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chapter.13 紫式部と清少納言 


 すべての授業を終え、メジャーや式部、そして大勢の講師たちは原住民に別れを告げて帰路についていた。
「いやあ、今回も楽しかったね!」
「……私は心労で倒れるかと思った」
 呑気なメジャーの声に、式部は皮肉交じりに答えた。しかし彼には通じなかったようで、「はは、でももうこれで次は、大学でも教えられるね」と返されてしまった。
 式部は、この二日間で何度吐いたか分からない溜め息と共に、シボラの方向を振り返る。
「まあ……面白かったっていえば面白かった、かな」
 その顔は、満更でもなさそうであった。
 と、式部はふと思い出した。
「あれ、そういえば、少納言は?」
 そうだ、来る時は後をついてきたんだろうけれど、帰りまでストーキングする必要はないはずだ。にも関わらず、彼女の姿は近くに見えない。
「もしかして、まだシボラに?」
「そうかもしれないね。なにせあそこは、いつまででもい続けたくなっちゃう場所だからね」
 メジャーが笑って言うと、式部は静かに小さく、首を縦に振った。
「そうだ、あと、結局あのふたつ目の学校ってどうなるの?」
 式部がメジャーに聞く。それは、鮪らが勝手に建てた小さな校舎のことだった。
「ああ、素晴らしいことじゃないか。ぜひ切磋琢磨して、ふたつとも素敵な学校になってくれるといいね!」
 メジャーのその言葉は、もしかしたら今後の発展次第では、援助などもあるのではという可能性を含んでいた。
 シボラでの勉強ブーム。
 それが、ただのブームで終わらないことを、彼らは期待している。自分たちの生きるところは、そういったものがすぐに移り変わってしまうからだろうか。
 いずれにせよ、彼らとシボラの交流が深まったのは、紛れもない事実であった。



 シボラ。
 鮪たちの建てた別校舎の中で、少納言はベベキンゾ族とパパリコーレ族に囲まれていた。彼女の独特な言葉遣い、そこに興味を持った原住民たちが、よりその言語を学ぼうと、彼女に教わっていたのだ。
「ツギ! ツギノコトバ!」
「なんだか聞きなれない響きで、おしゃれだよね」
 人気者のような扱いを受ける少納言はもちろん悪い気などするはずがなく、すっかり上機嫌で彼らと言葉を交わすのだった。彼女の前には、生徒たちからの貢物であるカレーや豆腐料理、アイス、そしてラーメンなど授業で習得した料理がずらりと並んでいた。
 おいしいものをたくさん食べることができ、ちやほやしてもらえる。少納言は、ここが理想郷ではないかとまで思い始めていた。
 これ以上ない幸福感の中、少納言はシボラの青空に喜びの声を響かせた。
「シボラ、あらまほし!」


担当マスターより

▼担当マスター

萩栄一

▼マスターコメント

萩栄一です。初めましての方もリピーターの方も、今回のシナリオに参加して頂きありがとうございました。

時間割の作成が難しいかな、とアクションが届く前は思っていたのですが、
思っていたよりも特定の科目に比重が寄っていたため、お陰様で割とすんなり時間割を作れました。
予想外に同じ科目内で内容がリンクしているアクションなども多く、楽しく書かせて頂きました。

なお今回のリアクションの結果、シボラには新しく、
「カバディ」「全裸でイスに座る際は座布団を敷く」「歌にはコーラスをつける」
の三つの文化が根付きました。
該当の講義を行った方々には、ガイドにもある通り称号を付与させていただきました。

今回の称号は、MCLC合わせて4名のキャラに送らせて頂きました。
ちなみに称号の付与がなくても、アクションに対する意見などを個別コメントでお送りしているパターンもございます。

次回のシナリオガイド公開日はまだ未定です。
詳しく決まりましたらマスターページでお知らせします。
長文に付き合って頂きありがとうございました。また次回のシナリオでお会いできることを楽しみにしております。