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のぞき部あついぶー!

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第9章 リース


「はじめまして、リース・アルフィン(りーす・あるふぃん)です。今日はよろしくお願いします」
 本テントの中で、リースは全員に挨拶して回っていた。
 消防騒ぎのためにしばらくテントで待機することになり、着替えずにお茶を飲んだりお喋りをしたりと、みんな思い思いに過ごしていた。今いるのは、この面々である。

リース・アルフィン
秋葉つかさ
桐生ひな
ナリュキ・オジョカン
望月寺美
ミルディア・ディスティン(みるでぃあ・でぃすてぃん)
和泉 真奈(いずみ・まな)
四方天 唯乃(しほうてん・ゆいの)
シィリアン・イングロール(しぃりあん・いんぐろーる)
桐生 円(きりゅう・まどか)
オリヴィア・レベンクロン(おりう゛ぃあ・れべんくろん)
漆髪 月夜(うるしがみ・つくよ)

 と、そこに新たに1人が加わった。
 ――のぞき部のあるところ、この女あり。
 そう言われて半年以上が経っているので、のぞかれたくない女子にとっては不吉な存在でもある。
 久世 沙幸(くぜ・さゆき)、そして常に人目をはばからず沙幸にやらしいスキンシップをとる藍玉 美海(あいだま・みうみ)だ。
 沙幸は、みんなのために甘酒を持ってきて配り始めた。ただ……御神酒と甘酒、どっちがどっちかわからなくなってしまったため、両方を混ぜて持ってきていた。
 美海が神主の目の前でいろんなところを触ってくるので、まともな思考回路がなくなっていたのだろう。
 そして、この「甘酒」を飲んだ女の子は早くも目がトローンとしていた。
 まだ幼いシィリアンまで飲んでしまったのか、火照った顔をして、身体をくねくねしながらつかさに訊いてくる。
「ねーねー。のぞき部ってー、何をのぞくのー? なんか楽しいもの? んんー。わっかんない!」
「ちょっとシリィ!」
 慌ててパートナーの唯乃が連れ戻しにきた。
「いいのよ、そんなことは。どうせ私たちは対象外なんだから」
「大将がいい?」
「もういいから。それにしても……」
 とチラリと悪名高きえろ大将つかさを見た。
「神社でのぞきなんて、なんつー罰当たりなのかしら」
 つかさは目を合わせてにっこりと微笑み、丁寧に会釈している。まるで神をも恐れぬといった様子だ。
「ある意味、その根性は誇ってもいいかもね……」
「怒ってもいいかもね?」
 唯乃はシリィの酔っ払いっぷりを恐れた。
(おかしなことに巻き込まれなければいいけど……。)
 と思ったら、もう巻き込まれていた。
「胸は揉まれると大きくなるって知ってたあ?」
 漆髪月夜が後ろからシリィの胸をもみもみもみもみ……。
「わひゃひゃ。わひゃひゃ」
 シリィはまだ子供だから、それがどんな行為なのかてんでわかっていなかった。
「本当だよ。本に書いてあったんだから!」
 もみもみもみもみもみ……。
 と、今のところはかわいいものだ。
 そして、今日もまたパラミタ名物“桐生対決”が始まった。
 ――桐生対決とは、桐生円と桐生ひな、どちらがより桐生かを争うという伝統の一戦である。
「今日はボクの勝ちだね」
 今のところ1つ負け越している円は、やる気満々でひなを睨みつける。そもそも円はバイトする気もなく、のぞき部のことも知らず、ただただこの勝負のためにひなに呼び出されたのだ。
 ひなも負けじと円を睨みつける。
「ううー。こっちも負けないのですー。どっちがより巫女さんかの勝負なのですー!」
 よくわからないが、とにかくそういう勝負である。
「はろはろー」
 円のパートナー、オリヴィアがやってきた。話がややこしくなりそうだ。
「なるほどぉー。巫女勝負ねぇー。ということはぁー、どっちがより緋袴の裾を短くできるかぁーってことだよねぇー」
 緋袴はスカートタイプなので、どんどん短くしていけば、大変なことになる。しかも、佐倉留美の「功績」により、下着を履いてはいけないというインチキポスターがででーんと貼ってあるので、勝負は真剣。
 こうして、“みっこみこチキンレース”が始まった。
 円はいきなり大胆に膝上15センチに挑戦。こんな格好で境内をうろうろしたら全男子が後ろをついてまわるだろう。
「ふう。これでボクの不戦勝かな?」
「なぬー!」
 しかし、ひなも負けてはいられない。
「そ、それくらい……円ができるなら私だって……できるですっ! さらにそれより3センチ詰めるですーっ!!」
 これには円がショック!
