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イベントミュージアム(ゴチメイ隊がいく)

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イベントミュージアム(ゴチメイ隊がいく)
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リアクション

 


 
 
「まったく、騒がしい絵だったぜ。次の展示室は、どんな絵だろうな」
 ちょっと閲覧が楽しみになってきながら、ラルク・クローディスが秘伝『闘神の書』と一緒に隣の展示室に入っていった。
「待っていたぞ!」
 なんだか、暑苦しいユニゾンが響いた。
 あろうことか、褌一丁のラルク・クローディスと秘伝『闘神の書』が、本物の二人を待ち構えていたのだ。
「えーっと、どうしてこうなった!!」
 思わずラルク・クローディスが叫ぶ。
 見れば、部屋の奥には『とある修行場の修行風景』と銘打たれた絵が飾ってあるではないか。内容は、ラルク・クローディスと秘伝『闘神の書』が山奥で修行中に組み手をしているところだ。
「おもしれえ、相手をしてやろうじゃねえか」
 こんな面白いことに乗らない手はないぜと、すでに秘伝『闘神の書』は戦う気満々である。
「仕方ねえな。さっきのドッヂボールじゃ不完全燃焼だったし、一丁揉んでやるか。どうせ、絵から作られた紛い物だろ。本物がどれだけ強いか見せつけてやるぜ。完膚無きまでに叩きのめしてやれば、さっさと消えちまうだろう」
 ポキポキと指を鳴らしながら、ラルク・クローディスが上着を脱ぎ捨てた。
「いやいや、俺の相手は、あくまでも闘神だ」
 褌姿のラルク・クローディスが言う。
「そういうことだ。お前との決着、つけさせてもらおう」
 褌姿の秘伝『闘神の書』が、ラルク・クローディスの前に進み出て言った。
「ふっ、言うようになったな。その言葉、後悔させてやるぜ。まずはお前からだ」
「ちょっと待て、まずはとは何だ、まずはとは。まさか、俺がお前に負けて、その後自分自身と戦おうってんじゃねえだろうな。てやんでえ、逆だろ、逆」
 ラルク・クローディスの言葉に、秘伝『闘神の書』が噛みついた。
「そんなことは、やって見りゃ分かる。いくぜ!」
 言うなり、ラルク・クローディスが展示室の中に飛び込んでいった。
 中は、滝の見える山奥の風景だ。
「きゃーっ、裸の男が四人も絡み合ってるぅ♪」
 ラルク・クローディスたちの後をついてきたミルディア・ディスティンが、頬をちょっと染めながらキャッキャッと喜んだ。
「堪能するわよ♪」
 思いっきり目を見開きながら、展示室に飛び込んだミルディア・ディスティンは、特等席で男たちの汗の飛び散る組み手を観戦し始めた。
「うおりゃあ!!」
 振りあげた拳を突き出すラルク・クローディスを、褌の秘伝『闘神の書』が歴戦の防御術で防ぐ。
「へっ、ちゃんちゃらおかしい攻撃だぜ!」
 がしっと組み合いながら、秘伝『闘神の書』がラルク・クローディスの耳許で唸るように言った。
「どうだかな」
 素早く腰を落とすと、ラルク・クローディスが褌の秘伝『闘神の書』を投げ飛ばす。空中で体勢をなおそうとした褌の秘伝『闘神の書』が、本物の秘伝『闘神の書』と褌のラルク・クローディスにぶつかった。
「てめえ、邪魔するな!」
 横やりを入れられた二人が、声を揃えて怒鳴った。
「ああ、そのくらいは避けられると思ったんでな」
 ニヤリと、ラルク・クローディスが笑う。
「きゃーきゃー」
 なんだか分からない歓声を、ミルディア・ディスティンがあげた。
 予期せぬ観客がいることで、ちょっと男たちの手元が狂う。タイミングのずれた拳は、避けるタイミングをも狂わして、互いにクロスカウンターとなった。
「わーい、やっちゃえー」
 ミルディア・ディスティンが思いっきり喜ぶ。
「おお、あれが熟練の契約者か……。俺もいずれ必ず、その場所に行ってみせるぜ、先輩っ!」
 戦いの雄叫びに気づいて駆けつけたアキラ・セイルーンが、グッと握り拳を突き出して叫んだ。
「その気持ちが三日以上続けばいいんだケドネ」
 どうせダメだろうと、アリス・ドロワーズが突っ込む。
「ふっ、これが肉体美というものか。混ざりたい……」
「主……乱心、乱心。……見学。推薦」
 同様に展示室をのぞき込んで闘争心に火をつけかけたジガン・シールダーズを、ザムド・ヒュッケバインがあわててとめた。
 何とも騒がしい戦いは、その後はなぜか女性のギャラリーを増やしつつ続いていったのだった。