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ホワイトバレンタイン

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ホワイトバレンタイン
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リアクション

 「もてない男の嫉妬の味方! 嫉妬刑事シャンバラン!」
 正義のヒーロー「パラミタ刑事シャンバラン」こと神代 正義(かみしろ・まさよし)が山葉の加勢に来たのだ。
「今年のバレンタイン中止のお知らせだ!」
 ヒーローが悪の味方を……。
 いや、それは違う。
 シャンバランはもてない男のための正義を実行するのだ!
「山葉、お前の気持ちは良くわかるぞ!」
 友好的な態度で、シャンバランは山葉の肩を叩いた。
 実は正義も街を歩いていて、バレンタインデート一色の待ちを闊歩するラブラブカップルのあま〜い雰囲気に当てられ、嫉妬ゲージが我慢の限界に達してしまったのだ。
「ああぁぁ! どーいーつーもーこーいーつーもーバレンタインバレンタインうるせーよ!」
 こうして嫉妬刑事シャンバランは生まれた!
 いつものシャンバランブレードから『嫉妬』と書かれた釘バットに武器を持ち替え、赤い仮面の嫉妬刑事は嫉妬の炎を燃やした。
「メガネ……今のお前からは俺と同じ嫉妬パワーを感じる……ならば俺とお前は仲間だ! いちゃつくカップルどもを退治して、家に帰そう! バレンタインなど中止だ!」
 がしっと手を握り合うシャンバランと山葉。
 しかし、そこに新たなヒーローが現れた!
 「嫉妬を駆逐する! ケンリュウガー参上!!」
 ケンリュウガー・武神 牙竜(たけがみ・がりゅう)が【嫉妬団狩り(ジェラシーハンターズ)】を連れて現れたのだ。
 現れるや否やケンリュウガーは山葉に武器を向けた。
「この世には三つの悪いメガネがある。一つはヘタレメガネ、ロリコンメガネ……最後はジェラシーメガネ。貴様だ!」
 そのままケンリュウガーはポーズを取り、いきなり必殺技を放った。
「ライトニング・アサルト!」
 轟雷閃が山葉を襲う。
 しかし、その必殺技は山葉まで届かなかった。
 シャンバランが同じ轟雷閃でケンリュウガーの必殺技を相殺したからだ。
「シャンバラン!」
「……ケンリュウガー」
 ライバルが対峙する。
 ケンリュウガーはシャンバランに呼びかけた。
「シャンバラン、お前も正義の味方だろう!」
「うるさい、お前に何が分かる!」
「同じヒーローとして……」
「同じでは…………ない!」
 シャンバランの仮面の赤さがさらに増した。
「知っているぞ、ケンリュウガー! お前、2人の女の子と別々に恋愛的なことしてたりするだろう!」
「は?」
 ケンリュウガーは互いに気になる相手が居るが、好意を寄せてくれてる女性には気づいていないらしい。
 しかし、それがさらにシャンバランの怒りに触れた。
「すっとぼけて! そのうち【女たらしのヒーロー】って称号にしてやるぞ、ケンリュウガー!」
「な、なんだとっ」
「へぇ……そう」
 【暗黒卿リリィ】ことリリィ・シャーロック(りりぃ・しゃーろっく)が現れ、じろっとケンリュウガーを見た。
 グロロリな衣装とその視線がまた似合う。
「大首領様に言われて来てみれば……負けないわよ」
「何に負けないんだ!」
「しらばっくれるんじゃないわよ。さ、行くわよ、ジェラシーメガネ! それから、そこの人相が悪そうな二人!」
「まとめるんじゃねえ!」
 カーシュがリリィに不満を言いながら、ケンリュウガーに襲い掛かる。
 しかし、そのカーシュを銃撃が掠めた。
「ちっ!」
 カーシュが鋭い眼差しを弾丸が飛んできた方向に向ける。
 すると、そこには橘 恭司(たちばな・きょうじ)の姿があった。
「人の邪魔をするやからは許せませんね」
 黒スーツに合わせて被った黒の帽子を少し動かし、恭司は青い瞳と左目の義眼で鋭く嫉妬団を見た。
「ビルの上からの狙撃とか、汚ねえじゃねえか」
 迅が舌打ちすると、その背後にすっと小さな少年が立った。
「おやおや、こんな言葉があるのはご存じないですか?」
「てめぇ、俺の背後を!」
「人の恋路を邪魔する者は馬に蹴られて死んでしまえ、ってね」
 浅葱 翡翠(あさぎ・ひすい)は小さく笑い、ゴム弾を装填したスナイパーライフルを迅に向けた。
「このゴースト1も、ジェントルを倒し、恋する男女の聖戦を邪魔する人には、早々に眠って頂くことをここに約束しましょう!」
 その言葉と共に、翡翠はパアンとゴム弾を放ち、迅が回避する間にどこかに消えた。
「どこだ!」
 返事はなかった。
 翡翠は当初の予定通り、狙撃のため、高所に位置取りに行ったのだ。
「はんっ、隠れてねえと戦えねえ奴らに負けてたまるか、行くぞ、山葉!」
「お、おう!」
 カーシュや迅に励まされ、山葉も高揚した様子で返す。
 それを見て、魔法少女エーコちゃんはチアガールのような黄色いボンボンを取り出し、応援のためにそれを振った。
「いいぞ山葉、もっとやれー! 全国の非モテが君を応援していますよー!」
「ああ、パラミタの非モテよ……俺に力を!」
 なんだか分からなくなってきていたが、ここに嫉妬団対嫉妬団狩りの戦いが始まった!