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リアクション
【紫月 唯斗(しづき・ゆいと)の一日】
この男、日の出に起床する。
これにはスタッフも寝ぼけ眼で驚いた。
彼は忍者、らしい。どうして忍者がこの番組に出演しているのか、謎である。
ともかく唯斗は家族の部屋を回り、乱れた布団を直す。
それを終えると向かった先は葦原明倫館。
総奉行よりも早く出勤し、手早く書類整理を終わらす出来る忍者。
その後は仮眠をし、目を覚ませば愛妻弁当を頬張る。……狐の面をしつつ。
何故彼は狐の面をつけているのだろうか。
愛妻弁当を食べた唯斗は講義に参加。
生徒たちへ様々な戦闘方法をレクチャーする。
その礼儀正しくも落ち着いた雰囲気は誰もが見習いたいものだろう。
彼の能力は講義だけには留まらない。
総奉行がサボっていないかをチェックするため、日夜その超神速には更に磨きがかかっていくのだ。
全ての仕事を終えた唯斗は自宅へと帰宅する。
そこで忍者としての鍛錬を始めるのだが……。
―速すぎて、まったく見えないのですが……
そこそこ性能のいいカメラでも唯斗を追いきることはできない。
“過程”をすっとばされ、いきなり“結果”が舞い込む、そんな状態だ。
「ああ、すいません。そうなりますよね。ではこちらの巻き藁を」
と、言った瞬間巻き藁が細切れになった。
恐るべき忍者。いやニンジャ。
結局、何をしているのか、映像に捉えることはできなかった。
それは逆に、彼の驚異的な身体能力を如実に表すだろう。
しかしそれでも、彼が狐の面を取ることはなかった。
これが紫月 唯斗の一日――
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