 実はもう恥ずかしすぎて顔から火が出そうなのを隠していたのだった。ひなの意欲を削ぐために、わざとあり得ない15センチに挑戦していたのだ。
 ひなをお姉様として慕っているリースは、そのあられもない巫女姿にドギマギしていた。
「ひなさまぁ……!」
 オリヴィアは円の短い緋袴をひらひらさせながら尋ねる。
「さぁー。円はどうするのぉー?」
「うー。すーすーする。でも……」
 そして、円の目つきが変わった!
 そう。絶対に負けられない戦いが、ここにはある!!!
「さらに3センチ!!!」
 ガーン!!!
 はっきり言って、もう丸見えだ。
 3センチを受けるのか、断るのか、ひなはなかなか答えられない。
「ひなくん。ボクの勝ちだね?」
「ひなさま。受けるのですか……?」
 受ければ、みんなに丸見え。しかし、断れば“桐生対決”に1つ黒星がついてしまう。
「ううー。ううー。うう……ん……んぱーんぱーんぱー」
 考えすぎて、脳みそがトコロテンになってしまった。
 この瞬間、2人の勝負は決した。
「か、勝った! マスター、ボク勝ったよっ!! 」
 円はよっぽど嬉しかったのだろう、珍しく大きな声で叫んでしまった。
 これで、桐生対決の星をなんとか五分に戻した。
 円は声を殺して、テントの隅で静かに泣いていた……。
「ひ、ひなさまっ!!!」
 リースはおろおろして、ひなの頬をペチペチ叩いたり頭をポカンと叩いたりして、トコロテンからの復帰を試みた。
 テントには、巫女装束を最初から着ている人もいた。
 それは、あつい部の社に囮役として放り込まれたパートナーの寺美だ。
「はぅ。はぅ〜」
 寺美は唯乃やシリィと遊びたいけど、勇気が出なくてモジモジ。声をかけられずに困っていた。
 そのかわり、阿国が構えるカメラには強気だった。
「ゆる族セクシー代表、望月寺美。はぅ〜」
 魂サーモメーターもとっくに壊れていて、阿国はすっかりあつい部には閉口していたが、寺美はまだまだギンギンのカメラ目線で決意表明を続けた。
「のぞき部を虜にして、表で社が一網打尽にしちゃうですぅ〜。はぅ☆」
 テントの表では社が目を光らせていた。
 大和のカメラに向かって、こちらもギンギン。というより、またしても目から炎が出ている。
「のぞき部〜。この日下部社が来たからには、もうお仕舞いやでぇ! 覚悟しぃや〜!」
 朝からずっとこの調子で、いちいちカメラ目線で訴えてくる社には大和もいい加減うんざりしていた。あつい社はそんなことはお構いなしに話し続ける。
「うーん。こういうのがあると燃えてくるなぁ〜」
 ますますカメラに近づいて、超アップ!
「毛穴が開くぜッ!!!」
 大和は静かにメガネを外して、冷たく呟いた。
「おい……カメラを見るな」
「……」
 カメラマンが口をきいたのがショックだったのだろうか、社の目の炎が今日初めて消えた……。
 そして、社のそばを通って本テントに向かう1人の女性がいた。
 あつさを失った社は、警戒すべきこの女性を見逃してしまった。
 テントの中はまだまだかわいらしくじゃれ合ってる程度だったが、この女性が入った途端、一気に乱れていくことになるだろう。
 出入口の横幕をバサッ! と派手にあけた。
 中にいたミルディアは、のぞき部が出ると聞いていただけに、一瞬身構えた。
「女性ですか……」
 パートナーの真奈はもっと驚いていた。念のために張っていた禁猟区がビンビンに反応しているのだ。
 しかし、この女性はのぞき部ではない。
 ただこの場を淫らな場所に変えることができる1人の百合園生だった。
 このパラ実送り候補の百合園生は、テントにたっぷりと獲物がいることを確認すると、高らかに自己紹介した。
「おーっほっほっほっ! ロザリィヌ・フォン・メルローゼ(ろざりぃぬ・ふぉんめるろーぜ)ですわよっ!」
 このとき、つかさの口元が揺るんだのを、阿国のカメラはしっかりと捉えていた。
 まるでロザリィヌの登場を待っていたかのように、つかさは行動を開始した。
「皆様。そろそろお仕事の時間のようです。巫女の装束に着替えていただけますか」
