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第19章 パラミタでの初詣

 1月6日。
 正月を地球で過ごした人達が、パラミタに戻ってきていた。
 辻永 翔(つじなが・しょう)辻永 理知(つじなが・りち)夫婦も、自分達の実家で正月を過ごして、昨晩、パラミタに戻ってきたばかりだ。
 翌日の今日。早起きして着付けを頑張って、空京神社へと訪れていた。
 今年に入って参拝は3回目、パラミタでは初めての参拝、初詣だった。
「地球では馬子にも衣装ってお父さんたちから言われたけど……どうかな」
 理知はすれ違う人達と自分の姿を気にしながら、翔に尋ねた。
 華やかな着物を着て、髪を結って、いつもより化粧にも時間をかけて、おめかしをしてきた。
「似合ってるよ。ええっと、素材もいいからね」
 翔は言葉を選び、そう答えた。
「うん!」
 逸れないように、と。理知の方から翔と手を繋いで、共に拝殿へと歩いていく。
「あっ、あのお守り可愛い〜!」
「っと」
 可愛いお守りを見つけて、突撃しそうになった理知の手を、翔が強く掴んだ。
「こらこら、迷子になって放送で呼ばれたいか?」
「大丈夫だよ。翔くんとちゃんと手、繋いでるからね」
 繋いでさえいれば、今みたいに理知がふらふらつっぱしろうとしても、翔がしっかり掴んで引き止めてくれるという、確信と安心感があった。
「まずは祈願だ。お守りや絵馬はその後で、貰おうな」
「うん」
 翔に腕をひかれるように理知は歩いて、2人で拝殿の前に行き、祈願をした。
 理知の願いは、どこでも一緒。『家庭円満』だった。
 これからもずっと、今隣にいる大好きな彼と、一緒にいたいから……。
「今年もよろしくね。って、これで3回目?」
 祈願を終えてすぐ、笑顔を翔に向けた。
「今年もよろしく」
 翔も微笑んで、3度目の同じ言葉を、元気をくれる大切な伴侶の理智に言った。

 昨年のお守りを返してから、新しいお守りを選んで授かる。
「去年の『家内安全』の効果あったよね」
「ああ、世界ではいろいろあったけれど、大きな怪我もなく過ごせてよかったよ」
「今年も楽しく仲良く一緒に過ごしていきたいな。
 私の夢もできたからその夢に向かって頑張ろうっと」
 理知はお護りを手に誓い。それからおみくじを引くことにした。
「……小吉」
 巫女から受け取ったみくじを理知はしっかり確認していく。
「うん、内容はいいかな。書いてあることに注意して、健康に過ごそー!
 翔くんはどうだった?」
「俺は、吉。難しい言葉でかかれているけど……何事も、努力すれば良い方向に向かうって意味だろうな」
「それじゃ、今年もお互い努力して、健康に楽しく過ごそうね」
「ああ。絵馬も書いていくか?」
「うん!」
 絵馬を貰って、2人はそれぞれ願いごとを書いていく。
 理知の願いは、夫婦円満に過ごすことだった。
 翔の願いは――仕事に励み、家族を守るという誓いだった。