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【アナザー北米戦役】 基地防衛戦

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【アナザー北米戦役】 基地防衛戦

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米兵たちのアイドル
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 そんな中で湯上 凶司(ゆがみ・きょうじ)セラフ・ネフィリム(せらふ・ねふぃりむ)ディミーア・ネフィリム(でぃみーあ・ねふぃりむ)エクス・ネフィリム(えくす・ねふぃりむ)ネフィリム三姉妹はベルゼビュートこと庇護すべきものの情報を聞いて、ファンクラブの兵士たちがベルゼビュートの催眠にかからないかと戦々恐々していたのであるが、ファンクラブといえどもまだまだ恋愛感情などのような強い感情を抱くまでには至っておらず、ファンクラブの兵士たちには大した被害は出なかった。
 それでも、長女のセラフと次女のディミーアは末っ子のエクスが庇護すべき愛しいものであったため、ベルゼビュートの催眠に引っかかってしまう。
 ネフィリム三姉妹は飛行型パワードスーツの利点を生かし、火車に対して空からの攻撃を与えるなどして大きな戦果を上げていた。
 時折ベルゼビュートの催眠にかかる兵士たちを助けながら、催眠の副作用で虚脱した兵士たちを身を挺して守り、ネフィリム三姉妹たちは戦い続ける。
「闘ってよ、みんな! 守るものは今目の前にもあるでしょ!?」
 しかしそのエクスの叫びも虚しく、虚脱した兵士が立ち直ることはない。
「エクス、空の相手をお願い!下は私が始末する!」
 ディミーアは妹のエクスに空の相手まかせて、自身は地上のベルゼビュートに対して攻撃をする。
「何してるの、立ちなさい! 夢の悲劇を繰り返したいの!?」
 ベルゼビュートに対して攻撃を繰り返しながら、催眠に侵された兵士たちに叱咤の言葉を投げかける。しかし、夢の中で愛しいものたちを亡くした兵士たちが立ち上がることは少なかった。
 それでも、さすがに兵士と言うべきなのか。ディミーアのその言葉が何かの兵士たちを立ち上がらせることに成功する。
「いいわ、頑張りなさい。悲劇を繰り返してはだめよ!」
 涙をふき、歯を食いしばって米兵たちが立ち上がる。今守るべきものを守るためにも、自分たちがここで倒れるわけにはいかない。そんな覚悟が彼らを支えていた。
 赤いパワードスーツを着用したセラフをリーダーに、緑のパワードスーツのディミーアが槍を手に立ち回りを繰り広げると、青いパワードスーツのエクスが巨大なハサミを手にダエーヴァの怪物たちと戦いを繰り広げる。
 そんなふうに戦ってきたネフィリム三姉妹たちの前に、蝿の姿をした怪物がとうとう姿を現した。
 二匹の青い目のリーダーに率いられた。二つの群体。それらはセラフとディミーアの前にエクスの姿で現れた。
「まさか、目の前に本人がいても催眠の対象になるのか!」
 凶司はその様子みて驚愕の叫びをあげる。
 催眠にかけられたセラフとディミーアは、ベルゼビュートが作ったエクスの幻影に対して愛しそうに語りかける。
 セラフとディミーアは戦いのない日々の中でエクスと平和な日常を送っている夢を見ているようだった。
「お姉ちゃん、ボクはここにいるよ!」
 エクスの必死の叫びも、催眠にかかったセラフとディミーアには届かない。セラフとディミーアは幸せな夢を見ながら、体中に次々と傷を作っていった。そんな様子を見て凶司はエクスにネフィリムの剛剣を渡す。
「こうなったらお前が頼りだ。目を覚まさせてやれ」
「って、ちょっとキョウジ! 本当にこれでいいの!?」
 当然のごとくエクスは凶司に確認を取るが、凶司は本気でその意思は変わらなかった。
 エクスは渡された剣を手に取り、パワードスーツをパージする。
 必殺の威力の誇る二本の剣を振るったエクスの修羅のような攻撃に、セラフとディミーアに群がるベルゼビュートたちは、瞬く間にその数を減らし、2人は催眠の影響下から解除される。しかし、催眠が解除される時の作用で2人はそれぞれが想像する最悪なエクスとの別離の夢を見てしまう。そのためにセラフとディミーアはエクスの名前を呼び、涙を流しながらその場にしゃがみ込むのであった。
 だがセラフとディミーアの場合、エクスまだ現実に存在している。妹である、実在の方のエクスが二人の姉に対して言葉をかけ、今見たのは夢であると、ここにいるのが本当の自分だと姉たちに対して語りかける。
「お姉ちゃん、ボクはここにいるよ。ここにいるから大丈夫だよ」
 優しく抱き締めながら声をかける妹に、セラフとディミーアは次第に立ち直りを見せる。
「ごめんね。もう大丈夫よ」
 ディミーア傷の痛みに顔をしかめながら立ち上がる。
「ちょっとひどい夢を見た気分だなぁ……」
 そして、長女のセラフもゆっくりと立ち上がる。
「ほんとにひどい夢だったよ」
 ディミーアはランスを支えにして、しっかりと立ち上がりダエーヴァを睨みつける。
「でも、夢でよかった……」
 笑顔をたたえながら対神ライフルを手にして、セラフはエクスの頭を撫でる。
「お姉ちゃんたちが無事でよかった……お姉ちゃんたちに何かあったら…ボク、ボク…………」
 エクスは安堵のあまりに泣き始めた。そしてそんなエクスを、二人の姉が慰める。
「姉妹たちの邪魔をさせるな!!」
 そんな光景を見た米兵たちが、戦意を高揚させてダエーヴァの怪物達に対して激しい攻撃を仕掛ける。姉妹たちの交流は、米兵たちにとって一種の清涼剤のようになったらしい。
 
「大統領に特に問題はなし……」
 そんなふうに呟くのは、デメテール・テスモポリス(でめてーる・てすもぽりす)で、デメテールは、ハデスから大統領の監視を命じられていたのであるが、今のところ基地の外で防衛の指揮を執っている大統領に特に危険が及ぶ様子はなく、デメテールは引き続き大統領の監視をすることにしたのだった。