 つかさはほろ酔い気分のみんなに巫女装束を手渡していく。
「えー? なにこれー?」
 ミルディアは手にした装束を見て、思わず大きな声をあげた。
 装束がスケスケだったのだ。
「つかささん。この素材……おかしいんじゃ?」
「あら? ご存知ないのですか? 巫女は神に仕える身ですから、本来は神にその姿が見えるように全裸で行うべきものでございます」
 真っ赤な嘘。
 しかし、ミルディアはそれがわからなくて困っていた。
「おーっほっほっほ! 神に仕える者として、伝統を守るためなら致し方ありませんわね」
 誰が会話に入ってきたのか、それはもう言うまでもないだろう。
「もちろん、のぞくのぞかないなんてことも、同じことですわ。さあ、わたくしが手伝って差し上げましょう」
 と言い終わる頃には、ミルディアの服はほとんど脱がされていた。
「え。えええっ。あ、あの……でも……あんっ」
 ロザリィヌはいつか作ろうと妄想中の百合部のために、特別な「勧誘」を始めたようだ。
「ちょっ……そこは……」
「あら。どうしたのかしら。服を脱がして差し上げてるだけですわよ。大事なところを触りながら」
「そ、それがっ……」
 しかもロザリィヌは同時にもう一方の手で唯乃の身体もまさぐって、否、服を脱がしていた。
「あ……なんで……えっ。だめっ……」
「だめって何がかしら。学校の制服をまとって神に仕えるおつもりなのかしら。それはもうとんでもなく罰当たりかと思いますけど……ねえ?」
 唯乃はうまく抵抗できないようだ。理由はわからないし、わからない方がいいこともあるだろう。
「あっ。あああーーんっ」
 その頃、なんとかロザリィヌの毒牙から逃れていた月夜は、下着姿だった。黒のレースに黒のストッキングで、ガーターで吊っていた。
「刀真まだかなー。遅いなー」
 ただでさえ寒いのに、スケスケだから余計寒そうだ。月夜は、パートナーの樹月 刀真(きづき・とうま)に貼るカイロを持ってくるように頼んでいて、それを待っていた。
 刀真は、カイロを持って境内を歩いていた。
 月夜にさっさとカイロを渡すために、ぶつぶつと呟きながら、練習しながら歩いていた。
「ふう。早く月夜にカイロを持ってかないとダメね……。わざわざ買いに行ってたら遅くなっちゃったわよ。でも、しょうがないわよねえー」
 オカマの練習だ。
 テントに近づいていちいちパンダ隊やらあつい部やらに止められたり職務質問されたりするのは面倒なので、それをかいくぐって中に入ってしまうつもりなのだ。
 そもそも女性の裸は家でパートナーのものを見慣れているので、モテないのぞき部の連中ほどには興味がないのだ。
「月夜ったらカイロを忘れてくなんて、バカよねえー。あたしったら、見た目はこの通り男だけど、心が女なのよねー。パンダ隊もあつい部も、きっと女装は見抜くと思うのよ。でもー、それって心が男だからなのよー。ね、そう思わなーい?」
 だいぶ慣れてきたようだ。
 そして、本テントの前まで来ると、あつい部の社が待ち構えていた。
「あら。かわいい男の子。食べちゃいたいわねえー」
「おいおい。勘弁してくれや。ったく。みんなが着替えてるテントはそっちやで」
 あっさりパス!
 しかもご丁寧に使用中のテントを教えてくれた!!
 これがオカマだからなのか、大和に怒られて社のあつさが落ちてるからなのか、それはわからないが、とにかく刀真は本テントの出入口まで進んで……
 堂々と中に入った。
「おーい。月夜! カイロ持ってきた……わよー」
 テントの中はほとんどの女性が裸だったし、誰の手が誰のどこにあるのかもわからない程に絡み合っていた。
「す、すっごおい……!!!」
 さすがの刀真も、ここまでばっちり見られると思ってなかったのか、ぶったまげた。
「男の人だあっ!」
 ちびっこの唯乃は見られて恥ずかしいということがわかってなかったので、あられもない格好のまま刀真の目の前で指差していた。
 大人から子供まで、全年齢のやらしい状況を対象にして、刀真の鼻から一気にスケベブラッドが噴出した。
 と同時に……
 ボッゴオーーーッ!!!
