蒼空学園へ

イルミンスール魔法学校

校長室

シャンバラ教導団へ

東西統一記念ロイヤルガード合コン

リアクション公開中!

東西統一記念ロイヤルガード合コン
東西統一記念ロイヤルガード合コン 東西統一記念ロイヤルガード合コン

リアクション

■□■5■□■ ティセラと夜のヴァイシャリーへ

そんな感じで大騒ぎのパーティー会場であったが。
ティセラの周囲はなんとか落ち着きを取り戻した。

「ティセラ様、どうぞ」
宇都宮 祥子(うつのみや・さちこ)は、東ロイヤルガードの権利を買い、
5000年もののワインのグラスを2つ用意して、
ティセラの前に現れた。
「まあ、どうもありがとう」
祥子を見て、ティセラは安堵した表情になる。
「悲願であった建国と独立、おめでとうございます。
そしてこれまでのいろいろなことに対して、おつかれさまでした」
2人はシャンバラ建国に乾杯した。
祥子は、様々なことに翻弄され続けてきたティセラに、
安寧の時が訪れてもいい頃合いだと考えていた。
(それに、ティセラ様のことをもっと知りたい。
これまで伺うことのなかった、ご自身のこと……。
暗いことに触れることもあるかもだけど、それでも……)
ダンスに誘うと、ティセラは快諾した。
どちらのパートも優雅に踊れるはずのティセラだが、
今日は自分がリードして差し上げたい。
祥子はそう思った。
「剣の花嫁は、大切な人の似姿だと言われていますが……。
今のティセラ様のお姿は誰にとっての理想の姿?」
ゆったりとした音楽に合わせて、落ち着いた口調でティセラは答える。
「わたくしは、わたくし自身にとっての理想……シャンバラ女王のスペアの姿ですわ」
その答えに、祥子は納得した。
ティセラは、いつでも自分の使命のために生きているように見えたから。
「では、新生シャンバラを……どのような国になってほしいとお思いですか?」
「誰もが笑って暮らせる平和な世界になってほしいと思いますわ」
「その中には、ティセラ様もいらっしゃるのですよね?」
祥子の問いに、ティセラは一瞬、目をしばたかせたが、
「ええ」
すぐにうなずいて見せた。

★☆★

ダンスを終えて、談笑するティセラと祥子の前に、
飲み物を持った葛葉 翔(くずのは・しょう)が現れた。
「よお、楽しんでるみたいだな」
3人分の飲み物をテーブルに置き、東ロイヤルガードのマント姿の翔は言う。
「ティセラとゆっくりと話をしたくてな、今日の俺は東のロイヤルガードなんだぜ」
「あなたも、そのために5万G払ってくださいましたの?」
「ああ。互いにロイヤルガードになって色々と急がしかったしな、
ちゃんと話をしたのは夏の海以来か?」
そう言いつつも、大勢と話したり踊ったりして疲れているであろう
ティセラを気遣い、翔は、向こうから話しかけてもらえるのを待った。
「西ロイヤルガードとして、
これからも、協力していくことがあると思いますが……よろしくお願いいたしますわ」
「ああ、もちろんだ」
ティセラと翔は乾杯する。
「まぁ、あれだ。
何かささいな事でも困った事があったら誰かに手助けしてもらえよ。
例えば、十二星華の仲間や俺を含めたロイヤルガードの連中とかにさ」
「……他の方にも似たようなことを言われましたわ」
ティセラは苦笑する。
「皆、ティセラのこと気遣ってるからな。
それに、こうみえて意外と頼れる男なんだぜ、俺は。
でも書類仕事だけは勘弁な」
力こぶを作って白い歯を見せて笑う翔に、ティセラは微笑を向ける。

★☆★

「ああ、翔クン……」
電柱のような太さの柱の陰に隠れて、
アリア・フォンブラウン(ありあ・ふぉんぶらうん)は、野球選手を目指す弟を見守る姉のように見ていた。
フルプレートアーマーの少女が、
じっとティセラ達を見守っているのは怪しすぎだが、
幸いにも、アリアを気にするものはあまりいなかった。

★☆★

祥子は、ヴァイシャリーのカフェにティセラを誘おうと思っていたが、
ライバル登場に、いつ切り出そうか少し迷っていたが。
意を決して、誘うことにする。
「ティセラ様……」
「ティセラ、一緒に船を……」
翔の言葉が重なる。
ティセラは、穏やかな笑みで2人を見て言った。
「よろしければ、3人でご一緒いたしません?
翔さんもロイヤルガードの任務ですものね。
セイニィはお相手がいるようですし、パッフェルも……」
祥子と翔は、顔を見合わせたが。

「わかりました。ティセラ様がそれをお望みなら」
「ああ、俺もつきあうぜ」

少し複雑な気持ちではあったが、断られるよりはと、
祥子と翔はティセラと3人で、
ヴァイシャリーのカフェへと向かったのだった。

★☆★

(どんまい翔クン、まだまだチャンスはあるよ。
それに、これは第一歩かもしれないよ!)
アリアは、心の中でパートナーを応援し、その気持ちはとてもピュアだったが、
相変わらず柱の陰で不審者全開であった。