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【蒼フロ3周年記念】蒼空・零 ~1946年~

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【蒼フロ3周年記念】蒼空・零 ~1946年~

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●Epilogue

 よく晴れた……雲ひとつない空である。
「ふぅ、面白かったですわね」
 ダークヴァルキリーの翼をはばたかせ、中願寺綾瀬はゆっくりと高度を下げていった。
「かくて歴史変革の企みは失敗。未来は守られたというわけですわ」
「守られた――のかしら?」
 綾瀬のまとう衣、その名も漆黒のドレスが問いかけた。
「細かな点では様々な変化が起こってしまった気がするけれど」
「そうでしょうね。歴史が調整して大きな変化は防ぎましたが、細かな点では変更点もあるでしょう」
「さてさて、それがこれからどう世の中に作用するのか……」
「まあ、個人レベルでの心境の変化ならあるでしょうが、世の中に、というと微妙ですわね。いいのではありません? それで」
 さて、我々も帰りましょうか……と、綾瀬が高度を落としたときである。
「ピーガガピーガガ!」
 奇怪なる声が聞こえてきたのだ。地上からだ。
「……空から来たものではない。けれどそれよりも重要なもの……そう、切り開くもの! 彼らこそ空を切り開く! はるか明日の明日、あの空に一つのフロンティアを、数多の物語を生みだすその原点! リメンバー! 彼らこそ、フロンティア! 蒼空に多くを刻む始まりのフロンティアァァァァァ!」
「ちょ……なんですの?」
 さすがの綾瀬も不安になって、声の主を捜した。
 地上、渋谷の闇市だ。誰かが高台に乗って叫んでいる。両手を振り上げ、空をクワと睨みながら全力で声を上げていた。それが『予言者様』と通称される謎の男性であることを彼女たちは知らない。
「……彼らは来た! 見た! 去った! 今は彼らが来た理由、見たもの、去った場所を考えるのはやめておこう!
 だが探そう! 彼らが残したものを! この時代に撒いた種子を!
 探そう! リッメンバー!


 いつの間に彼はこんな高台を組んだのだろうか。
 四メートルほどの高さがある櫓の上で『予言者様』はたっぷりと叫ぶと、やがて、何か憑き物が落ちたような顔をしていそいそと縄ばしごを伝って降りた。
 そしてしみじみと言ったのである。
「――ああ、腹が減ったなあ」





 『【蒼フロ3周年記念】蒼空・零 〜1946年〜』 完

 

担当マスターより

▼担当マスター

桂木京介

▼マスターコメント

 
 ここまで読んで下さったことにまずは深く御礼申し上げます。マスターの桂木京介です。
 桂木史上最大・最長のシナリオになりました。今回はプレミアムシナリオという形態であっただけにプレッシャーはこれまでになく大きく、とかく追われるようにして死に物狂いで執筆作業にいそしみました。書いても書いても終わりの見えてこないさまはさながら覚めない夢のようで、この一ヶ月、執筆以外の記憶がほとんどありません。
 やっと終わった、という気持ちと、とうとう終わった、という気持ちその両方で、現在はなんだかボロ雑巾のようになっております。

 内容について多くは語りますまい。
 私の考え、皆様への感謝、そういったものは、リアクション本文と個別コメント(全員分書いております)で酌み取って頂ければ幸いです。

 よろしければご感想などお聞かせ下さい。それだけが楽しみで書いていたようなところもありますので……。

 それではまた、お目にかかれるその日まで。
 桂木京介でした。



―履歴―
 2012年7月21日:初稿上梓