 月夜に殴られ、そのまま外までぶっ飛んだ。
「ぶっ。はっ! ちょっ! 月夜! いきなり殴るなんて……。あ、鼻血がッ!」
 鼻血は、殴られる前からだ。
「月夜? カイロ、その辺りに落ちてると思うわよー」
 月夜はテントから顔と手だけ出すと、もう一発ぶん殴った。
「正気にかえれ!」
「いったーい! ねえ。その下着、この前見せてくれたのと違うのねえー。似合ってるわー」
 刀真はオカマのままだった。
 背後には、再びあつさを取り戻した社が立っていた。
「いくでえ〜!」
 目から爆炎波を放って刀真を焼き尽くした。
 ジュウウウ〜。
「どうや! ファイファー!!」
 やっぱりカメラ目線だった。
 数時間後、真っ黒に焼けた刀真は神社の裏にある墓地をふらふらと彷徨い、その後は家に帰ってもパートナーたちに入れてもらえないというツラい日々が続いたらしい。
 ただ、のぞき部からは羨望と嫉妬の複雑に歪んだ眼差しで見られていた……。

 本テントの中は、それはもう大変なことになっていた。
 全身ほんとに性感帯少女の沙幸が、完全に美海の毒牙にかかっていた。
「ちょっ。だめっ。……ねーさまっ。マッサージって……言ってた……のに。ああっ! ……な、なにを……そんなもの……だめっ……そ……それいじょうは……だめええ! のぞき部が見てるかもしれ――」
「ふふふ。だったら見せつけて差し上げればいいのですわ。ねっ。……嬉しいくせに」
「ああっ。だっ。だめえええええ。ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!」
 そして、ロザリィヌはトコロテンのひなをも獲物にしていた。
「んぱっ……んぱっ……ん……ぱ……んぱぱぱーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっー!!!」
 と、そこにパンダ隊とあつい部女子数名がドカドカと入ってきた。
 トコロテンから復活した菅野葉月とミーナは、中の光景に絶句した。
「な、なんてこと……!」
 酔いと性欲と倒錯で、ここにいるほとんど全員が入り乱れて、とんでもないエロ蟻地獄が形成されていた。
「おーっほっほ。のぞき部もパンダ隊も、女同士ラブアンドピースでイクべきですわーっ」
 ロザリィヌが次々と新たな獲物をエロ蟻地獄にとりこんでいく。
 ウィノナは掴まりながらも、すぐにつかさを見つけた。
「ファイ! 秋葉つかさよ!」
「あわわわーっ! 何か悪いことしてるに決まってるですー! 全身検査ですーっ! さあ、脱いでくださーい!」
「広瀬様。ご無沙汰しております。秋葉つかさでございます。私……全裸でお待ちしておりました」
「た、たしかに全裸ですー……」
 このとき、またまたつかさの口元が揺るんだのを、カメラはしっかり捉えていた。
「広瀬様。どうぞ好きなだけ検査してください」
 ファイリアは、修学旅行のときにつかさがとんでもない部分に工具を隠していたのを忘れていなかった。
「検査開始なのですーっ!」
 と、同時につかさが悶え始める。
「ああっ。広瀬様……そんなっ。……あんっ。……な、なにをなさるのですっ……」
「わわわ。別にそんな――」
 そこで、すかさずファイリアに覆い被さるように絡んでくるのが、爆乳のナリュキだ。
 爆乳と爆乳に挟まれて、挟まれただけではないだろうが、ファイリアは悶絶。
「あああああああああああああああああああああああああああ!」
 何かを垂らして崩れ落ちた。
 ファイリアを助けに近づく者は、次々と底なしのエロ蟻地獄にはまりこんで……イッてしまった。ウィノナも、美羽も、みんな……イッてしまった。
 これこそが、つかさの狙い……と思われた。
 が、しかし!
 理沙は、隅っこでこそこそしてるひなの姿をしっかり見ていた。
「甘いわねっ♪」
「み、みつかったですかーっ」
 トコロテンは、何かが何処かにイクと一周して回復してしまうことがあるようだ。ひなはロザリィヌのおかげでトコロテンから回復し、男子のぞき部員がのぞけるようにテントの支柱に仕掛けをしようとしていたのだ。
 つかさとナリュキのエロ蟻地獄でパンダ隊を惑わし、その隙にひなが仕掛けを施す。それが、女子のぞき部の本当の本当の狙いだったのだ。
 しかし、理沙の目を誤魔化すことはできず、主要メンバーが拘束された。
 葉月とミーナは、他に女子のぞき部がいないか気をつけつつ、エロ蟻地獄の被害者を見て回っていた。
「こ、こわかったです……」
 なんとかエロ蟻地獄から逃れることができたのは、まだ小学生にしか見えないリースただ1人だった。
「もう大丈夫ですよ」
 葉月がテントの隅でうずくまっているリースを助け出すと、彼女は急に現実に気がついたのか、拘束されているひなに駆けていった。
「ひなさまっ! ああ、どうしてっ!!」
 ひなに抱きついて、頬にチューした。
「ごめんですー。私は女子のぞき部だったですーっ」
 両手が使えないひなは、リースに頬をすりすりして愛でた。
 2人は引き離され、ひなは連行されていった。
 テントに残された女子は、まだ少しぽおっとしつつも静かに着替え始めた。
 リースは、ゆっくりと着替えながら自分がうずくまっていたテントの隅の辺りを見た。ひなが何かしてたのとは反対側の隅だ。
 そして、かすかに笑った。
「ふふっ……」