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【おとこのこうちょう!】しずかがかんがん! 前編

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【おとこのこうちょう!】しずかがかんがん! 前編
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■□■2■□■ 宮廷に潜入

急いで宮廷にやってきた静香達だが、
瓜生 コウ(うりゅう・こう)が、静香に言う。
「こっちの静香と未来の静香は同一人物なので、
この未来では静香を焦点にして
最凶の悪の大宦官 桜井静香、
略して悪静香に魔術をかけることができるはずだ。
それを利用して、悪静香の男性自身を再生、復活させれば、
生殖能力と引換に霊的ステージを上がった悪静香のステージを落とし、
超人から元の人間に戻せるだろう」
「ふ、復活!?」
「しかし、
 魔術儀式で復活させるためには、
そのモノの形を正確にイメージする必要がある。
 だが、弟がいたが教育方針で7歳から
お風呂も別だったオレは肝心のブツの形をよく知らない。
つまり、現在の静香のをじっくりと観察する必要がある」
驚く静香に、コウは頬を赤らめつつも迫る。
「さあ、これは必要なことなんだ。
 百合園の皆も一緒に見るがいい。
 見るだけでなく触ってみたりしたほうがイメージの助けになるかもしれない。
 保健体育の授業で聞いた話だけではわからないことも多い。
 可能なら、実際に本人からいろいろと話を聞いた方が……」
「きゃああああああ、
 や、やめてくださーい!」
静香は身の危険を感じて逃げようとする。
しかし、その前に、ロザリィヌ・フォン・メルローゼ(ろざりぃぬ・ふぉんめるろーぜ)が現れた。
「おーほっほっほっほ!
 わたくしにとっては、
桜井校長がちょん切られて宦官になっているという事自体は
喜ばしい事なのですけれど……。
百合園は本来、女性のみの学校のはず……
宦官が権力を握ってしまっては、
わたくしの思い描いていた「百合の百合による百合のための世界」が達成されませんわっ!?
女性だけでキャッキャッウフフできる世界でないと……わたくしは認めませんわよー!
 ということで、
 桜井校長が植える力を無くしたから超人化……ということは、
再び植える力をくっつければ力は失われてしまうのではないかしらと考え、
さらに、ラズィーヤ様がもいだ後のアレを保存していると予想したわたくしは、
 宮廷で玉的なお宝の話を聞き込みしていたのですけれど、
 いっこうに見つかりませんの!
 そこで、現在の桜井校長の植える力を
半分切り落として移植すればいいだけということに思い至りましたわ!」
「ロ、ロザリィヌさん!?
 何言ってるの!?」
「おほほ……片方あれば大丈夫なんでしょう?
なら未来のために投げ出すくらいはしてくれますわよねー……?
……いえ、返答を聞く必要はございませんでしたわね」
「きゃあああああああ!?」
静香は、ロザリィヌからも必死で逃げる。
「も・ぎ・ま・す・わー!」
ロザリィヌは、でっかいクレセントアックスを振り回して追う。
そこに、未来のロザリィヌが現れた。
「おーほっほ……男の娘は絶滅ですわーっ!
一切の例外なく刈取りますわよ!」
男の娘嫌いが極まってか、
未来のロザリィヌは各地の男の娘を狩る女性だけで構成された実働部隊のリーダーとして
働いているのであった。
その恐怖たるや、シャンバラ中の男の娘を震え上がらせ、
少年が戯れでスカートを履くと親が「ロザリィヌがもぎに来るわよ!」と叱責するほどである。
一方で宦官が権力の座にあることには苦々しく思っており
宦官である「十嬢侍」とは反目しているのだった。
「あら、そこにいるのは、過去のわたくしと、
 過去の桜井校長ではございませんか」
「ちょうどよかったですわ、未来のわたくし!
 桜井校長から半分もぐのを手伝ってくださらない?
 そして、未来の桜井校長にくっつけて力を失わせるのですわ!」
「それはいい考えですわ!
 さすが過去のわたくし!
 それに、桜井校長から直接、もぐ機会が訪れるとは、僥倖ですわーっ!
 覚悟あそばせ!」
「きゃあああああああ!?」
「まってくれ、オレにそれをしっかり見せてくれ!」
二人のロザリィヌだけでなく、さらに、コウが迫ってくる。
静香は、宮廷を逃げ惑うのであった。

★☆★

(あのやさしい静香さまが
そんな悪魔のような独裁者に変貌するなんて信じられない。
未来の自分に協力を頼みたいけれど、こんな世界だから、一筋縄にはいかないよね)
ネージュ・フロゥ(ねーじゅ・ふろう)は、
未来の自分を説得しようと、自分にあった方法で作戦を考えていた。
「何を騒いでいるの?」
そこにちょうど、未来のネージュが現れた。
コウと二人のロザリィヌが静香を追い回して大騒ぎしていたので、見つかってしまったのであった。
未来のネージュは、10歳ほどの外見となり、
女官として宮中につかえていた。
「お願い、協力して、未来のあたし!」
「過去のあたし……。
 このシャンバラ後宮で、騒ぎを起こすなど、
 許しませんよ」
静香の強引なやり方や、
ヴぁいしゃりーがざんすかやつぁんだ、じゃたを取り込んでしまったことなどから、
静香達に絶望し、
自由な百合園、ヴァイシャリーを取り戻すために、
裏でレジスタンスとして活動している未来のネージュだが、
裏の姿を悟られぬように、過去の自分に対しても、
敢えて冷酷にふるまっているのだった。
「こうなったらしかたないよね……」
「過去のあたしをまずはおとなしくさせなければ……」
二人のネージュはにらみ合い、一瞬、その姿が交錯する。
「ガフッ!?」
「グハッ!?」
二人のネージュは、同時に炎を吐いて倒れた。
現在のネージュは、自分の苦手な激辛せんべい
「しゃんばらやきせんべい・マグマだいふんか」
……ざんすか内乱でパートナーの瑠璃羽が辛い物が苦手と知らずに用意したのを食べてしまい、
気絶したものの二倍の辛さのせんべいを、
未来のネージュは、同じく超激辛せんべい
「つんつんちぎのちぎりなげせんべい」を用意して、
お互いを気絶させようとしていたのであった。
過去と未来の自分が、お互いを無力化するために、
全く同じ作戦で来ていたことには、気付いていなかった二人のネージュであった。