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リアクション
十九世紀のイギリス、ロンドンを再現した空京のテーマパーク、
マジェスティック。
霧の中から、
クリストファー・モーガン(くりすとふぁー・もーがん)があらわれ、
視聴者に向けて会釈する。
「ここは、虚弱体質の少年探偵弓月くるとくんと、
彼の介護者である女子高生古森あまねさんが
俺達と一緒に怪事件や殺人事件の真相に迫る、探偵達のワンダーハウスさ」
「そんなに事件ばかり起きるんですか?」
ジークリンデの不安げな問いに、
クリストファーは笑みを浮かべる。
「ああ。マジェスティックは怪奇と回帰と回忌の巣窟だよ。
たとえ、探偵がいなくても、
事件はそこかしこで鎌首をもたげているんだ」
すると、どこからか絹を切り裂くような悲鳴が聞こえてくる。
「よし、行ってみよう。事件解決したら、また落ち合おうね」
クリストファーが走っていく。
「待って! あたしも行く!
誰かが襲われてるかもしれないのよね!?」
「私も行きます。
事件と聞いては放っておけませんから」
理子とジークリンデも後を追う。
「後は任せたよ、相棒」
クリストファーはそう言い残し、
霧の中に、理子とジークリンデとともに消えた。
「まったく、仕方ないな」
クリスティー・モーガン(くりすてぃー・もーがん)は、司会進行を代わりに努めることになった。
「心配しなくてもいいよ。
きっとあの3人なら事件を無事解決に導くだろう。
じゃあ、ボクたちは、別の場所に行こうか」
小ラズィーヤ・ヴァイシャリー(しょうらずぃーや・う゛ぁいしゃりー)と
プロフェッサー・ポシブルのタイムマシンに乗り、
クリスティーは、近未来のヴァイシャリーにやってきた。
「近未来は、少子化が進む事により、ゆるやかな滅びに向かってたんだ。
その世界を救おうと小ラズィーヤが現代にやって来たんだよ」
未来を救うには、小ラズィーヤが誕生しなければならない。
そこで、
静香とラズィーヤと契約者の間で、特別な方法を使って、
大勢の小ラズィーヤを誕生させることに成功したのであった。
「皆で静香さんに協力したんだよ。
ボクも、静香さんと文通した手紙なんかを持ってきてね」
桜井 静香(さくらい・しずか)の
ペンフレンドであったクリスティーの協力もあって、
小ラズィーヤは誕生したのだった。
ゆえに、遺伝的には、クリスティーと小ラズィーヤは「親子」の関係になる。
「見るがいい。
みんなのおかげで、たくさんの私と平行世界が生まれて、私も生まれたんだ。
だから、おまえには感謝しているんだ」
小ラズィーヤは、タイムマシンの窓から、未来の世界を眺めながら言った。
「ところで、小ラズィーヤは
いつか、プロフェッサー・ポシブルになるのかな?」
「それはどうかな?
プロフェッサーのような大人になるのはけっこう大変だよ!
イッツ・ポシブル!」
クリスティーの問いに、タイムマシンを運転しているプロフェッサー・ポシブルが言う。
「そうだな、ああいう大人にはなってはいけない気もするんだが。
なんというか、素直なところは羨ましいかもしれないな」
小ラズィーヤは本人は認めようとしないが、ファザコンである。
しかし、それがあんまりな形で表れてるポシブルは、
父親である静香にエッチなことをしようとしている。
「うん。素直な気持ちは大事だけど……」
小ラズィーヤがファザコンになった原因に思い当たる点があるため、
クリスティーは、小ラズィーヤの未来に思いをはせる。
「これからも静香さんと仲良くね」
「ああ、クリスティーも、私の親として、仲良くしてやってくれ。
まだ、この時代で学びたいこともいろいろあるからな」
「うん。かわった『親子関係』だけど。
これからも、よろしくね」
クリスティーと小ラズィーヤは、握手を交わした。
ふたたび、場面は変わって。
クリストファーが戻ってくる。
舞台は、薔薇の学舎である。
「5年分の思い出をひとつにしぼるのは難しいよな。
本当にいろいろあったね」
クリストファーが言い、
クリスティーも深くうなずく。
「声楽の勉強も、それなりに様になったかな」
「うん、苦労も多かったけど、歌うのはやっぱり楽しいからね」
音楽室前の廊下を歩きつつ、
クリストファーとクリスティーは話す。
第二音楽室の前で、クリストファーが立ち止り、視聴者に視線を送る。
「そうそう、第二音楽室では新入生が良い声で鳴……」
クリスティーの拳により、クリストファーの発言はさえぎられた。
「きゃあああああああああああああああああああっ!?」
そんな時、どこからかまだ幼い少年の悲鳴が聞こえてくる。
「俺様はいわば生きた彫刻!
美を体現するもの! 音楽に対抗だ!」
新入生が、変熊 仮面(へんくま・かめん)の裸を見て悲鳴を上げたのだった。
「おやおや、この学舎では日常茶飯事なのに。
これでは先が思いやられるね」
「彼に慣れてしまうのは、それはそれで問題なんじゃないかなあ。
ボクたちがいうのもなんだけどね」
クリストファーに突っ込みつつ、肩をすくめるクリスティーであった。
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