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【ざんすか内乱】ふっかつのしゃんばら【最終話/全3話】

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【ざんすか内乱】ふっかつのしゃんばら【最終話/全3話】

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 第1章 「くうきょうさんを生贄になどさせません!」

■□■1■□■「いったい何度目だ、アーデルハイト殿……」

(なんだか、アーデルハイト様の回収係っぽくなってる気がするけど……ま、いっか!
 アーデルハイト様のことが大好きなんだし、しかたないよね)
ミレイユ・グリシャム(みれいゆ・ぐりしゃむ)は、
ザンスカールの森の精 ざんすか(ざんすかーるのもりのせい・ざんすか)にぶっ飛ばされた、
魔女アーデルハイト・ワルプルギス(あーでるはいと・わるぷるぎす)の回収に向かっていた。
(いったい何度目だ、アーデルハイト殿……)
ミレイユのパートナーの魔道書ロレッタ・グラフトン(ろれった・ぐらふとん)はそう思いつつも同行する。
「大丈夫ですか、アーデルハイト様?」
枯れ木に引っかかったアーデルハイトを、魔法学校校長エリザベート・ワルプルギス(えりざべーと・わるぷるぎす)が、
下ろそうとしているところであった。
ミレイユは、ロレッタやエリザベートと協力してアーデルハイトを下ろす。
「ぶっ飛ばされても木に引っかかって助かるアーデルハイト様は強運なんだぞ」
「そういうもんかのう……。
 助けてくれたこと、礼を言うぞ」
感心したように言うロレッタとミレイユにアーデルハイトは礼を言う。
「そういえば、今回は神子とか、合体とか、また超展開になりそうだよね……」
ミレイユは想像を始める。
(なんだか、恐いけど、見てみたい気持ちの方がつよいな……。
 合体っていったらロボットだよね。
 それとも、得体の知れない怪獣みたいのになっちゃうのかな?
 あ……合体してもふもふしたものになったらさわりたいなー。
 足に肉球があったらぷにぷにしてみたいかも。
 もふもふしたしっぽとかあったら可愛いよね、
 ねこもいいけどうさぎも大好きだしな〜、もふもふ〜もふもふ〜♪)
妄想が止まらないミレイユは、自分の超感覚の黒豹の耳と尻尾が無意識に出てしまっている。
(またろくでもない想像をしているぞ……)
ロレッタは呆れ顔で見守る。
「どうせミレイユの事だから、こんなものを想像していたに違いないぞ」
いつも持ち歩いている画用紙に、クレヨンで描いた合体地祇(ちぎ)の絵を、ロレッタは見せる。
「あ、ピンクのもふもふでかわいいー。
 ……って、えーと、その」
巨大な毛玉生命体の絵を見て、笑顔になるミレイユだが、自分の想像を指摘され少し恥かしくなる。
「でも実際はこうなるはずだぞ」
ロレッタは画用紙をめくってみせる。
「こ、これは、美術室で『かっこいい』一列目間違いなしだよ……!」
妙にかっこよく描かれた合体地祇を見て、ミレイユは驚く。
「って、こんな場合じゃなかった。はやく儀式の遺跡に行かなくちゃ」
「なんだか前もこんなことあった気がするんだぞ」
「早く行かないと大変なことになりそうじゃのう……」
ミレイユは我に返り、ロレッタとアーデルハイトは言う。
 
 
 
「おーほっほっほっほ! 早く遺跡に向かいますわよ!」
「フフフ。闇の儀式、楽しみだな……」
「ぎしき? たのしいのー?」
ヴぁいしゃりーと、たしがんが、
ロープでぐるぐる巻きにしたくうきょうを担いで走っていく。
そこに、緋桜 遙遠(ひざくら・ようえん)が、漆黒の影の翼を広げ、
バーストダッシュで突っ込んできた。
「怖れなさい!」
「きゃああああああ!?」
「心地よい雰囲気だね……フフフフフ」
遙遠は、アボミネーションでヴぁいしゃりーをひるませるのに成功する。
たしがんは、闇の雰囲気に喜んでしまった。
隙をついて、くうきょうを奪取した遙遠は飛び去る。
「くうきょうさんを生贄になどさせません!
くうきょうさんはこの遙遠が保護します!」
そう叫び、遙遠は遺跡とは逆方向に行ってしまった。
「さあ、くうきょうさん、一緒に遊びに行きましょう。
 どこに行きたいですか?
 一杯楽しみましょうね♪」
「あそびにいくのー? じゃあね、くうきょう、ゆうえんちいきたいなー」
誘拐に成功した遙遠に、くうきょうがにこにこして言う。
(……まずは教育するにもくうきょうさんと友好的な関係を築きたいですしね。
その後自分色に染めていければ……いえ、変な意味じゃないですよ?)
「いいですよ、遊園地ですね♪」
「幼いくうきょう……くうきょうタンはあたしのものだあー!
 ロリコンはすっこんでろ!」
「ぐはあっ!?」
くうきょうとキャッキャウフフしていた遙遠を、葛葉 明(くずのは・めい)がぶっ飛ばした。
「後ろから刺そうとしてたつぁんだをエグく返り討ちにして、
 おっぱいを揉んだあたしに隙はない!
 【おっぱいハンター】の本気の乳揉み……
 外見12歳のつぁんだの『ふくらみかけのおっぱい:』を堪能してやったわ!」
明は勝ち誇ると、遙遠を足蹴にしてくうきょうに擦り寄る。
「せっかくのロリキャラを合体なんかで失ってたまるかぁー!
 さあ、あたしとれっつキャッキャウフフ! くうきょうタン!」
「えー? キャッキャウフフ?」
明は、状況のよくわかっていない様子のくうきょうの胸をさわりつつ、抱きしめる。
「うん、くうきょうタンは6歳のリアルロリキャラだね!
 ツルペタおっぱいにつるつるお肌!
 ぷにぷにほっぺー!」
明はくうきょうの頬をぷにぷにとさわる。
「そうはいきませんよ」
「ひゃぶううううう!?」
ナラカの蜘蛛糸に引き裂かれて、明はぶっ飛ぶ。
藤原 優梨子(ふじわら・ゆりこ)は、きょとんとしているくうきょうを回収する。
「くうきょうさんは、私と生贄の儀式をするのですー。
 安心してくださいね、
 くうきょうさんを生贄にするのではなく、
 ヴぁいしゃりーさんを生贄にして、くうきょうさんを強化します。
 オリンピックは、今年開催のはずでしたね。珠代さんの撮影なさる記録映画が、楽しみですよー♪}
優梨子は、『P?KO』メンバー小倉 珠代のファンである。
空京名誉市民証を見せつつ、優梨子はトルメンタを倒した際の話をする。
「そういえば、あの方も、今はシャンバラ大荒野のどこかにいらっしゃるのですよね」
「ゆりこちゃん、すごいねー」
「く、くうきょうタン……ぐふっ」
優梨子は地平線の向こうを見つめつつ、感心するくうきょうの隣で、
明を踏みつけてとどめを刺すのであった。