき)がやってきて、助け舟を出す。
「すまない。おっさんには大切な人がいるんだ。
そのひとは、俺にとっても大切な人だから……。
許してやってほしい」
(い、イケメンキター!)
ミネッティは、呼雪を見て大人しくなる。
「ま、まあ、じゃあ、しょうがないかな……」
(ロイヤルガードのイケメンと2人も知り合いになれたんだもんね。
他にもイケメンを紹介してもらえるチャンス!)
そう考えたミネッティは、その場は退散することにした。

★☆★

「お互い大変だな」
「まったくだ」
呼雪とラルクは笑みを交わしあう。
「そういえば、相手が決まらないと解散できないというなら、
俺達で組めば良いんじゃないか?
ヴァイシャリーならよく来ているし、良い店や腕の良い職人も知っているから
一緒に先生へのお土産でも見に行こうか」
「あ! そうだ!! だったらダブルデートしようぜ! それだったら皆喜びそうだな!」
呼雪とラルクは、
その後、美羽につぁんだがシメられている様子を見物しつつ、船を下りる。

★☆★

そのころ、ヴァイシャリーのカフェでは。
「ううー、呼雪が心配だよー」
ヘル・ラージャ(へる・らーじゃ)が、
度会 鈴鹿(わたらい・すずか)のパートナーの織部 イル(おりべ・いる)
一緒にお茶しながらやきもきして待っていた。
「まぁ……出来る事といえば、信じて待つ事だけじゃ」
イルは、きれいなヴァイシャリー湖を眺めて景色を楽しんでいたが、
ヘルはずっとそわそわしている。
「うぅ、絶対カップルにならなきゃいけないなんて……
呼雪なら下手な相手連れて来ないと思うけど、気が気じゃないよー」
「このちーずけーきなるものも、なかなかに美味じゃ。
ほれほれ、そなたもこれを食べて落ち着くがよい」
「うん、とりあえずケーキ食べてお茶飲んで、落ち着こう。
……って、紅茶もう冷めてる」
ヘルはがっかりして肩を落とす。

「おつかれさん」
「ただいま」
ヘルが新しいお茶を頼んでいると、ラルクと呼雪がやってきた。
「呼雪! って、相手は筋肉くんかい。なるほどねー」
「じゃあ、俺はおっさんと一緒にヴァイシャリーの街を回ってくるから」
「えー!? 僕、また留守番―!?」
「いいのか?」
ラルクがたずねるが、呼雪はうなずく。
「ああ、おっさんとたまには2人で話したいこととかもあるし。
それに、イル様はここで待っていた方がいいだろう」
「ぶーぶー。ずるいよー」
「良い子で待っていたら、お前の分も何か買ってくるから」
呼雪はヘルの頭をぽんぽんと軽くなでる。
「うーん……」
ヘルはしぶしぶうなずく。
(なんか最近、子ども扱いされてるような)
「よろしくお願いします」
お辞儀する呼雪に、イルは笑って答える。
「ヘル殿の事はご心配には及ばぬ、妾にお任せあれ。
最近子守にも慣れてきたからのう」

こうして、ラルクと呼雪はヴァイシャリーの夜の街へ消えた。