校長室
年の初めの『……』(カギカッコ)
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●教導団の閲兵式(本編五) 確かに、小次郎の爆弾的おっぱい宣言(略して爆乳宣言)は、場の流れを変えたといえよう。 続いて壇上に登ったアルフ・シュライア(あるふ・しゅらいあ)も、楽しげに言ったのである。 「今年も沢山の人との出会いを期待しております。というか、我々男性としては女性との出会い、またその親睦推進は、後々の少子化対策としても非常に有効なものでありまして、軍という特殊な組織にあっても、時にはそのあたりを考慮したイベントの開催などあってもよいと思う次第です。無論これは、女性団員としても同じことでありましょう。 ……要するに、教導団限定合コンをしてみたいな、ということであったりします。以上!」 途端、彼の契約者であるところのエールヴァント・フォルケン(えーるう゛ぁんと・ふぉるけん)が真っ赤な顔をして飛び出してくる。 「アルフ、発言はもう少し良く考えてからしてくれよ!」 「まだマイク入ってるよ?」 「えっ……!? し、失礼いたしました……」 慌ててエールヴァントはマイクをオフにした。 「でも、考えてした発言だぜ。まあ合コンという表現がひっかかるなら、たまには団の中で遊ぶイベントしようぜ、ということであって、そう問題発言ではないと思うけど」 「ええい、もう」 エールヴァントはアルフを舞台袖まで引っ張っていく。 「修学旅行もクリスマスもない団に何を求めてるんだお前は……」 「いいじゃん新年の希望ってか抱負なんだし。さっきの小次郎君も言ってたじゃないか? おカタい発言ばっかりじゃつまらないよ。殺伐とした内容のものよりいいだろ」 「アルフーっ、次に発言する僕の立場も考えてくれー!」 「そんな泣きそうな顔しないで。ほら、団長さん待ってるよ」 そうだった、とエールヴァントは駆け戻ってきた。 ルカルカの紹介を受けて、彼は深々と一礼した。 「今年もよろしくご指導ください。エールヴァント・フォルケンです」 続いて決意を表明する。 「より一層の精進でもっと自分の出来る事を増やし、団の一員として、昨年よりももっと役に立てるようにしていきたいと思っています……」 そのとき小声で、「エルヴァ、エルヴァ」と舞台袖から声がした。アルフが白い紙を両手で持ち、そこに書かれた文字を示している。 大きな字で、『具体性に欠ける! 就職の人事担当者でもこんな事いう人取らないよ!』と書いてあった。 判ってるよ、というような視線をアルフに送るとエールヴァントは続けた。 「当面は今一番興味深い、各種資料を情報端末(コンピュータ)でより早く検索できるよう、データベースの整理・取りまとめをもっと効率よくできるように整えて行きます。今までの経験をより活化していけるように、ですね。 組織としての経験を各個人が活用できるようにしていきたいです」 上手くまとまった。拍手に包まれながらエールヴァントは安堵するような顔をしていた。されどそれもすぐに引き締まる。 鋭鋒が発言したのだ。 「データベースの整理は急務だ。休み明けにでもその計画について話を聞こう」 鋭鋒団長じきじきに諮問するというのだ。エールヴァントは足が竦みそうになった。光栄ではあるが、身が縮こまるような思いがする。諮問の日までは不安でよく眠れなくなりそうだ。 「それから……アルフ・シュライア」 羅英照が言った。 「え? はい」 まさか自分にまで声がかかると思っていなかったので、アルフは目を丸くしている。 「きちんと納得できるプランを提出できるなら予算を出そう」 「合コンにですか? やったー!」 「……親睦会と表現するように」 英照は一言釘を刺したが、「なんだ言ってみるもんじゃん!」とアルフは浮かれていたので聞いていないかもしれない。