リアクション
流れが変わる瞬間 .朝霧 垂(あさぎり・しづり)とライゼ・エンブ(らいぜ・えんぶ)の乗機である鳳凰と、紫月 唯斗(しづき・ゆいと)とエクス・シュペルティア(えくす・しゅぺるてぃあ)が動かす天燕はダリルの乗機であるラグナロクにて出番を待っていた。 そして、HCを経由しての通信である程度こちらの戦力が巨大砲に接近したことを知ると、いよいよ出番と動き出したのである。 「よし、行くぜ!」 垂は気合を込めて、鳳凰に乗り込む。 「さて、エクス頼んだぜ」 唯斗の指示を受け、エクスはブレードバインダークローを操作する。そして、クローで鳳凰掴むと固定をし、ラグナロクの甲板へと移動する。 そして、カタパルトから打ち出された鳳凰と天燕は、成層圏に近い高度まで上り詰める。そしてそこから急降下して巨大砲へと突撃をするのだ。 さすがに直上は巨大砲の死角だったが、それでも対空砲火のハリネズミのように飛んでくる。 それを急降下をしつつバレルロールをしつつ回避をしようとするのだが、あまりの速度と急旋回に鳳凰と天燕の接合部分が外れてしまう。そして、鳳凰と天燕は物理法則に従って二つの方向に別れつつ、キリモミしながら落下していくことになった。 さすがにもともとそのような機構を備えていない二つの機体をくっつけること自体に無理があったのだろう。それでも、ベテランパイロットらしく機体を立て直すと、鳳凰と天燕は射程の長い兵器から順番に巨大砲に向かって発射するとともに、各種の防衛機構で対空弾幕を防ぎつつ、巨大砲への攻撃を行う。 そして、直上からの攻撃がダエーヴァの虚をついたことは確かのようで、ある程度の時間ギガースたちの意識が鳳凰と天燕にそれる。 その瞬間、ソフィアと真司はユノーナ・ザヴィエートとゴスホークを一気に巨大砲に向かって接近させる。 「はああああああああ!」 ゴスホークのレーザービットとショックウェーブによって群がるギガースが打ち払われる一方で―― 「ジナマーマ、“戦場の女神”が、見えました。行きます!」 ユノーナ・ザヴィエートがブレードビットとレーザーランスでギガースを蹴散らしつつ、巨大砲へと接近する。 天燕のデュランダルが巨大砲を切りつけると、体勢を立て直した鳳凰がツインレーザーライフルや対INT用スタン装備で周囲のギガースを妨害する。 さらに、天燕の布都御魂、ゴスホークのリミッター解除をしたファイナルイコンソード、そして、ユノーナ・ザヴィエートの多弾頭ミサイルランチャーが巨大砲に叩き込まれる。 それらの多重攻撃によって巨大砲が破壊されたが、ほぼ同時にヒューベリオンのビームが巨大砲を巻き込むようにして発射された。 殺気看破やディメンションサイト等によっていち早くその攻撃を察知することが出来たためになんとか回避できた契約者たちのイコンであるが、巨大砲の攻撃のためにほとんどのリソースを投入したせいで、ヒューベリオンを相手にするような余裕はほとんどなくなっていた。 それでもまだ残しておいた各種兵装でヒューベリオンやギガースに対して攻撃をすると、ヒューベリオン対策のために戦力を温存しておいた契約者たちにその場を任せ、ギガースと戦いつつもゆっくりと後退を始めたのだった。 ギガースやイコンが戦火を交えるなか、セレンフィリティやセレアナ、そして普通ならば13時間以上かかる距離をわずか6時間で移動してのけた兵員輸送車にのるクローラ・テレスコピウム(くろーら・てれすこぴうむ)とセリオス・ヒューレー(せりおす・ひゅーれー)、および大統領から借り受けた米兵たちが、ダエーヴァの基地に対して潜入工作を仕掛けていた。 そして、ここで潜入部隊がハンドヘルドコンピュータを所持していたことが戦況を大きく変化させた。 ダリルとクローラのハンドヘルドコンピューターが情報的にリンクしたのだ。さらにはセリオスとセレンフィリティ、そしてセレアナが所持していたハンドヘルドコンピューターとも情報的にリンクしたため、潜入部隊の契約者たちは米軍の司令部からダリルのラグナロクを経由して、イリノイ州の基地の情報を入手できたのである。 結果として米軍司令部から潜入部隊に対しての情報の送信も可能になったため、潜入部隊は敵を避けて極めて効率的に潜入を行うことができた。 そして、コープスや怪物達を倒しながら潜入部隊は、まずは地上階にある発令室に到達した。しかし、発令する人の姿がそこには無く、いくつかのユニットが存在するだけだった。 米軍司令部からの指示を受け、潜入部隊はそれらのユニットを破壊し、さらにいくつかをサンプルとして無傷で鹵獲した。 潜入部隊がそれらのユニット排除すると、途端に基地のコントロールが停止した。どうやらそのユニットは遠隔で命令を受信し、また、基地を操作しているユニットだったようだ。 ダリルはセレンフィリティに対して指示を送る。それは、ハンドヘルドコンピューターと基地のコンピューターを接続するようにというものだった。 「了解!」 そしてそれらの指示はハンドヘルドコンピューターを所持しているすべての契約者たちに同様に送られた。4個のハンドヘルドコンピューターが基地のコンピューターと接続され、それを経由してダリルはハッキングを開始する。 しばらくするとダリルはすべての防壁を突破し、基地のコントロールを奪うことに成功する。 「……これでよし。後で弁償するから、誰かひとつだけHCをそこに残しておいてくれ」 果たしてその頼みを受け入れたのは誰なのか。それはともかくとして、ダリルのハッキングによって対空砲のコントロールを奪うことに成功した潜入部隊は、対空砲火がギガース達を攻撃し始めるの見届けると、撤退を始める。 そして、防衛は新たなるフェーズに移る。 |
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