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29)ネージュ・フロゥ(ねーじゅ・ふろう)

ネージュ・フロゥ(ねーじゅ・ふろう)は、
舞衣奈・アリステル(まいな・ありすてる)を連れて、
「トッドの部屋」にやってきた。
元々明るく快活なので、たくさん質問に答えようとはりきっていたわけだが。

「ネージュさん、

−−−−−−−−−−(コピー用切り取り線)−−−−−−−

っていう点線が身体に巻きついて見えるのだけど、どうなさったの?」

「わかんないよ。
なんだか気がついたら身体に巻きついてて……。
もしかしてこれって『メタ発言』ってやつかな?」
「きっとやんちゃしすぎたのでそうなったんですよ」
舞衣奈が神妙にうなずく。
「うん、これ以上、都合の悪いこと言いすぎないようにしないとね。
とゆわけで、質問カモーン!」

「では、行きますね。
百合園女学院に在籍する皆さんへ、
宇都宮 祥子(うつのみや・さちこ)さんからの質問です。

あなたにとって百合園女学院の校長、桜井静香様をどのように思っていますか?
また、そのパートナーであるラズィーヤ・ヴァイシャリー様をどのように思っていますか?
一寸曖昧なので補足すると、
公人、或は私人としての静香様やラズィーヤ様をどう思ってるか、ですね」

「祥子部長、いい線ついてくるね。
桜井静香様は理想のお姉ちゃんという感じかな?
それにしては
数年前のクリスマスで背中におぶさった時、
……なんだかあたし、未成年なのに酔っぱらってたみたいで、
そのあと角で目を突き刺してきた人もいて、記憶があいまいなのは認めるけど……
ちょっぴり肩が角ばって感じたんだけどなぜだろう……?」

「では、ラズィーヤさんのことは?」
「ラズィーヤ様は
はっきり言ってドS……げふんげふん」
「全部言っちゃってるわよ、ネージュさん。

次は、
渋井 誠治さんから。

好きな食べ物は何ですか?
割とありがちな質問だけど、番組の中で時間があれば答えてくれると嬉しいな。
出身地が違うと食文化も違うだろうし、皆がどんなものが好きなのかちょっと気になったんだ。
パラミタだと地球の料理はなかなか食べられないかもしれないけど、
ここでアピールしておけば空京で流行っていつでも食べれるようになるかもよ?
なーんてね」

「実はあたしはお肉大好きなんだ。
お嬢様だけどガッツリいっちゃうもんね。300グラムは軽くペロリだよ。
フランス出身だからっていうのもあるかなー?
お肉料理がおいしい国だもんね」
「なるほど、確かに外見からは意外ですね。
次は
青葉 旭さんから。

自身の所属校ってどの程度大事に思っている?
質問がアバウトですが、極端な例を挙げると、
王国が滅んでも学校を守る。
他の学校を全部潰して自分の学校1校だけにしたい。
友達よりは大事だけど、恋人よりは大事でない。
嫌い、早く転校したい。
全く大事でないどころか明日にでも破壊したいくらい嫌い。
といったところかな。

自分の学校のこういう点が改善されたらもっと好きになれるのに、
というのがあったらそれもお願いしたい」

「学校については特に何も考えてないよ。
あたしは良家のお嬢様ということで百合園に来てるだけだもんね。
あと、もう少しわかりやすいところに地図とかあると、
迷子になりにくくて助かるかも。
百合園けっこう広いもんね」

「では、最後にわたくし、トッドから。

ネージュさんは、みずからオーバーキルされるような行動を
常日頃からされているそうですけれど、
どんなオーバーキルが理想なのかしら?」

「オーバーキルは、自分が苦手なものを
敢えて受け入れることで、
多様なリアクションを取りつつもぶっ倒れる自虐一発ネタ。
理想とするオーバーキルは、あたしがぶっ倒れることで、
他のみんなに笑いとともに存在感をアピールできればな、ということですよ。
なので、『イベカになっちゃう』ような過激なネタばっちこい!」
「ネーおねえちゃん、ジュース用意してもらったですよ」
「ありがとう。
この赤い野菜とフルーツジュース、好きなんだ。
いただきま……ガファアッ!?」

ネージュは炎を吐いてその場にぶっ倒れた。

「いつもよりだいぶ辛さマシマシでお送りします。
火力もいつもの2倍(当社比)なのです。
とはいえ、この火はあくまでも『辛いぞ』というイメージを
具現化したもの。スタジオには危害は出ないので
安心して欲しいのですよ」
激辛リキッドをこっそり混ぜておいた舞衣奈が笑顔で言った。

「こうして、実際のオーバーキルを拝見すると、
いかにもネージュさんって感じがしますね」
トッドさんも笑顔で締めくくった。