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第10試合

 
 
『続いての第10試合は、
 イーブンサイド、プラヴァー・デフォルトタイプ、AI制御です。
 対するオッドサイドは、斎賀 昌毅(さいが・まさき)パイロット、マイア・コロチナ(まいあ・ころちな)パイロットの乗るフレスヴェルグです』
 第二世代量産機のプラヴァーのデフォルトタイプと同様に、斎賀昌毅のフレスヴェルグは第二世代機であるクルキアータをベースとしていた。足に取りつけたクローアームをアンカー代わりとして安定性を増し、ビームアサルトライフルとバスターライフルを使い分ける中遠距離攻撃仕様の機体となっている。その名の通り、巨大な猛禽類をイメージさせるデザインではあるが、カラーリング的には金剛鸚哥のように美しく派手である。
「シミュレータというのはちょっと物足りないが、天学生としては、無様な姿をさらせないからな。最初から全開で優勝目指していくぜ」
「ええ、ボクも頑張ります。二人で絶対優勝しましょうね」
 斎賀昌毅に言われて、マイア・コロチナが力強くうなずいた。
「敵は、プラヴァーのデフォルトタイプのようです。フィールドは雲海のようですね。敵機反応、3時方向から急速に接近してきます」
 レーダー解析を終えたマイア・コロチナが斎賀昌毅に告げた。
「よし、敵の射程範囲に入る前に決めるぞ。相対距離を取りつつ、雲海に身を隠す。敵を見失うな」
 雲海の中にフレスヴェルグを沈めると、斎賀昌毅はプラヴァーを正面に捉えつつ後退して距離を保った。その間に、バスターライフルへのチャージを完了させる。
「ターゲットロック継続中」
「よし!」
 雲海の中で素早く機体を安定させると、斎賀昌毅がバスターライフルを発射した。衝撃波で雲海を二つに割りながら、弾体がプラヴァーめがけて飛んでいく。だが、充分に警戒していたプラヴァーは、即座に回避運動に入った。それでも、肩をかすめ、ショルダーアーマーの装甲が衝撃であっけなく吹っ飛ぶ。
「外れただと?」
「風速データ修正値入れます。このへんには大きな気流があるようで、互いの機体が流されているようです。次いけます」
 不満気な斎賀昌毅に、マイア・コロチナが言った。
 その間にも、プラヴァーが一気に間合いを詰めてくる。
 雲を水飛沫のように飛び散らせながら姿を現すと、フレスヴェルグがビームアサルトライフルを構えた。敵のメイン武装も同じ物だ。
 先に発砲したのはプラヴァーの方だった。被弾した焦りからか、有効射程外から光学データだけで撃ってきたらしい。
 マイア・コロチナが回避運動を取りつつ修正データを送ってくる。
 斎賀昌毅が満を持してビームを放った。プラヴァーの胸部に命中する。爆炎が広がり、雲の一部が消し飛んだ。
 
    ★    ★    ★
 
『勝負ありました。フレスヴェルグの勝利です!』
 
 
第11試合

 
 
『第11試合ですが、組み合わせによってガネットとアウカンヘルというAI同士の戦いとなってしまいました』
 ガネットは、天御柱学院の水中戦に特化したイコンだ。
 対するアウカンヘルは、アルジェナをベースにした物だが、ほとんど面影は残っていない。ショルダーアーマーに触手のような可変槍を四つずつ持ち、両腕にはライトニングウイップが内蔵されている。その他にも、背部コンテナには自立行動型の無数のフェザーナイフを装備している機体だ。
 戦いの方は海上都市のフィールドで行われた。
 アウカンヘルがオクトストライクのランスをガネットの外殻に撃ち込んだが、そのまま変形したガネットに海中に引きずり込まれてしまい、ガネットを半壊させて行動不能にするも水中で身動きがとれずに相討ちとなった。