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ゴチメイ隊が行く5 ストライカー・ブレーカー

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ゴチメイ隊が行く5 ストライカー・ブレーカー

リアクション

 
    ★    ★    ★
 
「ここが、終点なんだもん?」
 遅れて制御室にやってきた久世沙幸が言った。まだ稼働しているメカ小ババ様たちを排除して、一緒にやってきた仲間たちもやってくる。
「ほぼ、敵の抵抗はなくなったようだな」
 殿を努めていた樹月刀真が、光条兵器を漆髪月夜に還した。
「コントロールはできそうなの?」
 島の制御を手中に収めようと調べている綾小路風花たちに、メニエス・レインが聞いた。
「邪魔しちゃ……だめ」
 適当にコンソールをいじくっているマナ・ウィンスレットをひょいとだきあげると、漆髪月夜がシャーミアン・ロウに手渡した。そのまま、コントロールの掌握に加わる。
「つまらないのだ」
 邪魔物扱いされたマナ・ウィンスレットが、代わりに壁際のパネルをいじくりだした。
「うまくいきそうか?」
 樹月刀真が、漆髪月夜のそばに行って訊ねた。その瞬間、封印の巫女白花に鈍い痛みが走る。
「二人とも下がって!」
 その叫びに、反射的に樹月刀真が漆髪月夜をだきかかえて後ろへ飛び退った。
「……ニパ、イパ!」
 どこからともなくメカ小ババ様のカウントダウンが聞こえ、コンソールの中で爆発が起こった。
「やられた。コンソールがめちゃくちゃだ」
 とんだおきみやげをしてくれたと、三船敬一が言った。
「まだ使えそう?」
 メニエス・レインの質問に、綾小路風花が首を横に振った。
「そう。なら、しょうがないわね。行くわよ、ミストラル」
 メニエス・レインが、部屋を出ていこうとする。
「おい、どこに行こうってんだ」
 共闘していた日比谷皐月が、メニエス・レインを呼び止めようとした。
「使えない物に興味はないわ。後は、あなたたちに任せるからよろしく」
 そう言って、メニエス・レインがミストラル・フォーセットと共に姿を消した。
『おーい、これどこかに繋がっているかあ』
 突如、マナ・ウィンスレットが悪戯していたパネルから武神牙竜の声が大音量で響いた。
「それは……、通信装置?」
 すぐに漆髪月夜が調べる。
「牙竜か。今どこにいるんです。」
 樹月刀真が、マイクにむかって言った。
『今はアンテナみたいなとこだ――やかましい! おい、ボリューム調整できないのか』(V)
 武神牙竜が背後にいるらしい別の者にむかって叫んだ。多少音にハウリングが混じっている。どうやら、鉄塔から外部スピーカーでも使って、島中にこの声が流れているらしい。
『……というわけで、左右のスラスターは手中に収めて、個別に動かせるようにしているはずだ』
「他の場所と、これで、連絡とれそう……」
 武神牙竜の説明が続く間に、漆髪月夜が機械を調べた。
「分かった。こちらで連絡をとってみる。牙竜たちは、島で迷子になってる人たちを探して、いつでも脱出できるようにしておいてくれ。ジャワたちが、飛空艇の番をしているはずだ。この放送が聞こえている者も、脱出の用意を。もう、空京はすぐそこだ」
『了解した』
 樹月刀真の言葉に短く答えて武神牙竜が通信を切った。
「撤退の段取りは、私が考えましょう」
 白河淋が特技を生かして、何人かと相談し始めた。
「まだ時間はあるな?」
「もちろんだ」
 日比谷皐月に答えると、三船敬一が左右のスラスターとエンジンにいる者たちと連絡をとりあった。
 
    ★    ★    ★
 
「分かったわ。右のスラスターは逆噴射にセットして、そちらの指示に従ってふかせばいいのよね」
 スラスター噴射方向の切り替えスイッチ前に立った水心子緋雨が、いつでも押せるようにボタンに指をかけながら言った。
「じえっとえんじんとかはよく分からんからのう。そちらは任せたのじゃ」
 水心子緋雨を半ば放置して、ジェットハンマーを担いだ天津麻羅が、まだどこかにメカ小ババ様が隠れていないかと物陰を確かめにいった。
「気をつけてください。うっかり押したら大変ですから」
 ちょっとはらはらしながら、ペコ・フラワリーが注意する。
「大丈夫よ。任せて」
 ニッコリ笑いながら、水心子緋雨が自信満々で答えた。
 
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「つまり、ええと、これを操作すればいいんですよね」
 ナナ・ノルデンが、スラスターのコントロール装置を前にして言った。
「気をつけてください。こちらで動かせる用に調整しましたけれど、動かすときはタイミングを合わせないとだめなんですから」
 ちょっと心配になって、ランツェレット・ハンマーシュミットが注意した。
「いい? いち、にの、さんでボタンを押すんだよ」
「大丈夫よ。いちにのさんでしょ」
 ナナ・ノルデンが三笠のぞみに答えつつ、ひょいとボタンを押してしまった。
「ああーっ!!」(V)
 ランツェレット・ハンマーシュミットが悲鳴をあげた。
 間違えることなく、スラスターが起動する。しかも、ナナ・ノルデンが押したのは上昇のボタンだった。そのまま、島全体が右に傾き始めた。
 
    ★    ★    ★
 
「わっ、何!?」
 突然部屋全体が傾きだし、右スラスターにいた者たちはあわてて何かにしがみついた。
「あっ、押しちゃった……」
 水心子緋雨が恐ろしいことをつぶやいた。右スラスターが、逆噴射を始め、島が回転し始めた。
「まずくない、これ!」
 マサラ・アッサムが、チャイ・セイロンの下敷きになりながら叫んだ。