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第7章 瞑想して修行だぜっっっっっっっっ!!

 ザザザザザ
 シャンバラ大荒野、巨大な滝の流れる一画では、滝壺の側で、多数の生徒たちが座禅して、精神を集中させ、瞑想による修行を行おうとしていた。
「何かよくわからない存在がいるようですわ。コンタクトをとってみましょう」
 セシル・フォークナー(せしる・ふぉーくなー)もまた、精神を統一し、何者かとの交信を行おうとしていた。
 ピンッ
 セシルのアホ毛が直立して、精神感応を行う際のアンテナの役割を果たし始める。
 ピコッ、ピコッ
 アホ毛が、微妙にうごめく。
 そして。
 セシルが、最初にメッセージを受け取ったのは。
「ククク……セシルよ! 貴様もまた、狂気の道に入るとはな!!」
 ケヴィン・フォークナー(けびん・ふぉーくなー)であった。
「お兄様? まさか、最初にお兄様とコンタクトすることになるとは、思いませんでしたわ」
「クックック!! コンタクトだと? また、笑わせてくれる!! どうみてもこれは精神攻撃ではないか!! チクチクくるが、それもまた、俺には快感だ!! それと、わかっていないな。まずは、自分に近しい存在とコンタクトしてしまうものなのだ。いきなり突き抜けるというのは難しいぞ。クフフ」
 ケヴィンは、耳障りな笑いをあげ続けた。
「お兄様、いつまでも笑っていればいいですわ。お兄様はお兄様で、自分の電波を撒き散らして、他の方の修行を妨害しようとしていますわね。ずいぶん、趣味がいいですわね」
「フン!! 精神バトルを仕掛けようと努める貴様と何が違うというのだ? それにしても滑稽だな、この修行場の連中は、いくらがんばってもろくな存在と交信できないというのに、それでも目の色を変えて修行している!! だから、俺のような輩に……」
 ブツッ
 セシルは、強引に交信を打ち切った。
 くてっ
 セシルのアホ家が、一瞬倒れる。

「さあ、稔との交信を開始しましょう」
 安芸宮和輝(あきみや・かずき)は、そういって、静かに目を閉じた。
「目の前にいる私と交信ですか。なるほど、いい練習にはなるでしょうね」
 安芸宮稔(あきみや・みのる)はうなずいて、沈黙する。
 和輝と、稔との交信。
 つまり、精神感応による交流である。
 言葉を介さずに、いかに交信するか。
 和輝にとっては、まさに、おおいなる挑戦であった。
「大丈夫ですかー。一応、結界は張ったし、私も雑霊対策はしましたがー」
 クレア・シルフィアミッド(くれあ・しるふぃあみっど)は、二人の様子を心配そうに見守っていた。
 だが。
 実はその瞬間、二人はもう、「つながっていた」のである。
(稔! 稔!)
 和輝は、一心に呼びかけていた。
(和輝。やっと、心の声が通じましたね)
 稔の温かな声が、和輝の脳裏に響き渡った。
(ついにやりました! 嬉しいです!)
 和輝は、交信が成功したことで、意気が高揚するのを感じた。
(喜ぶのは、まだ早いですよ。大変なのは、これからです)
 稔は、和輝を穏やかに戒めた。
(そうですね。では、もっと、深くにまでいきます)
 和輝は、精神をさらに集中させ、稔の記憶を探り、特に、武術系の記憶から、おおいなる知識を得ようと努めた。
 深く。深く。
 和輝は、全身全霊を傾けた。
 精神感応というのは、実際には、かなりの集中力を必要とするのである。
 「瞑想するときは、リラックスして」などとよく聞くが、高次の存在と交信するときは、リラックスというのではなく、むしろ、誠心誠意の集中が求められるのである。
 高次の存在というのは、それだけ、波動が繊細なのだ。
 深い交信を行おうとすればするほど、非常な集中を要し、肉体が消耗されていく。
 だが、和輝は、にわかとはいえ、よくやっていた。
 何とか、稔の中の「知恵」にアクセスできそうだと思った、そのとき。
(あらあら。初心者ながら、なかなかやりますわね。ひとつ、お手合わせ願いましょう)
 異質な存在の声がしたかと思うと、きらきらと輝く光の弾丸が、和輝を襲ってきた。
 もちろん、その弾丸は、実際にはみえないものである。
(な、何でしょう!? 雑霊が入れるはずはないのですが)
 和輝は、攻撃を受けて、戸惑った。
 精神が、ガーンと揺さぶられたような感じである。
 生命力を、もぎとられたようにも思えた。
(雑霊ではないわ。これでも、それなりの修養を積んでいますから)
 和輝と稔との交信に割り込んでいる、セシル・フォークナー(せしる・ふぉーくなー)はいった。
(あともうちょっとで、貴重な知恵を、手にすることができたというところなんですが)
 和輝は嘆いた。
 突如わりこんできた存在と精神バトルをする技量など、いまの和輝にはない。
(さあ、反撃できないなら、とりあえず耐えてみますか? 耐えられれば、強くなると思いますわ)
 セシルは、そういって、なおも精神的攻撃を仕掛けてくる。
 と。
(あ、ああー!!)
 セシルは、声にならない悲鳴をあげた。
 とてつもない光の塊がセシルに押し寄せ、セシルを包み込み、浄化して、和輝から引き離していく。
(和輝さん、あなた、何と交信していたのかしら?)
 何も知らないセシルは、一度突破した結界の外に弾き出されてしまった。
「ぷはっ!! ああ、助かりました」
 瞑想が終わり、和輝はぜいぜい息をあえがせた。
「はじめての交信で、いきなり妨害されるというのは、きついですからね。さらに攻撃を受けるなどというのは少々ハードルの高すぎる試練ですので、私の手で追いやりました」
 稔が、淡々とした口調でいった。
 セシルを襲った、とてつもない光の塊は、稔が発したものだったのである。
 稔は、英霊にして、神。
 安芸宮神社の祭神、オオトシガミなのであった。
 そして稔は、和輝の守護神的存在でもあったのである。

