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第14試合

 
 
『第14試合に参りたいと思います。
 イーブンサイド、コア・ハーティオン(こあ・はーてぃおん)パイロット? 龍心機 ドラゴランダー(りゅうじんき・どらごらんだー)サブパイロット? でいいんでしょうか。グレート・ドラゴハーティオンです。
 オッドサイド、笠置 生駒(かさぎ・いこま)パイロット、ジョージ・ピテクス(じょーじ・ぴてくす)サブパイロットによるジェファルコンです』
「頑張れー。でも、なんでドラゴランダーはここにいるの?」
 歌と踊りで応援していたラブ・リトル(らぶ・りとる)だったが、イコンシミュレータのそばで突っ伏すようにして大人しくしている龍心機ドラゴランダーを見て、高天原 鈿女(たかまがはら・うずめ)に訊ねた。
「だって、ドラゴランダーの身体じゃこの中に入るのは無理でしょ。だから、ドラゴランダーのデータと思考だけをシミュレータに直結してるのよ。はい、またちくっといくけど我慢してねー。心配ないわよ、痛みは一瞬よー」
 そう言うと、高天原鈿女が、先に電気ショックでスタンさせておいた龍心機ドラゴランダーの尻尾に、ぶすりと端子を差し込んだ。
『――(ガオォォォォォン!!!!)』
 龍心機ドラゴランダーが声にならない悲鳴をあげたが、当然誰にも聞こえはしない。
「まったく、面倒くさいわねえ。うまくいくの?」
 インターフェースのプロトコルを調整しながら、リカイン・フェルマータが久我浩一に訊ねた。
「内部の非破壊端子ではなく、外部端子からデータを直結するだけですからなんとか。事前に取ったイコンとパイロットデータ以外のデータは基本的に弾きますから、パイロット以外のキャラクターや固有メカは未登録データとして弾かれますので大丈夫でしょう」
 とはいえ、インプラントもないのにどうやっているのだろうと、ちょっと心配しながら久我浩一が龍心機ドラゴランダーをチラリと見た。
 本来であれば、魔鎧である龍心機ドラゴランダーが変化した龍心機ドラゴランダーとコア・ハーティオンが一体化して龍心合体ドラゴ・ハーティオンとなり、さらに龍帝機キングドラグーンと変形合体してグレート・ドラゴハーティオンになると言うことなのだが、今回その一連のシークエンスは全部省略である。その過程は、観客の心の目で見てもらいたい。元々がプラヴァー・ステルスをベースとした機体であるので、変形合体過程はステルス機能によって目視は難しい。
 最終形態であるグレート・ドラゴハーティオンは、胸にドラゴランダーの顔を持ち、黄金の翼と装甲に被われている。
 対するジェファルコンは、ほとんど基本状態のままである。これは、笠置生駒がまだ手に入れて間もない機体であるため、致し方ないというところだろうか。だが、武装の方は、ビームサーベルに銃剣つきビームライフル、ショルダーキャノンに多弾頭ミサイルランチャーとかなり充実していた。
『黄龍合体グレート・ドラゴハーティオン!!』
 高層ビルの一つをリングポストに見立ててその上にひらりと降り立ちながら、グレート・ドラゴハーティオンが腕を組んだまま名乗りをあげた。
「すっごいなあ」
 ちょっと感心したように、笠置生駒が言った。
「いや、すでに原型が分からなくなっているのだが、あんなふうにしたいのか?」
 リアルロボット系のジェファルコンをスーパーロボット系にするつもりかと、ジョージ・ピテクスが笠置生駒に突っ込んだ。
「そういうわけじゃないけどね。あのくらいいじれたらなあって……」
 これからどうジェファルコンをいじろうかと思いをはせながら、笠置生駒が答えた。
「ジェファルコ〜ン」
「いや、やらんでいい!」
 コア・ハーティオンをまねして名乗りをあげようとした笠置生駒を、ジョージ・ピテクスがあわてて押し止めた。
『正々堂々と戦おう!』
 コア・ハーティオンが宣言するように言う。
「今じゃ、隙だらけじゃ!」
 ジョージ・ピテクスが、ショルダーキャノンのボタンをポチッとなした。
「ああ、それは卑怯なんじゃ……」
「戦いは、非常じゃ!」
 ジョージ・ピテクスが叫んだ。
「むん」
 発射されたショルダーキャノンの弾丸を、コア・ハーティオンがギロチンアームで払いのけて鉄壁の守りを見せる。
『では、参る!』
 コア・ハーティオンが、剣を取りだした。
グレート勇心剣!」
 一気に加速して突っ込んでくる。
「こっちもいくよ!」
 イコン用マントを翻して、真正面から笠置生駒も突っ込んでいった。同時に、多弾頭ミサイルを撃ち込む。分裂したミサイルが、グレート・ドラゴハーティオンを押しつつむように爆発した。
「やったか!?」
「それは禁句じゃ!」
 フラグを立てるでないと、ジョージ・ピテクスが笠置生駒に突っ込んだ。
『まだまだあ! ファイナル・スラッシュ!!』
 コア・ハーティオンの振り下ろした大剣が真っ向からジェファルコンを捉えた。その勢いのまま吹っ飛ばされたジェファルコンが、下のビル群に突っ込んで盛大に爆散する。
『良い勝負だった。またいつか戦おう!』
 爆発にむかってくるりと背をむけてポーズをつけると、コア・ハーティオンが言った。
 
    ★    ★    ★
 
『勝者、グレート・ドラゴハーティオンです!』