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【おとこのこうちょう!】しずかがかんがん! 前編

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 第6章 未来の静香との戦い

■□■1■□■ 現在の静香の周囲にて

一方、現在・静香の周囲では。
葛葉 明(くずのは・めい)が不埒なことを企んでいた。
(未来は宦官になった桜井静香の所為で大変なのね。
未来を救っても現在の桜井静香がこのままだと
いつかは宦官になっちゃうかも。
よし、こうなったら宦官にならないよう
あたしが一肌脱ごう。
宦官は去勢済、つまり去勢をさせないようにすればいいんだ。
男としての自信が付けばきっと去勢も断るはず。
ふふふ、あたしのセクシーボディで桜井静香を立派な『男』にしてみせるわ)

★☆★

他方、姫宮 みこと(ひめみや・みこと)も現在静香に迫っていた。
「静香校長が宦官にされなければ、
『宦官の静香』という未来はなくなるはずです。
史実ではラズィーヤさんに『蟄居』を命じられて宦官にされたそうですが、
未来の世界に乗りこんだこの機会に
静香校長を宦官にしようとする不埒者はかならず現れるはずです。
そこでボクは予想される襲撃者から、静香校長を守ろうと思います。
 しかし入学したてのボクの実力では、猛者ぞろいの敵にまともに向かうのは無謀……。
そこでボクは静香校長に変装し、影武者となることで敵の目をくらまします。
そういうわけですから静香校長、お洋服を貸してくださいね」
「かまわないけど、それだと、みことさんが危険なんじゃないのかなあ……」
静香が心配するが、みことは静香の服のにおいをかいでいる。
「くんくん……静香校長の服、とってもいいにおい……。
ではなくて。
影武者となった以上、ボクは四六時中静香校長と行動を共にします。
別れた隙に事件が起こったら、目も当てられませんからね。
ボクが危険な目にあうのは承知の上です。
影武者とはそういうものなんです」
「ありがとう、いざとなったら、僕もみことさんのことを守るよ」
「お礼には及びません。
 ではこれからは、
 もちろんトイレも一緒ですよ? 影武者とはそういうものなんです。
もちろんお風呂も一緒ですよ? 影武者とはそういうものなんです。
もちろん寝るのも一緒ですよ? 影武者とはそういうものなんです」
「え? え!?」
「不便でしょうけど納得してくださいね、静香校長」
みことに迫られて静香が困っていると、エッツェル・アザトース(えっつぇる・あざとーす)がやってきた。
「桜井校長、私にあなたの御身を守らせて頂くことをお許しください。
もし許されたのならば、私はあらゆる悪意からあなたを守る盾となり、
障害を払う矛となりましょう」
エッツェルは床にひざをつき、静香に変装したみことの手をとりながら言う。
「ありがとうございます」
「あ、あの……」
みことは静香のふりをして礼を言う。
本物の静香はその様子を見ておろおろしている。

★☆★

「はーい、ごきげんよう〜。
あたしパラ実生の葛葉 明よろしく〜」
静香が一人になるのを待っていた明だったが、
変装したみこととずっと一緒だったので、強行突破することにした。
明は、少しずつ近づきながら結んでいる髪を解き、
上着を脱ぎ露出部分を増やしながら近づいていく。
「未来のあなたがああなったのは、
現在の貴方に男としての自信が無いからだと思うの、
だ・か・ら、あたしが貴方に男としての自信をつけさしてあげる」
明は、静香……に変装したみことに、ボディタッチして迫る。
「男が自信をつける方法が何か、わかるわよね?
 百合園じゃ教えてない女の子の事、教えて あ・げ・る」
「え? え!?」
「ちょ、ちょっと何言ってるの!?」
静香の姿のみことが赤面し、静香も真っ赤になって明を止めようとする。
「女に恥をかかせるのはよくないと思わない?
 そうね、場合によっては3人でもいいわよ?」
明は言う。
「桜井校長に手を出す不逞の輩め!
 許しません!」
自分自身が静香を口説こうと思っていたエッツェルが走ってきて、
明を思い切りぶっ飛ばす。
「ぐはあああっ!?」
ハーフムーンロッドのホームランにより、明はお星様になった。
「大丈夫ですか、桜井校長」
エッツェルは、あいかわらず、みことの手を取って言う。
「そんなことをしている場合か!?
 それより早く、宮殿に攻め込むのだ!
 こうなったら、悪の大宦官 桜井静香を直接倒すのだ!」
「ああっ、待ってよ、小ラズィーヤさん!」
小ラズィーヤが駆け出して行ってしまったので、
静香達一行はそれを追うのであった。