「さあ、あたしも、感度ビリビリにして、交信するわよ!」
 セレンフィリティ・シャーレット(せれんふぃりてぃ・しゃーれっと)は、滝が流れ落ちる崖の上に座って、瞑想を開始した。
 ひゅううう
 風が吹いただけで、セレンフィリティはビクビクっとするものを感じた。
 じわっ
 何かが、湿り出す。
 岩の上に座っているから?
 否。
 セレンフィリティは、一糸まとわぬ、生まれたままの姿、つまり全裸で瞑想を行っていたのである!!
「あー、ったく、いきなりスピリチュアルに目覚めたと思ったら! 風邪ひいたらどうしようかしら」
 セレンフィリティの隣で、セレアナ・ミアキス(せれあな・みあきす)もまた、修行につきあわされ、全裸で座る羽目になっていた。
 くしゅん!!
 くしゃみを繰り返しながらも、セレアナも精神を集中させようとする。
 本当に、何かと交信できたりするのだろうか?
 何でもいいが、早くすませたかった。
 ひゅううううう
 風が吹くたび、2人の乳が揺れた。
 谷間を抜けた風は、爽やかな色香に匂っているようだった。
 そのとき。
(ぴきーん! きたきたきた、きたわよー)
 セレンフィリティは、内心喝采を叫びたくなった。
 いま、通信がきた。
 どのような存在かはわからないが、みえない世界の、何かかもしれない。
 セレンフィリティは、ドキドキと胸が高鳴るのを覚えた。
 さあ、いったい、どんなメッセージが伝えられるのか!?
(クックック。よくも、俺の電波を受信できたな。ほめてやろう。そして、教えてやろう。幸せになりたいなら、簡単だ。一切の虚飾を捨て去り、あるがままの姿で本能の赴くままに動くがいい!! クククク)
 耳障りな笑い声をあげながら、その存在はそう伝えてきた。
 その存在、実はセシルの兄、ケヴィン・フォークナー(けびん・ふぉーくなー)なのだが、セレンフィリティは超次元のマスターであると信じた。
(あるがままの姿で! 本能の赴くままに!!)
 セレンフィリティは、その教えにビビッとくるものを感じた。
(そうだ。押し倒せ、全てのものを! またがれ、全てのものに! 腰を揺らせ、頂点に昇りつめるまで!! ウララー、クックック)
「わかったわ!」
 瞑想を終えたセレンフィリティは、すっくと立ち上がった。
「全てのものを襲う。そして、貪る!! 原始時代、肉食だったあのころに帰る!! それが人にとっての幸せなんだわ!!」
 セレンフィリティは、邪悪な笑いを浮かべながら、駆け出した。
 よくみると、その唇からは、ニョキニョキと牙がのぞいているようにさえ思えた。
「きー! 犯ーす!! ぱふぱふー、いやーん、イッちゃうー」
 セレンフィリティは、他の修行者を襲い始めた。
 カリカリ。
 痛い!!
「エッチー、イヤー、きゃはははは」
 セレンフィリティは、狂気に包まれていた。
 みれば、セレアナも、やはりケヴィンからの通信を受けて、発狂してしまっている。
「グチョグチョよ!! もう、全てはグチョグチョよ!!」
 妖しく身をくねらせながら、目が合ったもの全てを悩殺するセレアナ。
 やがて。
 2人は、気がつくと、互いを抱きしめあっていた。
 片方が上になり、また片方が上になる。
 そして。
「あ、あああああああー!!! きゃいーん、ぱみゅぱみゅ!!」
「い、いいいいいいいー!!! じゅーだー、じゅーだー、がが!!」
 二人は、常に電波を受信している状態で、精神感応の快楽に溺れる中、脳内麻薬をほとばしらせ、肉体的快楽の極みで絶叫して、倒れ伏したのである。
(ククククク! ここまでノッてくれるとは思わなかったぜ!!)
 どこかに座っているケヴィンは、瞑想しながらほくそ笑んだとのことである。