リアクション
【柊 恭也(ひいらぎ・きょうや)の一日】
恭也の朝は少し遅めに始まる。
斬る、焼く等の調理しかしない簡単な朝食をぱぱっと用意し、ささっと食べる。
それが終われば自分の装備の点検をする。
ぼーっとしながらも、手さばきは見事。……やる気があるのかないのか、謎である。
昼は恋人であるアイリ・ファンブロウ(あいり・ふぁんぶろう)とパトロールに出かける。
「あーだりぃ……」
「ちゃんとパロトールしますよ! ほらほら!」
「してるしてる。このかっぴらいた目が全部網羅してるぜー」
「半開きじゃないですか!」
そんなやりとりをしながらのパトロール。
端から見れば恋人同士がイチャついているようにしか見えない。
「ほら、ちゃんと、目を開けて下さいっ!」
「いてててっ! わかったわかった、だから手を離せぇ!」
いや、誰の目から見てもイチャついているようにしか見えない。
だがそれは昼までだ。
夜になり、アイリと別れることになる恭也。
「まったく……明日はちゃんとやりますよ」
「へぇへぇ」
アイリの姿が完全に見えなくなるまで見送った恭也。
と、恭也の目つきが変わる。
我々もあまり見たことがないがよく耳にする、“戦闘狂”という単語。
それを、目の前にいる恭也から容易に感じ取ることが出来た。
「さぁて、潰すとしますか」
突如として機敏に動き始める恭也に、カメラが追いつくことは出来ない。
完全に彼を見失ったの束の間、どこからか男性の悲鳴が聞こえる。
慌てて声がした方に向かうと、ゴロツキのような男たちが重なり山になっていた。
「……、そういやこれ、アイリも見るんだっけか。ミスったなー」
その言葉を残して、恭也は空へと消えた。我々が撮影できたのは、そこまでである。
これが柊 恭也の一日――