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東西統一記念ロイヤルガード合コン

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東西統一記念ロイヤルガード合コン
東西統一記念ロイヤルガード合コン 東西統一記念ロイヤルガード合コン

リアクション

■□■2■□■ ティセラとアイシャ

西シャンバラロイヤルガードの
ティセラ・リーブラ(てぃせら・りーぶら)
パッフェル・シャウラ(ぱっふぇる・しゃうら)
セイニィ・アルギエバ(せいにぃ・あるぎえば)の3人は、
「合コン」という状況に困惑していた。
しかし、有名人のため、ひっきりなしにダンスに誘われている。
「……少し前に同じようなことがありましたわね」
ティセラは、ダンスを拒むパッフェルやセイニィの分も、
踊りまくっていた。

「おつかれさまです」
踊りつかれたティセラに、東シャンバラロイヤルガードの
神楽坂 有栖(かぐらざか・ありす)が、現れる。
西と東が統一され、友好の場が設けられたことを素直に喜ぼう。
そう考えて、有栖はこの機会にティセラと会話しようと思っていたのだった。
「こんにちは、ティセラさん♪
えっと、私、東のロイヤルガードの神楽坂 有栖と申します。
よろしくお願い致しますね」
微笑みつつ会釈した有栖は、手にした包みを差し出す。
「これ、お近づきの印の、手作りのクッキーです♪
お疲れでしょう?
飲み物と一緒にどうぞ。
お口に合えば宜しいのですけど」
「どうもありがとう。紅茶と一緒にいただきますわ」
ティセラは、微笑を返し、有栖とテーブルにつく。
有栖とティセラは、ロイヤルガード同士、
お互いの簡単な自己紹介をしつつ、紅茶とクッキーを楽しんだ。
ふと、有栖がじっとティセラの顔を見つめているのに気付き、ティセラは問う。
「どうかなさいましたの?」
「……あ、ごめんなさい……ティセラさんって、
何だかミルフィにちょっと似てるかなって思って……」
「ミルフィさん?」
「あ、ミルフィっていうのは、私のパートナーなんですけど……
ミルフィも、ティセラさんと同じような綺麗な銀色の髪をしてて、
喋り方も何だか似てて……
胸もおっきいかな♪ なんて」
有栖はぺろっと舌を出す。
「とても仲の良い方なのですわね」
穏やかな笑みを浮かべるティセラに、有栖はうなずく。
「はい、ミルフィは、私にとって大切な人です。
私は、ミルフィや、私のお友達や、
私にとって大切な方達を護りたくて、ロイヤルガードになったんです……
ティセラさんにも、ご自分にとって大切な方や、
かけがえのない方はいらっしゃいますか……?」
「ええ、わたくしの大切な方は、シャンバラ前女王、アムリアナ様ですわ」
ティセラは、慈しむような、優しい表情をして言う。
「そして、5000年前からの親友、
パッフェルやセイニィも……それに、今では他にも多くの方々が、
わたくし達を支えてくださっていますわ」

★☆★

そこに、騎沙良 詩穂(きさら・しほ)が歩み寄って談笑に加わる。
「お茶のお代わりをどうぞ」
給仕の家系の娘らしく、完璧な動作で詩穂はお茶を入れる。
実は、詩穂は、
空京大学の学生だが、今日は、5万G払って東ロイヤルガードの権利を購入していたのだった。
それは、ティセラに自分のある思いを伝えるためであった。
デジタルビデオカメラを取り出して、詩穂はティセラに言う。
理子様を通じて
アイシャちゃ……様へ直接の伝言お願いしてもよろしいでしょうか?
面識があるのでティセラ様に伺うのが一番だと思いました」
新女王、アイシャの名が上がり、ティセラは少し表情を改める。
「わたくしがアイシャ様へ伝言を? どのようなものですか」
詩穂は、真摯な表情でティセラを見返す。
「アイシャ様にフマナで出会い、
女王としての彼女の覚悟を受け止め、彼女を護りたいと強く想いました。
両代王様に仕えるロイヤルガードでなく、国家神に仕える役割を志願したいのです」
「国家神のアイシャ様に?」
「はい。重役の身辺を護る方々は多いですが心を護りたいのです。
アイシャ様は女王の力を授かった時から逃げ続けていました。
辛い事でしたが助けを呼ぶ声がなければ出会えませんでした」
アイシャに出会ったことのことを思い出し、詩穂は伊達眼鏡の奥の目を伏せる。
「ティセラ様も、アムリアナ様への気持ちは同じでしたよね?
ティセラ様が大切な方々を想うように詩穂も大好きな笑顔を護り続けたい!」
決意を表した詩穂に、ティセラは真剣な面持ちでうなずく。
「わかりましたわ。たしかに、アイシャ様に伝えましょう」
「では……」
詩穂は、女王への忠誠を誓う儀式を、ティセラに依頼した。
仮段階ではあるが、騎士の叙任式を元に、
女王の短剣を鞘から抜き出し、ティセラに預けたのだった。
ひざまずいた詩穂の肩に、ティセラは短剣を振り下ろす。
詩穂は、剣に口づけをすると、
シャンバラ独立記念コインに宣誓する。
「騎沙良 詩穂は、
アイシャ・シュヴァーラ様に、
この命を懸けて忠誠を誓います」

儀式が終わると、詩穂は、いつもどおりの天真爛漫な笑みに戻った。
「ありがとうございました。
お邪魔しちゃってごめんね」
詩穂はティセラに礼を言い、有栖に言う。
「いえ、とても……とても、かっこよかったです!」
有栖は、少し離れた場所から見守っていたが、
顔を紅潮させて言った。
「このメッセージも、必ず、アイシャ様にお渡ししますわ」
「よろしくお願いいたします」
詩穂は一礼すると歩み去っていく。

★☆★

この合コンからほどなくして、アイシャの元に、
詩穂のメッセージ入りビデオが届けられた。

アイシャの自室にて。

「こんにちは、詩穂です☆

見える?
平和なヴァイシャリー
お姫様抱っこした時に詩穂だけに見せてくれた心の底からの笑顔を覚えています」
自分撮りしながら、詩穂は、ヴァイシャリーの夜景も映して見せる。

「詩穂……」
大切な友人との出会いを思い返し、アイシャは顔をほころばせる。

「国家神として誰にも言えない辛い事がこの先あると思う。
詩穂は信じてる。
戦渦として5000年前と同じ過ちをくり返したけど人はそんなに愚かじゃない。
アイシャちゃんは民を護り導くと決めたから。

表向きの役職は身辺警護になると思う。
でもホントに護りたいモノは違います。
ゆっくり絆を育みたいです。
2人だけの時は何でも言って。
約束した通り嬉しい時も泣きたい時も抱きしめるよ……」

アイシャは、温かい気持ちで胸を満たしていた。
そして、「やはりこの時が来たのだな」と、
以前の詩穂に告げられた言葉を思い出し、考えていた。

メッセージビデオは続く。

「もっと色々な顔を見せてほしいな。
無防備な寝顔もね☆」

「詩穂ったら……!」
アイシャは、詩穂の屈託のない笑みを見て、同じように笑みを浮かべたのだった。