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一会→十会 —指先で紡ぐ、聖夜の贈り物—

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一会→十会 —指先で紡ぐ、聖夜の贈り物—
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【喜びのひととき・2】


「お、おおおまえにプレゼントを作ってきてやったですぅ」
 やって来たクロエへ、シャーロットはラッピングされたキャンディケインを渡す。
「かわいいー! これ、もらっちゃっていいの?」
「いいのですぅ。ありがたく受け取るのですぅ!」
「ありがとうっ。それにしてもこれ、かわったいろあいね。さんしょくのキャンディって、あまりみないきがするわ」
「当然ですぅ。なんてったってシャーロットが直々に、クロエのイメージに合わせて作ってやったんですからっ」
 そう言われて、クロエはキャンディケインの色が青、白、赤と自分の服の色であることに気付く。
「ほんとだわ! すてき! ありがとう!」
「あ……あぅあぅ……」
 素直に感謝の気持ちを伝えられて、シャーロットは言葉に詰まってしまう。その様子を物陰から覗いていたローザマリアも、思わずふふ、と微笑むのであった。


*...***...*


「はい、これ。前に約束していたモップスさんのぬいぐるみよ」
 ウィンダムが差し出してきた包みを、モップスが開く。中から出てきたのは、実によくモップスの特徴を捉えたぬいぐるみだった。
「出来はちょっと……だけど、心はこもってるわよ?」
「分かってるんだな。そこまでボクも皮肉屋じゃないんだな。
 ……ありがとう、なんだな」
 ぺこり、と頭を下げて礼を口にするモップスは、ちょっとだけ『子供たちのマスコット』っぽく見えた。
「普段からそうしていたら、もっと人気出ると思うのにな」
「性分なんだな。ボクはボクのままやってくしかないんだな」
「あら、そうとは限らないかもしれないわよ? 少し目線を変えるだけで案外、簡単に生き方って変わるものだから」
「……妙に説得力のある言葉なんだな。一応、心に留めておくんだな」
「そうしてくれると嬉しいわ。
 それじゃ早速……モップスさん、たまには年上の男性らしく、年下の女性をエスコートしてみない?」
「……無茶ぶりなんだな。リンネでもこんなこと言わないんだな」
 皮肉を言いつつも、逃げ出そうとはしないモップスであった。


*...***...*


「来たわよ、アオイ……ってどうしたの、嬉しそうじゃない」
「えっ、そ、そんなことない……かな?」
 {SNL9998936#カヤノ・アシュリング}に指摘されて、葵は慌てて取り繕う。自分が嬉しいのはもちろん大事だけど、やっぱり一番はプレゼントを渡す人……カヤノに嬉しい、って思ってもらいたかった。
「はい! カヤノちゃんにクリスマスプレゼント!」
「……え? あ、あたいに?」
 目の前に綺麗にラッピングされた包みを差し出されて、カヤノは驚きの表情を見せる。それが予想通りだったから、もう葵は嬉しくてたまらなかった。
「わぁ……」
 包みを解いたカヤノは、二頭身サイズにデフォルメされた自分のぬいぐるみを見つめていた。さらに包みの中には葵の人形の他、葵とカヤノにとって大切な人の人形も入っていた。
「あたしと女王サマとカヤノちゃんで、ひとつだよ! みんないっしょ!」
 これが、プレゼントを作る時に葵が頭の中で思い描いたものだった。一つだけじゃ寂しいから、みんな一緒なら寂しくないから。
「こっちがミオで、こっちがアオイ。……みんな、一緒。
 ……あはっ、あはははは……もう、なによ。こんなものプレゼントされたら、嬉しすぎて泣いちゃうわよっ」
 言葉の通りに、カヤノは泣いていた。もちろんその涙は、嬉し涙。
「……そうね、いつまでも、みんな一緒よ。アオイ、言ったからには守りなさいよね! 破ったら許さないわ!」
「うん! カヤノちゃん、これからもよろしく、だよっ!」
 葵が両手で、カヤノの両手を包み込む。カヤノはまだちょっと泣き顔の、けれど満面の笑みで応えた――。